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分かち合いの経済:その政治的進化についての簡単な紹介

Adam Parsons
2015年1月21日

分かち合いの経済ムーブメントは、世界の収束する危機の根本的原因に取り組むことが出来るのでしょうか?この論議がゆっくり正しい方向に動いている多くの明るい兆候があるにもかかわらず、資源の分かち合いが人権、公平性、民主主義および持続可能性についての懸念との関連の中で促進されない限り、そのような主張は実質を伴っていないのです。


近年、資源の分かち合いのコンセプトおよび実践は、北アメリカ、西ヨーロパおよび世界の他の地域全体を通して迅速に主流の驚異となっています。インターネットは、車や自転車から住居、仕事場、食べ物、家庭用品、そして時間や専門技術までのすべてにおいて、人間および物的資産を分かち合う莫大な可能性を賞賛するアーティクルとウエブサイトで溢れています。オンラインで見つけることの出来る最も一般的な定義によると、分かち合いの経済は、個人やオーガナイゼーションが物資とサービスの余剰を分配し、共有および再利用出来るようにするための情報技術を利用します。新たな分かち合いの経済のビジネス・アイコンは、Airbnb、Zipcar、Lyft, TaskrabbitおよびPoshmarkなどの企業を含みますが、その他何百もの非営利および営利目的の組織もがなんらかの形で、古来の分かち合いの原理に基づいたこの急成長するムーブメントに関連します。

分かち合い経済がメディアからますます注目を集めると共に、その全体的重要性と将来の方向性についての討論が出現し始めています。断続する経済的落ち込み、政府の緊縮経済政策および環境的懸念を前にして特に、資源の分かち合いの出現するパラダイムが今後拡大しさらに盛大になる方向へ向かうことは間違いありません。アメリカでの同調したアドボカシー活動および分かち合いのグループの動員の結果、公共および民間セクター双方における経済の分かち合いの重要性を正式に認識する、Shareable Cities Resolutionに15人の市長が現在署名しています。韓国ソウルはまた、住居、公共交通機関、雇用創出およびコミュニティ結合における問題への部分的な解決策として 、既存の分かち合いのエンタープライズを促進し、分かち合いの経済の立ち上げをもたらすことが計画される、市が融資するSharing Cityというプロジェクトを導入しました。さらに、コロンビアのメデジンが、交通機関の共有計画を導入し共有の公共空間の使用を再考するかたわら、エクアドルは「buen saber」という公式な計画 のもと、「共有知識」社会の構築に献身する世界で初めての国です。

それゆえ、多くの分かち合い経済の支持者は、新たな様式としての分かち合いに基づいた未来に大きな希望 を持っています。経済の崩壊および地球の乱用の結果、根本的な変革が必要なことをおおよそ誰もが認識しています。そして、過度な消費主義を促進する文化と、心理学者ティム・カッセーによって述べられているように、「good life(良い生活)」を「goods life(物質主義的生活)」として考えることに導くところのアメリカン・ドリームの古いアイデアは、2015年までに96億人に到達するだろうますます豊かになる世界のなかで維持不可能です。従って、もっと多くの人々が、過去数十年間を定義付ける物質主義的態度を拒否し、所有権や目立った消費よりむしろ、人との繋がりや分かち合いに基付いた異なった生活様式に徐々に転換しています。「もっと分かち合い、多くを所有しない」が、Y世代やミレニアルズとして知られる、現代テクノロジーに精通した今日の若い年代によって先導される、豊かな社会の態度のなかに認識出来る変革を強調した倫理です。

しかしながら、多くの起業的な分かち合いの開拓者もまた、人口増加、環境劣化および食料安全保障などの最も切迫した世界問題に関して、分かち合いがなにを達成出来るかという大きなビジョンについてもまた、多くの分かち合いの開拓者は公言しています。例えば、A2Shareのライアン・ゴーリーが仮定するように、分かち合いの経済を取り入れる都市ネットワークは、Sharing Regions Network(分かち合う地域ネットワーク)、次いで Sharing Nations(分かち合う国々)、そして最終的にSharing World(分かち合う世界)へと拡大することが可能です:「グローバルに連結した分かち合いの経済のネットワークは、人類と地球を完全に変革する、まったく新しいパラダイムとなるでしょう」。Shareableの共同創設者および出版者であるニール・ゴレンフロもまた、ピアツーピア共同作業が、貧困および気候変動双方の根本原因に取り組むことの出来る全体的変革を起こす誘発者として、広範囲にわたる分かち合いのムーブメントを持って新たな社会契約の基盤を形成出来ると論議しています。あるいは、The People Who Shareのベニタ・マトフスカの言葉を引用すると、もし私たちが持続可能な未来について考えるなら、「生存のために分かち合う」必要があるでしょう。21世紀の深刻なチャレンジを可能にする社会経済変革を達成するために、分かち合いの可能性を探求することは私たち全員の義務なのです。

