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貧困と飢餓を迅速に終わらせるために必要とされる社会的保護

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2020年6月8日

社会的保護は普遍的人権であり、そして政府はいつでも飢餓と貧困を持続可能な形で終わらせることのできる手段をもっています。 それにもかかわらず、人類の大部分は保護されていないのです。Inter Press Serviceにジョモ・クワメ・サンダラムとアニス・チョードゥリーは説明します。


歴史的に、殆どの社会保障制度は先進国のフォーマルセクターで発展してきました。 しかし、世界の貧困者と飢餓者の殆どは農村地域に住んでおり、インフォーマル経済で生き残っています。

一方、世界経済は、2008年の金融危機後も回復に苦戦しています。 多くの政府が、金融市場の感知された圧力に直面して緊縮財政を追求したため、依然として暗い見通しをもたらしています。

公式失業率が低いままであるとしても、殆どの発展途上国は高い不完全雇用を経験し続けています。 商品価格が低く、貿易の緊張が高まっているため、中期的には事態は悪化する可能性があります。

そのような兆候はありませんが、長期的な経済回復が実際にすべてのセクターに恩恵をもたらせたとしても、特に不平等が貧困削減へのその影響を弱めるため、2030年までに飢餓と貧困を除去することは不可能です。 成長が包括的ではないため、貧困を脱出するための闘いは鈍化しています。

非貧困世帯の多くは、貧困に陥れられる原因となる様々な打撃を受けやすい状況下に置かれたままです。 このような打撃は通常、貧しい人々に長期にわたる悪影響をおよぼします。 しかし、必要な政治的コミットメントと財政的リソースがあれば、適切に策定された社会的保護によって貧困と飢餓を迅速に削減することができます。

国連持続可能な開発目標(SDGs)の2030アジェンダは、国々に対し、「下限を含んだ適切な社会保護システムと対策を全国民のために実施し、2030年までに貧困層と脆弱層を実質的にカバーすること」を委ねています。

国連食糧農業機関(FAO)の世界食料農業白書2015年報告は、社会的保護によって飢餓、極度の貧困、貧困が急速に減少するだけでなく、経済的および社会的リスクは勿論のこと脆弱性も削減できることを示しました。 社会的保護を実施することで、政府は危機にもっと適切に対応できるようになります。

貧困と飢餓の撲滅

社会的保護には、貧困と脆弱性を削減し、防止するために策定された政策とプログラムが含まれるべきです。 世界銀行の推定によると、社会的保護は2010年に、一様ではないにせよ、世界で1億5,000万人が貧困に陥るのを防止しました。

社会的保護は、受益者による投資を可能にし、彼ら自身の生産能力、勤労所得、消費、健康、教育、福祉を向上させることもできます。 蔓延る一般的な偏見に反して、それは大人の労働力と収入を減少させず、子供たちがより少ない労働でもっと学校に通うことを可能にします。

社会的保護の欠如は人々を貧困、不平等、社会的排除に陥りやすいままにし、経済的および社会的発展への主要な障害を構成します。 収入が増えると、地方経済の需要も高まり、望ましい乗数効果が得られるのです。

社会的保護は、食生活の多様性を高めることに加えて、より多くのそしてより良い食物消費を確実にし、食糧不安や季節的な飢餓を減らすことができます。 食料へのアクセスと食事を改善することで、栄養不良の経済的負担が軽減され、生活水準、生産性、収入が改善されます。

また、貧しい世帯がリスクにより適切に対応し、高利貸、恩顧主義およびその他の搾取的取り決めへの依存と脆弱性を軽減するのにも役立ちます。 社会的保護の計画および実施におけるジェンダーへの配慮は、食料安全保障を改善するだけでなく、女性にも力を与えます。

社会的保護は普遍的人権です。 しかし、国際労働局(ILO)の世界社会的保護報告2017-19年版では、世界の人口の45%のみが少なくとも1つの社会福祉手当を享受していますが、残りの40億人はまったく保護されていません。

普及格差は、特にアフリカ、アジア、アラブ諸国における社会的保護への投資不足を反映しています。 世界銀行の2014年報告書「社会的セーフティネットの現状(The State of Social Safety Nets 2014)」は、3億4,500万がカバーされているが、世界の極端な貧困層の8億7,000万はまったくカバーされていないと報告しています。

当然のことながら、最大の未達は低所得国にあり、人口の47%が非常に貧しく、人口の1/10未満、または非常に貧しい人々の5分の1がある程度の支援を受けているのみです。

低中所得国では、極度の貧困層1億7,300万人(28%)がカバーされていますが、4億7,900万人はカバーされていません。 高中所得国では、極度の貧困層の7,400万人(45%)がある程度の支援を受けていますが、受けていない人は9,300万人います。

世界銀行の世界開発報告(WDR)2019World Bank’s World Development Report 2019)によると、低所得国で最も貧しい五分位階層の18%のみが社会的支援を受けていますが、2%は社会保険に加入しており、これらの割合は高中所得国でそれぞれ77%と28%に上昇しています。

財政的に可能か?

財政緊縮は近年、社会的保護を弱体化させています。 持続的な失業とともに、賃金の引き下げと緊縮財政政策は貧困の増大の原因であり、現在、EUだけで8,600万人に打撃を与えています。

最近数十年で民間投資を誘発する取り組みにより、国々が有害な税競争に巻き込まれ、限界税率が急激に低下しています。 これは、社会的保護を維持および拡大する政府の能力にも悪影響をおよぼしました。

ローマに本拠を置く国連食糧農業機関は、2030年までに飢餓と貧困を持続的に終わらせるためにかかる費用を見積もりました。ILOの57の低所得国の費用見積もりは、最も貧しい国でさえ、すべての市民になんらかの社会的保護を提供する余裕があることを暗示しています。

一部の国では、社会的保護の下限を迅速に進展および拡張するための財政スペースがありますが、その他の国では、普及範囲と福祉手当を徐々に拡大する必要があります。 殆どの低所得国では、少なくとも当初は外部からの予算支援が必要です。

国々は通常、拠出型社会保険と課税ベースの社会的支援の組み合わせにより、普遍的な普及を実現しています。 各国はILOの社会的保護の下限計算ツールを使用して、児童手当や孤児手当、出産手当、障害、老齢年金のほか、仕事のない人のための公共事業プログラムの費用を見積もることができます。

十分な社会的保護は飢餓と貧困を迅速に終わらせることができますが、貧しい人々がより高い収入で働けない限り持続可能ではありません。 貧困層への投資における早い段階での大きな推進は、そのような追加収入をより早く生みだし、長期的な資金調達コストを削減します。

世界の貧困層の4分の3以上が、世界の人口のほぼ半分が居住する農村地域に住んでいます。貧困と飢餓をなくすには、農村部の収入を持続的に上げることが必要です。Rising incomes should, in turn, 

収入の増加は、投資を増やし、貧困の悪循環からの脱却を促進し、最終的には社会的保護の必要性を減らすはずです。

明らかに、飢餓と貧困を持続可能な形で終わらせることは、財政的に極めて実行および実現可能です。 十分な政治的意思と連帯性があれば、飢餓と貧困を迅速かつ永久に終わらせることができるのです。


Original source: Inter Press Service

Image credit: United Workers / Flickr Creative Commons

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