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国内及び国家間で分かち合う

多くの表現を通じて経済の分かち合いのプロセスは既に多くの多種多様な営み、機関、そして地域及び全国レベルで機能する政策を支えています。                                                                                                                     

分かち合いの最も馴染み深い例のひとつは、個人や組織、あるいはボランティアの取り組みや他の慈善活動を通しての慈善募金としての形態です。世界中の定着した社会環境問題を考慮するとチャリティーは重要ですが、それは多くのあり方において分かち合いの初歩的形態を構成しています。しかしながら慈善活動としての形態の分かち合いは、民主主義的説明責任の欠如と、根本的な構造的原因でなく不平等の症状にしか取り組まないことで広く批判されています。そのような理由でチャリティーと慈善活動は、国民と世界全体へのいくつかの広範な義務から逃れることを政府に許す、真の正義の代用としてしばしば考えられています。

地域レベルでの経済の分かち合いのその他よく知られた例としては、コモンズとして土地を協力的に管理した農民により伝統的に分かち合われた農業コミュニティーの土地使用を含みます。主要なアグリビジネス企業が特許法を通じて、世界中の農業の営みにおいて種を貯え分かち合う権利を不法にしようと容赦なく押していますが、この権利はなくてはならない役割をもまた果たしてきました。現在のグローバル化された食糧システムの結果としての小規模及び家族経営の農家の増大する排除にもかかわらず、分かち合いの伝統は農民と地域のコミュニティーの間で責任やリスク、そして食糧生産の恩恵が分かち合われる「コミュニティーに支えられた農業(CSA; community supported agriculture) 」プロジェクトにおいてもまた推進されています。

 

近年、裕福な工業国と発展途上国の両方において、コミュニティー先導のイニシャティブの復帰が様々な方法で経済の分かち合いのプロセスを具体化しています。これらは、従業員が意思決定プロセスへ参加し、事業活動の収益を分かち合うところの食糧と小売部門の多くの協同組合を含みます。国や民間部門の介入なしで森林などの土地や他の資源を首尾よく管理する多くの信託もがまたつくられて来ました。コミュニティー間で経済活動を再分配するためにしばしば取り組み、生産と消費の持続不可能なパターンの代替案を築く、世界の全地域での持続可能性のためのイニシャティブにおいてもまた経済の分かち合いの活動は顕著です。

 

分かち合いの経済                                                                 

 

より最近ではオンライン・クラウドファンディングからフードバンク、共済組合(mutual aid societies)、贈与経済までの全てを包括する「分かち合いの経済」活動は、西ヨーロッパ、北アメリカ、そして他の地域を通して迅速に人気が高まっています。とりわけ共同消費は車や食糧からオフィススペースや専門知識までの全てにおいて、人々がインターネットによる分かち合いの機会を通し、仲間と様々な物資とサービスを分かち合うことを許す新たな経済モデルとして浮上しました。分かち合いの経済の多くの支持者が主張するように、資源を「所有する」よりむしろそれに「アクセスする」ことは、そのプロセスで個人の消費と炭酸ガス放出のレベルを減少させる傍ら、より効果的にお金を貯蓄し、コミュニティーを築き、資源を活用するよう働きます。

 

それにもかかわらず分かち合いは、私たちが社会をどのように組織立てるかということにおいてこれらの例が証明するより更に根本的なことなのです。例をあげると、参加民主主義プロセスは政治権力を市民とより公平に分かち合うことを求めることから、それは分かち合いの原理を具体化することが出来ます。そして間違いなく現代世界における経済の分かち合いの最も進んだ形態は、ヘルスケア、教育、社会保障、そして他の不可欠な公共サービスへのアクセスを全国民へ確実にするための国家の財源の貯留です。

 

先進国における社会福祉制度は完全から程遠く、常に能率的に施されているわけではありませんが、それは数千年間人々に慣れ親しんできた営みの上に築かれた分かち合いへの人間の持つ傾向の自然な進化を象徴しています。それはまた国々の不平等を減らし、社会的一体性を強化することの出来る社会正義、結束、そして公平な富の分配の表れです。更に、万国共通の社会保護システムはより公平で公正及び健全な社会の創造において効果的な「経済の分かち合い」が演じることのできる役割を、長い間認識してきた何百万という多くの人々によって広く支持されています。

 

これら全てと更に多くの例がコミュニティーの社会機構を強化し社会全体で健康と幸福のレベルを改善し、そして社会的公正を促進させることにより経済の分かち合いがどのように人類文明の中心核となって来たかを証明しています。今日人類が直面する重大な疑問は、全国と地域の分かち合いのシステムを支持し拡大することを選択するか、それとも政策立案の中心に分かち合いを置くことをイデオロギー的に反対する者たちに更に弱体化させ廃止させることを許すかです。

 


上記は「グローバルな経済の分かち合い入門」からの抜粋です。

フォト・クレジット: anarchosyn, フリッカー・クリエィテブ・コモンズ