分かち合いについての討論のふたつの側面

資源の分かち合いが、経済的、環境的および社会的展望から多くの方法でより大きな利益に貢献出来ることは疑いありません。多くの研究が、都市でのカーシェアリングおよび自転車シェアリングが結果としてもたらし得る、資源効率性および省エネの可能性などの多くの分かち合い構想に共通した環境的利益を示しています。地域化した分かち合いのおおよそすべてが経済的形態であり、個人およびエンタープライズに相当なコスト削減または収入をもたらします。主観的な福利および社会的影響の観点から、近所の人やコーワーカーとの繋がりを感じること、コミュニティの構築だけでなく私たちをもっと幸せにすることさえをもまた分かち合いがどのように促進出来るかを、共通の経験が証明しています。

コミュニティ内または地方自治体全体で、資源の分かち合いの有益な側面に異議を唱える人は僅かですが、分かち合いの経済ムーブメントが公平で持続可能な世界にどのように貢献出来るかについてのより幅広いビジョンを取り巻いた議論があります。現代都市のなかで急成長する経済的分かち合いのトレンドの提唱者の多くにとってそれは、カウチサーフィン、カーシェアリングまたはツールライブラリー以上のものであり、新自由主義における資本主義の個人主義的および物質主義的仮説を途絶させるための可能性を握っています。例えば、著書プレニテュード − のなかでジュリエット・ショアは、分かち合いに基付いた新たな経済学が、今日の超個人主義的および超消費主義的文化に対する対抗手段となり、市場文化を通して失われた社会的結びつきの再構築を促進出来ることを認識しています。環境的に持続可能で公正な方向にどのように社会を動かすかについての短編ビデオThe Story of Stuff projectのなかでまたアニー・レオナードは、経済の基本的目標の変革を促進出来る、「現状を打開する」重要な解決策を考慮しています。

他の多くの支持者は、地球の自然の限界内で広範囲におよぶ繁栄を達成するための道として、そしてより地方化された経済および平等社会への道への不可欠な第一ステップとして、分かち合いの経済を考えます。しかし、分かち合いの経済に参加することは、少なくともその既存の形態および実践において、消費主導型経済および個人主義の文化に実際にチャレンジ出来る「政治的行動」なのです − 下記でさらに考察されるように、フレンズ・オブ・アースの価値ある解説記事のなかで(完全に答えられていないにしても)提起された論点です。分かち合いの傘下での新たな投機事業の急増は、「新技術と新たな機会への無限の調整を断続する需要と供給」以外のなにものでもないということ、そして分かち合いの経済のコンセプトが完全に商業的勢力によって吸収されているということを − それは、カーシェアリングの開拓者、Zipcarが、確立されたレンタル会社Avisによって買収された折に促進された討論であり − 様々な解説者が議論しています。

最近、Slate magazineのビジネス・経済記者は、新たな消費様式が実質的に「分かち合い」そのものでないため、分かち合いの経済は「死に値する」「意味のない言葉」だという見解を、議論の余地はあるにしても繰り返し強調しました。分かち合いの経済が、金融専門家や技術記者から典型的に受ける表面的な扱いを批判するジャーナリストもいます。特に、福祉および公共サービスの劇的な縮小、前例のない所得格差、そして雇用不安定層の危険な増加にもかかわらず、分かち合いの収益化された形態に基付いた小ビジネスの立ち上げが雇用危機への解決策になるという主張です。ファイナンシャル・タイムズのオプ・エドを書いた著者エフゲニー・モロゾフは、分かち合いの経済は平等性に有害な影響をおよぼしており、そして市場理論に完全に準拠する基本的労働条件は、利益を優先し、人間関係に価値を与えることから程遠く、優勢的経済モデルの最悪な行き過ぎを増幅さえしていると語っています。完全雇用が衰え、労働組合が攻撃され、そしてヘルスケアおよび保険給付が消滅する状況下で、「ブランドのように考えねばならない常勤の自営業家」へと労働者を変革することを分かち合いの経済が激化し、彼がそれを「ステロイド漬けの新自由主義」を呼ぶことへと導くと彼は論議します。

