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グローバルな緊急事態

自然と協調し分かち合うという人間の性質を証明する豊富な科学的証拠があるにもかかわらず、主流の経済学者と政治家は、人間は本質的に利己的で競争的、強欲であるという想定を基準としています。

人間の性質についてのこの偏った視点は何世紀もの攻撃的な帝国建築、支配とコントロールの政治を定義付け、そして社会と国家の組織及びグローバル経済の機能の仕方を今だ支えています。経済へのこのイデオロギー的姿勢の影響は、政治的スペクトルの両側においての政府の政策の中で明らかです。殆どの国での優勢的動向は国家を収縮し政府の規制を解除し、公共資源の民営化を促進することにより社会形成の中で市場勢力の役割を過度に強調しています。社会的、環境的代価にもかかわらず、経済成長駆動型政策決定の追求とともに社会的進歩は大部分が消費主義を促進することに頼っています。

1980年代以降、市場勢力がグローバル経済を推進できるよう国家間の経済活動の全障壁を取り去り、政府の介入を制限することを狙って経済のグローバル化と「構造調整」を装い国際発展への根本的に異なる取り組みが形づくられました。ここ何十年間か一層の勢いを持って大凡全ての政府が大規模な企業の活動、負債に煽られた経済、世界貿易への収縮された障壁、そして国家間の拡大した資本移動などを融通した政策を追って来ました。結果として、国家の自己権益と国際競争及び多国籍企業、そして大部分が説明責任を果たせないグローバル機関へと経済力を移行した事業への「強者の残存」的態度を前提とし続けた国家間の貿易が残っています。

貪欲さと自己権益を制度化した「新自由主義的」イデオロギーは2008年の世界経済危機で信用を失ったかもしれませんが、グローバル・ノース及びサウス双方で政策の論議と活動を支配し続けています。平等主義的価値観、再分配及び社会権利に基づいた以前の経済の理想は、市場の想定的中立性と営利の優位性を当然とする新たな「常識」に置き換えられてきました ー それは、公共的議論とマスコミ討論の限界を定め続ける根拠のない決めつけです。商業化は現在生活の大凡全域に浸透し、現状における代替案を認識することから国民の大部分を億劫にさせる、世界の金融商品化的、市場経済化的見解へ全人口を引き込んでいます。

グローバル危機の解決策としての分かち合い

それにもかかわらず、今日の世界情勢は自由市場と私有化を拡大することはより経済的効率性と社会の幸福を生むであろうという展望へあからさまに疑問を投げかけています。市場勢力の自由化を通じて約束された経済の自由は実際、一握りの者たちのための自由と、拡大された富は分かち合われるであろうという中核的自由市場の約束の矛盾という結果となって来ました。国際的に資源を分かち合えないことにおける私たちの失敗は、本質的に不当で非常に不平等、そして環境的に持続不可能なグローバル経済システムの創造の原因となって来ました。人類は現在、世界の減少する天然資源を巡って断続する紛争と同様、大規模な貧困と上昇する不平等レベル、気候変動及びその全ての側面における生態学的危機を含む結果として相互関係した世界危機の連続に直面しています。

これら重大なグローバル問題の解決策として、経済の分かち合いを国家がどのように適応できるかは容易に想像出来ます。簡単な言葉で言うと、世界の富、権力、資源の公平な分かち合いは富裕国と貧困国の間を繋げ、万人の基本的ニーズを満たすための基盤となります。天然資源(土地や鉱物、化石燃料など)をもっと公平に、そして持続的に分かち合うための新たな国際的骨組みを確立することはまた環境を保護し、何世紀もの国家間の紛争を終わらせグローバル結束を助長させるためにも不可欠です。

この真に常識的展望から私たちが直面する大規模な危機を踏まえると、世界資源を巡って競うよりむしろ分かち合いに基づく新たな経済的パラダイムは国際社会が前進するための実際的方法を提示します。同時にそれは経済的利己主義、横行する商業化、そして純粋に物質的目標に基づく一般化したイデオロギーからの思い切った旅立ちを必要とする現状への革命的挑戦を提示します。


上記は「グローバルな経済の分かち合い入門」からの抜粋です。

フォト・クレジット: craftivist collective, フリッカー・クリエィティブ・コモンズ