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世界の貧困と不平等

経済的分かち合いを促進する国際的枠組みを確立する最も切なる理由は、基本的人間のニーズが普遍的に充足されるさらに平等な世界を創造するためです。

1948年に国際連合総会が世界人権宣言を導入した当初、各国政府はこの目標の実現に向かって取り組みました。世界人権宣言第25条は以下のように明言しています (1): 「すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保証を受ける権利を有する(ウィキペディア引用)」

65年以上が経った現在、万人のためにこれらの基本的権利を成就することは今だに国際社会の遠い希望、そしてあやふやな熱望として残っています。多くの最富裕国でさえ貧困率は10年間上がり続けており、緊縮財政処置が社会的セーフティーネットを収縮させ不可欠な公共サービスを弱体化させると同時に状況は迅速に悪化しています。2008年の経済危機から5年後、例えばアメリカでは、政府が食料費補助対策を劇的に削減する以前でさえ、約5千万の人々 - 人口の6人に1人 - が公然と飢えていました。過去何十年もの社会的発展が今激しい攻撃を受けているヨーロッパでは、根強い貧困のなか分割された大陸を分析者たちは10年以上前から警告してきました。

世界の豊かな地域での高まる飢餓率と不必要な剥奪以上に、社会における分かち合いの実践から遠ざかる危険な動向を述べるものはありません。しかしサブサハラアフリカ、アジア、ラテンアメリカの最も貧しい国々、他の低所得、中間所得層地域では一般的に、極貧の影響が遥かに深刻であり続けるという事実から逃げることはできません。ここ数十年間の世界人口の大部分の生活水準の急速な向上にもかかわらず、考えられないほど多くの人々がいまだ生活必需品へのアクセスを拒否されています。

例え極貧を半減させるミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs)が満たされたとしても、2015年には10億人あたりが生存のための適切な手段を持たず公然と生活することになります。実際にはその数はもっと高いのですが。全体的に、発展途上国に住む95%の人々が1日10ドル未満に値する金額(実際に米国で10ドルに価する)で生き延びています。高所得国ではおおよそ生活不可能な金額です。議論の余地のある貧困の「1日1ドル」対策もまた、発展途上都市の急増するスラムどころか世界の大部分の人々の厳しい生活の現実を反映できていません。

豊かさのなかの貧困

豊かな富、技術力、専門知識を持った相互連結するグローバル社会において、何十年もの昔に極貧が根絶されなかったということは、道徳的に避難されるべきであり、経済的に先見の明を欠いているということです。しかし、経済的グローバル化の企業主導型政策が広く取り入れられた1980年代以来、着々と拡大してきた世界的不平等レベルを同時に正すことなくしてそれは不可能でしょう。「豊かさのなかの貧困」の拡大する危機に取り組むためには、分割されますます不平等になる世界を維持する不公平な政策及び制度を改革することにより多くの重点が置かれねばなりません。

今日、非常に偏った国際貿易、経済及び課税体制は、外国援助として政府が提供するより少なくとも10倍の財政が発展途上国から富裕国へ流れていることを意味します。グローバル経済のこれらの不公平な取り決めの結果として、世界人口の最貧困層の20%が世界総計収入のたった1%しか受けていないのに対し、最富裕層の20%は83%近くを所有しています。 近年、この富の集中はますます極端になっており、世界の最も裕福な1%が110兆ドルを所有し、それは世界人口の下半分の富の総計の65倍です。

富と収入の驚くべき誤った分配は、他が当然とする基本資源へ無数の人々が今だアクセスできない時、世界の優先事項がどのように歪んでいるかを正確に浮き彫りにしています。世界正義キャンペーナーがしばしば繰り返しているように、この甚だしい不公平の根本的原因は、政府の政策選択、経済関係を司る体制、そして世界最大企業の無敵の権限と影響力から生じており、事実上、政治的なものです。

これら構造上の状態を改革することなく、外国援助とその他の経済の再分配が、貧困を根絶し富裕者と貧困者の格差を狭めるためには決して十分な手段にはならないでしょう。もしグローバル経済が万人の利益へ仕えるべきものであるなら、多国間の協力と経済的分かち合いの真の形態に基づきそれは永続的に社会的・経済的権利の成就を保証する方向へと第一に進められねばなりません。


上記は「グローバル経済の分かち合い入門」からの抜粋です。