定義の問題

これらの分極化した見解を和解させることが不可能であるにもかかわらず、経済的分かち合いの真の可能性を評価することの問題の一部は、定義の曖昧さと理解における広範な差です。分かち合いの経済の従来の解釈は、その迅速に拡大する市場のサイズと「共同商業革命」としての可能性を誇示する絶え間ない報道を持って、現在その金融と商業の側面に集中しています。生活を変革するためのデジタル技術による共同作業および分かち合いの可能性に関する主要な起業家的思想家レイチェル・ボッツマンは、一般的に使われている様々な言葉のさらなる混乱を防ぐために、分かち合いの経済が実際なにかを明瞭にすることを試みてきました。彼女の最新の類型論では、「分かち合いの経済」という言葉が多くの場合どのように他の新しいアイデアによって混乱させられ、事実、「共同経済」ムーブメント全体のなかでそれが「共同消費」の一部であり、そして「金銭的または非金銭的利益のために使用すべき、空間から技術までの未活用の資産を分かち合う」ことの観点からむしろ制限された意味を持つことを指摘しています [プレゼンテーションのslide 9を参照]。消費者の態度および生活様式の変化についての解釈は、再分配および共有のアクセスの効率の良いモデルを通しての資産の最大活用」の周りをまわっています。そしてそれは、どのような厳格な定義によっても「分かち合い」の倫理に必ずしも基付いているのではありません。

分かち合い経済の別の解釈は、ジュリアン・アジェマン教授とその他によって書かれた Sharing Cities(分かち合う都市)についてのフレンズ・オブ・アースの報告書に証明されるように、遥かに幅広く、資本主義的仮説によってそれほど制約されていません。彼らの評価によると、現在の殆どの経済的分かち合いの定義やカテゴリー化に欠如しているものは、「共有コモンズを特徴付ける共同制作」についての考察です。従って、彼らが提案する広げられた「分かち合いスペクラム」は、(おおよそ常に豊かな中流階級に関係して考慮される)主流経済における物資およびサービスに集中しているだけでなく、福利や能力などの分かち合いの非物質的または実体のない側面をも含みます[報告のpage 6 を参照]。このより広い展望から、分かち合いの経済の最先端は多くの場合商業的なものでなく、インフラの共同使用および共有の公共サービスはもとより、私たちがお互いに提供する無償の世話、サポートおよび養育などの日常の活動だと彼らは主張します。

これは、「分かち合いの究極レベル」としての政府に新たな光をあて、ヨーロッパの福祉国家および社会保証の他の形態の歴史がまた、都市および異なった国々での分かち合われた資源の進化に不可欠なことを暗示します。それにもかかわらず、このより包括的な観点からの分かち合いについての理解は、医療、教育およびその他の公共サービスの国家の提供に制限される必要はありません。アジェマンおよびその他が明らかにしているように、すべての種類の生活協同組合(労働者から住宅、小売業者、消費者の協同組合に至るまで)もまた、共有サービスの提供、そして公平性と共有権が優先されるところの経済的分かち合いへの異なった展望を提示します。空気や水などの一般的天然資源へのアクセスもまた、商業的または私的利益および市場機構より万人の共益を優先するかもしれない、分かち合いの観点から理解され得ます。土地所有権および土地使用についての議論を引き起こすだろう問題を含み、− コミュニティ土地信託を通して、あるいは地価税などの新しい政策やインセンティブを通して − 土地および都会空間をもっと公平に分かち合うための最良の方法についての論点を提起するでしょう。

分かち合いの政治学

さらにアジェマンおよびその他は、共有コモンズとの関係における分かち合いについての理解が、共有の公共領域や参加型民主主義に関しての明確に政治的な論点を生じさせると議論しています。これは、不公正なパワーダイナミックスと新自由主義の覇権の中心である民営化への拡大する動向に、象徴的にチャレンジするために公共空間を取り戻した、近年の多くの反体制文化のムーブメント(オキュパイ・ムーブメントや2011年以来の中東の抗議デモ、そして2013年のタクシム広場のゲジ公園など)の中心となっています。分かち合いはまた、活気に満ちた分かち合いの経済(この観点から解釈されるとき)が、現代の消費者社会を特徴付ける政治的無気力に対抗出来るところの、健康的な民主主義の機能に直接関係すると彼らは論じています。今日の文化やアイデンティティを特徴付ける個人主義や消費主義よりコミュニティや協力の価値を強化することによって、分かち合いへの参加は最終的に政治領域に反映され得ます。少なくとも、政治的決定に影響を与えることの出来る一般討論および公共論議のために必要な場所を提供するため、参加型民主主義の表現および良い社会の発展にとって公共領域は不可欠だと彼らは主張します。実に、彼らが述べているように「出現する分かち合いの可能性パラダイム」は、the Right to the City (RTTC) − 都市の民主主義、正義および持続可能性のために戦い、公共財や公共空間の民営化に反対して動員する国際的な都会運動 − の基本的信条を反映すると言われています。

