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大手製薬会社の独占のためではなく、「すべての人のためのコロナワクチン」を世界は必要としている

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2020年7月28日

民間企業がCOVID-19ワクチンの独占権を持つべきではありません。これは、世界保健機関の技術アクセス·プールに寄付され、すべての人の利益のために分かち合われるべき公共資源であるとヘレン·クラーク氏とウィニー· ビアニマ氏は書いています。


パンデミックを終息させるために、世界はワクチンを必要としています。オックスフォード大学によって開発されたワクチンの有望な初期の試験結果は、私たちがワクチン発見により近づいていることを示唆しています。

ランセットで最近発表されたデータは、オックスフォードのワクチンが抗体とT細胞を約1,000人の患者で生み出したことを示しています。製薬会社のアストラゼネカは、2021年初頭までにこのワクチンを製造することを許可されており、これには、来年末までに低中所得国向けにインド血栓研究所と10億本を製造する契約が含まれています。

しかし、これはまだ必要とされるものにまでには長い道のりがあります。すべての人が予防接種を受けるために、世界はできるだけ早く78億本ものワクチンを必要としています。成功したワクチンが2回以上の投与を必要とする場合、またはおそらく考えられているように、毎年の接種が必要である場合、数値はさらに高くなります。世界はほぼ永久的なワクチンの供給を必要とするでしょう。そうして初めて、COVID-19を制御することができるでしょう。

安全で効果的なワクチンが発見されたら、十分な用量を提供するための障壁は、唯一世界の製造能力だけであるはずです。しかし、他に人工的な障壁があります。製薬会社に特定の医薬品を一定期間製造する独占権を付与する知的財産法は、新薬への投資とイノベーションに報いることを目的としています。これらの知的財産権はしばしば乱用されて独占状態をもたらし、COVID-19ワクチンの場合は供給を制限する恐れがあり、致命的な不足と不必要な遅延を引き起こし得ます。

コロナウイルスのワクチンの科学、ノウハウ、および知的財産に対する独占的な権利を1つの会社に付与すると、世界が必要とする何十億本もの投与量を得ることができなくなります。ワクチンの発見にどれだけの努力を投じようが、どのような民間企業であっても、この公的資源を独占するべきではありません。世界的なパンデミックは、神聖なる知的財産に対する機能不全のアイデアのために医薬品の供給を人為的に制限する時ではありません。製薬会社の利益だけに都合の良いように市場を保護するべきでもありません。

このワクチンを発見したのはアストラゼネカでなかったことを忘れないことも重要です。COVID-19ワクチンの開発と生産には、何十億ドルもの納税者のお金が注がれています。アストラゼネカは、米国政府からだけで12億ドル、 英国政府から少なくとも8,400万ポンドを受け取っています。また、このイノベーションへの投資のリスクをアストラゼネカだけが負っているわけでもありません。政府はすでに、ワクチンの製造に先立ってワクチンを購入することを約束しています。

COVID-19ワクチンを見つけるという世界的な課題を解決することを急いで、富裕国の指導者たちは企業の善意と貧困国への慈善的なアプローチを当てにしており、知的財産や他の独占権がもたらす障壁を無視しているようです。彼らは、唯一の選択肢は、製薬企業が指揮および管理する市場ベースの民間アプローチであると想定しているようです。しかしこれは、南アフリカのシリル·ラマフォサ大統領とパキスタンのイムラン·カーン首相が最近「人々のワクチン」を求めて140人の公人に加わったことから明確に、重大な間違いであると考えられます。

オックスフォードのワクチンの現在の流通計画は、公的資源を1つの会社に任せたときに何が起こるかを警告するものです。今年の終わりまでに開発途上国に約3億回分が約束されています。これは歓迎すべきステップですが、米国と英国への4億回分と比較すると見劣りします。オランダ、イタリア、フランス、ドイツは、さらに4億回分を確保しています。EUや他の富裕国もまた、列の最前線に向かって前進しています。中南米諸国など、恐ろしい発生規模を持つ中所得国の多くは、これらの取り決めから完全に締め出される可能性があります。

アメリカのウイルス学者ジョナス·ソーク氏が、彼が開発したポリオワクチンの特許を誰が所有しているかと尋ねられたとき、彼がこう答えたことは有名です: 「特許はありません。太陽の特許を取得できますか?」オックスフォード大学は、知識と知的財産を世界保健機関のCOVID-19技術アクセス・プールに提供することにより、彼の発言に注意を払い、リーダーシップを示すべきです。そこでは、技術と治療がすべての人のために分かち合われます。同様に、有望なワクチン候補に資金を提供している政府と慈善団体は、彼らが資金を提供する製品の知的財産とノウハウがWHOプールで分かち合われることを主張する必要があります。

WHOが治療を公平に配分するグローバルシステムを組織化する試みも重要です。その取り組みは、企業が政府や保健機関との資金調達契約に最初に署名するときなど、すべての意思決定の中心に公平な配分を置く枠組みによって支援されるべきです。しかし、WHOがワクチンのナショナリズムに直面して成功するためには、供給を最大化するために私たちができることはすべて絶対に行う必要があります。知識と知的財産の分かち合いを主張することは別として、富裕国は途上国における安全な製造能力の急速な拡大に緊急に資金を提供するべきです。 

この例外的な時期は、現在の独占権の体制よりも優れたアプローチを必要とします。そうしてこそ、国民のワクチンを可能な限り迅速に開発し、製造することができます。


ウィニー·ビアニマ氏はUNAIDSの事務局長であり国際連合事務次長です。