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国連特使、世界の貧困撲滅への取り組みの失敗を非難

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2020年7月9日

国連への新たな報告書によると、世界の貧困は拡大しており、それが根絶されているという主流の認識に直接矛盾しています。2030年までに極度の貧困を撲滅させるという目標を達成するには、国家は完全に軌道を外れ、COVID-19は急速にさらに多くの人々を貧困化させています。

「COVID-19の前でさえ、私たちは貧困との闘いにおいて10年を浪費し、パンデミックの最悪の被害を防ぐことができたであろう改革そのものを見当外れの勝利主義によって阻止した」と、極度の貧困と人権に関する元国連特別報告者であるフィリップ·アルストン氏は彼の最終報告の発表時に述べました。最終報告書は彼の後継者であるオリビエ·デシュッター氏によって国連人権理事会に提出されました。

「COVID-19は、何億もの人々を失業と貧困に追いやる一方で、急性飢餓の危険にある人々の数を2億5000万人以上増やすと予測されています。 しかし、貧困、不平等への取り組み、そして人間の生活を軽視するという国際社会のひどい実績は、このパンデミック以前からのこと」とアルストン氏は述べました。

「過去10年間、国連、世界の指導者および専門家は、貧困に対する近々の勝利についての自画自賛のメッセージを推進してきたが、これらの報告のほとんどすべては、このようなプログレスを追っていくという目的にはまったく不適切である世界銀行の国際貧困ラインに依存している」とアルストン氏は言いました。彼は、現在1日あたり1.90ドル(2011年PPP)である世銀の貧困ラインへのほぼ普遍的な依存を非難し、それには深い欠陥があるにも関わらず、一見ポジティブなイメージを生み出していると言いました。

世銀の貧困ラインは、極度の貧困状態にある人々の数が1990年の19億人から2015年には7億3,600万人に減少したことを示しています。「しかし、これはスキャンダラスなほどやる気のない貧困ラインであり、多くの国で食料や住宅の費用さえカバーしていないことが一番の証拠だ。それが示すと主張する貧困の減少は、主に単一国である中国の収入の増加によるもの。そして、それは女性や、移民労働者や難民などの公式調査から除外されることが多い人々の貧困を覆い隠している」

世界銀行の経済学者がこれらの欠陥の多くを黙認するかたわら、世銀の焦点は研究と発表物を著しく特徴づける貧困ラインに固定されたままであり、国際社会もこれに倣っています。

「その結果は、ピュロス王の勝利(犠牲が多くて引き合わない勝利という意)、計り知れない不適切な満足感、そして危険な自己満足的無頓着さだ。より現実的測定を使用すると、世界の貧困の程度は非常に高くなり、その動向には非常に落胆せざる得ない」とアルストン氏は言いました。「パンデミック以前でさえ、世界のほぼ半分である34億人が1日5.50ドル未満で暮らしていた。その数は1990年以来ほとんど減少していない」

アルストン氏はまた、貧困撲滅の取り組みと開発政策がグローバルレベルで構成されている枠組み、持続可能な開発目標(SDGs)、および2030アジェンダを批判しました。「国連とその加盟国は、失敗に向かって夢中歩行している。採用から5年が経過した今、明らかに、SDGsが満たされないことを認めるべき時である。

SDGプロセスを取り巻くエネルギーは、国家が現代の重大な問題に取り組むためのロードマップを提供するのではなく、4/5が空だと言う代わりに、5分の1入っているコップを強調して説明するカラフルなポスターや当たり障りのない報告書を生成するところに行ってしまった。COVID-19とそれに伴う経済的混乱は、2030アジェンダの枠組みを再検討するきっかけとなるはず」

SDGsの中核である経済成長は、貧困撲滅の原動力として提示されています。「しかし、数十年に及ぶ比類のない成長の主要な受益者は最裕福層でした。無制限の成長は、貧困に終止符を打つよりむしろ、極端な不平等、豊かな世界での広範囲の経済不安、騒然たる不満感、貧困層に最大の犠牲を強いるであろう気候変動をもたらした」

「官民パートナーシップであれ、慈善活動であれ、民間部門へのますます大きな依存を通じてSDGsへの資金提供を急ぐなら、袋小路に陥る。『ウィンウィン』の約束が多すぎるとおとぎ話になる」とアルストン氏は語りました。「代わりに、多国籍企業や投資家は公共財源から保証された利益を引き出すが、貧しいコミュニティは無視され、十分なサービスを受けられない」

「不平等に取り組み、再分配を受け入れ、租税正義を真剣にとらえる貧困撲滅への新しいアプローチの時がきた」とアルストン氏は語りました。「貧困は政治的な選択であり、その根絶が社会正義の問題として再認識されるまで、なくならないだろう」

デシュッター氏は、アルストン氏の特別報告者としての最後の国連訪問であるマレーシアとスペインに関する報告書も発表する予定です。


フィリップ·アルストン氏は、ニューヨーク大学法科大学院ジョン·ノートン·ポメロイ記念教授であり、人権·グローバル正義センター長を務めています。彼は、2014年から2020年までの極度の貧困と人権に関する国連特別報告者でした。

フィリップアルストンの全声明はこちら

国連への報告書 貧困撲滅の困難な現状についてはこちら

人権·グローバル正義センター https://chrgj.org/

Original source: Ekklesia

Image credit: Some rights reserved by UN Geneva, flickr creative commons

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