これらの異なった分かち合いの解釈のいくつかを概説する意図は、政治、正義、倫理および持続可能性への考慮がどのように分かち合いの経済のコンセプトに徐々に結びついていっているかということを明らかにすることです。最重要な例は、前述のフレンズ・オブ・アースの報告です。それは、FOEIの Big Ideas to Change the Worldシリーズの一部において、「考慮に入れられた政治勢力」および「環境主義者のアクションへの呼びかけ」として書かれました。それにもかかわらず、借金を原動力にした過剰消費の崩壊したモデルに取って代わる、新たな生活様式の一部として時代遅れの分かち合いの倫理を促進する、New Economics Foundationの ‘Manifesto for the New Materialism’ などのより多くの例にも言及することができます。分かち合いの経済の多くの影響の大きな支持者は、 − 資源の所有権よりむしろアクセスを可能にするピアツーピア技術によって推進される新経済モデルの観点から今日一般的に理解されるように − そのムーブメントが向かう商業的方向性について問い始めており、零細企業またはハイテク革新の収益化・ブランド化にただ基付かない、社会変革のより政治色が強い形態を代わりに促進しています。 

カリフォルニア・ベースの「分かち合う弁護士」でありThe Sharing Solutionの著者ジャネル・オルシは、この件において特にインスピレーショナルです;彼女にとって、分かち合い経済は大変幅広い範囲の活動を包括するため、定義付けることは難しいのですが、彼らがコミュティの既存の資源をどのように利用しその富を増やすかということのなかでそのすべての活動が結びつけられると彼女は示唆しています。これは、コミュニティ外の人々のために富を主に生み、極端な不平等と生態学的破壊を本質的に引き起こす、主流経済に対比します − 分かち合い経済は、この巻き返しを促進出来るとオルシは主張します。彼女が認識する問題は、メディアで一般的に報道されるいわゆる分かち合いの経済は、「業務平常通り」に基づき構築されており、それは、私有の多くの場合ベンチャーキャピタル(Airbnb、Lyft,、Zipcar,、Taskrabbitなどの場合のように)によって融資されています。結果として、今日の経済問題をもたらした同じビジネス構造は、新しい分かち合いの経済を買い取り、そして人々の福利、コミュニティ結束、地方の経済多様性、持続可能な雇用創出およびその他(ドットコム企業の先の世代に影を落とした株式バブルを再びもたらすリスクは言うまでもありません)について懸念しない、さらに大きなより中央集権化したエンタープライズへと変革しています。新しい分かち合いの経済の会社が、使用者と彼らのコミュニティのために経済的権限をもたらす可能性を充足することを保証する唯一の方法は、協力への転向を通して − そして、あらゆる形態の労働者および消費者協同組合の民主的、非搾取的、再分配的および真に「分かち合う」可能性を、オルシは説得力を持って論証しています。

全体におよぶ変革への道としての分かち合い

この出現する分かち合いのムーブメントが今後どの方向に向かうかを問うための重要な理由があります。ジャネル・オルシやジュリエット・ショアのような分かち合いの経済の著名な支持者が認識するように、それは機会、そして希望を持つべき理由だけでなく、落とし穴と幾つかの深刻な懸念双方を提示します。その一方でそれは、「国民vs消費者」としての私たちの価値観および社会的アイデンティティのなかで起こりつつある転換を反映し、有限な資源、恥ずべき無駄および莫大な富の格差の世界において、所有権および繁栄の概念を再考するよう私たちを助力してくれます。恐らく、その多くの支持者は正しく、そして分かち合いの経済は、北アメリカ、西オーロッパおよび他の裕福な社会の過剰消費、極端に物質的で蓄積型の生活様式から移行することへの第一ステップを象徴するのでしょう。恐らく、分かち合いは実際に、物質より人間関係に価値を置くことを促進し、そして政治を再考しさらに参加型の民主主義を構築する可能性を私たちに提供します。そうすることによって、共有利益や真の富を犠牲にして私的利益や負債の上に構築された、グローバルな資本主義/消費主義的発展モデルに究極的にチャレンジ出来るでしょう。

