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STWR エディトリアル:気候変動の緊急事態についての受け入れ難い真実

STWR
2016年12月12日

COP22が、錯覚的な政策立案と地球温暖化の純然たる現実の間の不一致を再度浮き彫りにしました。持続可能な未来への唯一の道としてグローバル協力と経済的分かち合いのヴィジョンを支持することは、いつものように市民社会団体に委ねられました。


2016年も終わりに近づき、真実が主観的な解釈や論争的な討論にあるところの思い違いによってますます特徴付けられる世界に私たちは住んでいるようです。実に、アメリカの大統領選挙とイギリスEU離脱国民投票に次いで、証明可能な事実より感情への訴えかけが重視されるポスト真実の政治の新時代についてよく話されています。しかし私たちがどれだけ無視しようとしても、これ以上無視出来ないいくつかの事実があります。そして、これらの事実の中で最大のものは、主流の政治家も、一般大衆も、必要とされる緊急の規模で真っ向から立ち向かうことから程遠い、激化する気候危機なのです。

これは、2015年11月のいわゆる「歴史的」パリ協定に続き、先月モロッコで開催されたCOP22マラケシュ会議において再びさらに明確に理解されました。2020年後の将来の炭素排出削減をどのように達成するかという実際的な計画を僅かな国々だけが提示したと同時に、「実現」あるいは「アクションのCOP」と称されたこのサミットの主要目的は、新協定実現のための規定に同意することでした。しかしながら、その呼び名を正当化することからは程遠く、 COP22に参加したおおよそ200カ国が、単なる2017年のプログレスの見直しだけで、国際的な気候変動アクションのための包括的な目標と枠組みについては2018年まで達成なしと決定しました。

会議が始まる以前でさえ、国連環境計画(UNEP)からの最新の「地球温暖化ガス排出ギャップ」報告書は、政治的現実と環境的・化学的現実の間の断続する相違を浮き彫りにしました。UNEPの分析によると、パリ協定での政府らの拘束力のない誓約は、今世紀、最も安全性の低い上限として考慮される2度を遥かに上回り、産業革命前のレベルを超え気温上昇3.4度を可能にします。それ自体は、酷い気候変動の影響を排除するというより単に緩和するであろうだけの、より現実的な1.5度目標を達成するために、残りの炭素収支を使い切るまでの2、3年前のうちに活動欲を劇的に強化せねばなりません。

それにもかかわらずこの現実は、COP22の話し合の中で重要性を持ってフォーカスがあてられることさえありませんでした。そこでは緊急に努力を動員するための期限がまるであと2、3年延長され得るかのように、発展途上国からの殆どの代表者は主に2020年後の彼らの約束について話していました。皮肉なことに、4、5の先進国は2020年以前の期間を含む京都議定書の第二約束期間を承認することさえしていません。従って、24年間の交渉後、レトリックと行動の不一致がいっこうに閉じる兆候のないまま、「組織化されたグローバル・コミュニティ」と相いれない未来へと私たちはいまだ向かっているのです。

どのように国々が1.5度への道を横断し始めることが出来るかという希望とビジョンを支持することは、常にそうであったように、市民社会団体に委ねられました。COP22のための更新された報告書でキャンペーン組織の連合は、2020年前の大規模な炭素排出削減と真の経済の主な転換を要求するであろう環境的大惨事へのレースを止めるための、私たちの最後のチャンスについて概要を述べました。これらの変革のすべては、化石燃料への投資及び開発の停止;農業生態学的農業の実践への必要な転換;そして100%再生可能エネルギーへの計画的な世界的移行など、政治的に実行不可能であるかのようですが、技術的に実行可能であり、経済的に実践可能です。

