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21世紀にキリストの分かち合いの教えを心に留める

アダム・パーソンズ
2015年1月8日

21世紀の画期的なチャレンジに取り組むために、私たちはキリストの簡素なメッセージをかつてないほど心に留め、そして最終的には、世界の富と資源を万人の間でより公平に分かち合わねばならないでしょう。


アダム・パーソンズ

2015年1月8日

キリスト教で分かち合うことの必要はイエスの教えの中心であり、新約聖書を通して主要なテーマです。ルカによると最初期のキリスト教徒は、彼らの所有物を分かち合うことによりイエスの教えの実践を試み、それによって貧困者が養われたのです。病人、貧困者、未亡人、そして社会の最も恵まれない人たちの世話をすることのイエスの教えを明確にする聖書からの多くの引用と寓話があります。ヘブライ人への最後の説教に書かれているように、他より恵まれた人々は「善行を成し、困っている人たちと分かち合う」ために常に心を開くべきなのです。誠に、キリストの教えのエッセンスは、奉仕、他への愛、富をため込むことなく分かち合い、そして貧困者と剥奪された人たちへの正義を求めることの必要に焦点があてられていました。  

それでは、私たちが今日住む世界をイエスはどう判断するでしょうか。大衆教育、通信教育、そして経済のグローバル化による現代社会の進歩にかかわらず、非常な富裕層と非常な貧困層の間の大変な分裂がいまだ人類を特徴付けます。世界の富の総額は新記録に達しており、それにもかかわらず、世界人口の下半分はこの全財政的豊かさの1%以下を所有するにすぎないのです。億万長者の数は2009年から2014年までの間で倍増しており、そして現在67人が、最貧困層の35億人が所有する同じだけの富を所有しているのです。

確認すると、私たちの社会秩序は、富と不可欠な資源を公平に分かち合うことの重要さを詳しく述べる、全ての主要な宗教の基本的教えと食い違っています。そして恐らく、増え続ける数の低所得者が生き残るために、フードバンクに頼る英国のような豊かな国々での飢えや貧困の発生率以外、私たちの社会の分かち合いの欠如を述べるものはありません。しかし、世界人口の1.5倍を食べさせるだけの十分な使用可能な食糧があるにもかかわらず、何百万人が絶え間ない食糧不安と飢餓に直面する発展途上国で極貧の影響が一般的によりはるかに厳しいという事実から逃げることはできません。生命を脅かす剥奪と不適切な社会保護の結果として、150億人あたりの人々が毎年、大部分が回避可能な原因から死んでいます。それは、毎日4万人以上に値します。

キリスト教の教会およびグループは、これらの不穏な事実を長い間認識しており、そして、彼らの多くが世界の富と資源のより公平な再分配の必要性に関与しています。ティアファンド、クリスチャン・エイド、そしてケアなどの英国のチャリティー団体は、豊かさの中の貧困の惨劇についての認識を高めること、そして、万人へ適切な生活水準を保証するために、政府の優先項目の劇的変革のためのキャンペーンに最善を尽くしています。例えば、世界人口の20%にあたる最貧困層は財源の欠如から妥当な生活水準さえままならない傍、他の20%にあたる最裕福層は世界資源の消費の80%の割合を占めることを、クリスチャン・エイドは指摘しています。地球が持続できるよりさらに50%多くの天然資源をまた私たちは使っています。それは、貧困者とこの惑星に破壊的効果を及ぼしています。21世紀のこの画期的なチャレンジへの取り組みにおいて、私たちはキリストの簡素なメッセージをかつてないほど心に止めねばならないでしょう。それは、私たち自身より恵まれない人たちのことを考えること、他の人々のために必要なところで犠牲を払うこと、そして慈悲心と善意を通して世界の資源を分かち合うことです。

もしイエスの分かち合うための指示が全ての人と国家により真に受け入れられたなら、明らかにそれは私たちの分裂した世界の国家間の関係へ急進的意味合いを持つことでしょう。第一に、世界の優先事項として、長い間合意されてきた最貧困者の人権の確保を目的として、資源の大規模な再分配が国際的規模で要求されるでしょう。しかしながら、外国援助だけではより公正で霊的な線に沿って社会を改変するには決して十分ではないでしょう。現在、アフリカへ返済される援助額の6倍以上である1,920億ドルをこの大陸は毎年、残りの世界に失っています。発展途上国は全体で、脱税や他の腐敗行為によって毎年、援助予算のおおよそ10倍である約一億ドルを失っています。貧困と不平等の根本原因への取り組みはそれ故、多国間協力と経済的分かち合いの真の形態に基づいた、グローバルな経済の大規模な構造改革を要求するでしょう。

私たちの生きた地球の環境的限界内で万人の基本的ニーズが満たされるまで、最も真の意味での「グローバルな分かち合いの経済」を心に描くことはできません。そして、これは政治経済システム、グローバル統治制度、そして人間としての私たち自身についての概念でさえも完全な見直しを必要とするでしょう。最近の相次ぐ化学文献は、利己心と貪欲は生来の人間の特性であるという観念と矛盾し、私たちは自然に利他的で協力的な性質を持っていることを示しています。これらの発見は、私たちの不平等な社会を維持する多くの仮説に挑戦し、結束、慈悲、そして平等をはぐくむさらに公平な世界を建設することができる希望と刺激を与えてくれます。

最終的に、政治経済の日々の実践に、愛情ある親切心や寛大さなどの霊的価値観を植えつけない限り、世界問題への解決策はあり得ません。私たちの文明の連結した危機を解決するには、世界的相互依存を認識し、人類は同じ基本的権利を分かち合う大家族の一部であることを受け入れるしか選択肢はありません。すなわち、世界の全ての食糧、原材料、燃料、知識、そして技術的専門知識は公益のために使われ、必要に応じてさらに公平に分かち合われねばなりません。

分かち合いへの要求はさまざまな国ですでに増加しており、社会正義、環境管理、真の民主主義、そして世界平和のための多くの既存のイニシアチブを支えています。しかし、もし分かち合いの原理を斬新な変革のためのどのような議題にも不可欠な部分として理解させるつもりなら、国民的論議の中でかなりの転換が必要とされます。この観点から、ロンドンベースのSTWRは、共通目標として分かち合いを受け入れる市民のグローバルな運動への必要性についての世論に影響を及ぼすことを目的としたキャンペーンを開始しました。私たちのキャンペーン声明へ署名することによって、社会でより一層の分かち合いへの声を上げることを誰もが誓い、そして政治経済の観点から分かち合いの重要さについての公衆の認識とより幅広い論議に拍車をかけるよう促進できるのです。


個人として、または組織としての署名は、こちらから:www.sharing.org

この記事はパリッシュ・マガジン・サプルメント・オブ・オール・セインツ・チャーチ、ハイゲート、2015年1月に掲載されたもです。

フォト・クレジット: Rodrigo_Soldon、フリッカー・クリエイティブ・コモンズ