その一方で、現在の分かち合いの経済の形態が、既存のパワー構造への脅威となることや、世界をより良い場所にするために必要な根本的な変革のようなものを象徴するムーブメントであることが、殆どないと指摘することにおいて批評家は正しいでしょう。リチャード・ウィルキンソンとケート・ピケット、ティム・ジャクソン、ハーマン・ダリーとジョン・コッブなどの著者によって提案されるように、より大きな公平性およびより良い生活の質に向かって経済を再調整することからは程遠く、ピアツーピア・ネットワークを通しての殆どの分かち合いの形態が、従来のビジネス経営によって退廃させられる危険にあるということには議論の余地があります。私的利益やベンチャーキャピタリストによって吸収された共同消費および共同制作の新モデル、裕福な中流階級タイプやいわゆる「the ‘bobos’(ブルジョワ・ボヘミアン)」をますます対象にし、より平等な社会に被害がおよぶまでに低所得者を排除することなど:これらのトレンドの理論的結論を想像する試みには歪曲したアイロニーがあります。あるいは、国民に対するより侵入的なコントロールおよびより広範囲な監視の追求において、政府と企業が協力することを可能にする、新たな共有技術のプラットフォームなどです。または、私有施設や資源が共有されるところの門で区切られたコミュニティなどの、ますます私有化され囲い込まれた公共空間の状況下での分かち合いに基付いた新たな社会的関係などです。

これは決して不可避な成り行きではありませんが、この短い分析から明らかなことは、万人の利益のために社会を変革する経済的分かち合いの可能性が問われる、その商業化および非政治化がもたらすリスクと矛盾です。資源の分かち合いが、人権、公平性、民主主義、社会正義および適切な環境管理への懸念に関係して促進されない限り、世界の相互関係する危機に対処出来る分かち合いが新パラダイムだという主張は、実に、まったく実質を伴わない空虚なレトリックまたはユートピア的考えなのです。Hackerspacesを通しての技術の分かち合い、GoodShuffleを通しての使わないものの分かち合い、あるいはコミュニティの持ち寄り料理の食事会を通しての食糧の分かち合いなどそれ自体は、楽しむべき、そして完全に参加するに値する一般的にポジティブな出来事ですが、カーシェア、衣服の交換、共同住宅、共有別荘などその他が、経済および気候の大混乱、不正なパワーダイナミックスまたは不平等な富の分配に本当に取り組めると私たちは思っているのでしょうか。

地方の分かち合いからグローバルな分かち合いへ

しかしながら、市民社会組織およびその他が現在し始めているように、もし私たちが分かち合いを公正な持続可能性のレンズを通して考察するなら、国内および国家間での資源を分かち合う真の可能性は広大で包括的です:公平性の強化、コニュニティ再建、福利の向上、国家およびグローバル・ガバナンスの民主化、グローバル・コモンズの保護と促進、そして現段階での競争の激しい新自由主義的グロバリゼーションに取って代わる、より協力的な国際的枠組みへの道を示しさえします。勿論、私たちはまだそこまで辿りついていません。そして、今日における経済的分かち合いについての一般的な理解は、明らかに、個人間やオンライン事業投機を通してのもっと個人的形態の付与行為や交換に集中しています。それは、主に富裕国の高所得層の利益のためです。しかし、この論議が現在、国内での公共インフラ、政治的権力および財源の分かち合いにおける政府の役割を包括するために広げられているということは、出現する分かち合いムーブメントが徐々に正しい方向へ動いているという明るい兆しです。

既に、発展途上国の最も貧しい人々にとって資源の分かち合いがなにを意味するのか、そして富裕国における経済的分かち合いの復活が、収束する危機の解決法としてどのように世界に広げられ得るかについて疑問が提起されています。惑星規模の経済的分かち合いのアイデアが − 差し迫った生態学的大惨事についての認識、命を脅かす極端な不平等、そして天然資源を巡って激化する紛争によって駆り立てられ − すべてのディナーパーティーと食卓での会話の話題となるまで長くはないかもしれません。


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Photo credit: Friends of the Earth International, flickr creative commons