しかしながら、効果的な行動プログラムを達成するための中心となり続けるのは、人間の歴史の中で前例のない、ある程度の国際協力と経済的分かち合いです。それが、グローバルな努力分担の枠組みの中に「公平な分担」の原理を融合させるための説得力ある正当性を与える、2016年及び2015年のシビル・ソサエティ・エクイティ・レビューの暗黙のメッセージです。国内における緩和のための誓約と、能力及び歴史的責任の指標に基づく公平性モデル化アプローチを使い、報告書はどのように先進国が発展途上国より顕著に意欲のない努力分担を提示しているかを明らかにしています。

さらに両方の報告書が、極度に意欲的な自国の行動を持ってでさえ、唯一国内のみで充足するには余りに大きすぎる公平な分担義務をどのように先進国が持つかについてはっきり示しています。従って、最富裕国が国際金融、技術の分かち合い、そして能力構築援助の観点から貧困国への助力を大幅に拡大する道徳的、政治的及び経済的正当性があります。

わかりやすく言うと、分かち合い、正義及び公平性の原理が多国間の気候の管理体制において機能出来るようにされるまで、地球温暖化を制限する希望はありえないという主張を支持する最新の化学的データをキャンペーン組織は使っています。しかしそれはまた、経済的及び物質的発展のあからさまに全く異なるレベルで相互依存する国家間の状況のもと、世界の炭素排出の大幅な削減の緊急性を考慮すると、常識と根本的な公平性の観念に基づく主張でもあります。COP22のためのシビル・ソサエティ・レビューの見直しが、気候正義ムーブメントの基本的真実を繰り返し述べ締めくくるように:「気候危機への取り組みに必要な多くの変革が、万人のためのより公平な世界とより良い生活を生むためにもまた必要とされています…気候変動は、発展の正しい公平な道へ移行する緊急性と必要性を肯定しています」。

勿論、他国より高い実行能力のあるそれらの国々が、発展途上国へ大規模な技術的及び経済的資源を再分配する義務を直視し、それが急速な低炭素の進展の道へと彼らが一気に躍進することを可能にする兆候は全くありません。2020年までに先進国が約束した年間千億ドルのうち、180億から340億ドルまでしか交付されておらず、従って、COP22において活動家は「資金はどうなったのか」と要求するために、「WTF」というスローガンを使いました。おかしな数字と種々の不正な会計操作の使用において、OECD想定の「千億ドルのロードマップ」が発展途上国と市民社会双方によって徹底的に暴露されました。その間常に新分析は、世界の最貧困国が2030年までにパリ協定での誓約をもっともらしく満たし、破壊的な温暖化を回避することを促進するつもりであるなら、真のニーズは何十億ドルもの領域であることを示しています。しかし、マラケシュ会議では財政貢献の増加の見通しは全くあらず、どのような実質的決定もさらに2年間先送りされました。

従って、再度繰り返すと、錯覚的な政策立案と地球温暖化の純然たる現実との間の不一致についてわからないまま私たちは置き去りにされています。気候変動は既に21世紀最大の安全への脅威であると軍隊のリーダーたちが警告する一方で、2016年は過去最高の猛暑となり、それは想像を絶する規模で難民問題を生じさせる可能性をもたらしました。それにもかかわらず先進国は、想定上の気候変動誓約と直接に相反して国内のインフラとエネルギーについて決定する一方で、適切な対応を動員する責任を回避し延期し続けるのです。米国がパリ協定または気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)から完全に撤退してもしなくても、2020年までに世界の炭素ガス排出が減少し始める展望は、良く言っても現在僅かであり続けるでしょう。

それでもこのどれもが、1990年初頭にUNFCCC交渉が始まって以来ずっと同じままの本質的な現実には変わりないのです。なぜなら、地球資源のさらに公平な分かち合いに基づくグローバル・ノースとサウスの協力へのより大きなコミットメントなくして、気候変動への取り組みにおける本当の、そして意味のあるプログレスの希望はありえないからです。シンプルな真実は回避不可能ですが、世界がその重大な意味合いを最終的に受け入れるまでにもはや残された時間はないのです。


フォト・クレジット: davidxvx, flickr creative commons

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