生存のためのプログラム
現代文明の相互連結した危機への取り組みは長い歴史の中で人類が直面して来た大きな挑戦を象徴しており、人々と国々の間のより多くの理解、献身、そして約束だけでなく世界経済の完全な改革をも必要とします。
国家の権益と不可欠な資源を巡る激烈な競争を超えるためには、国際協力と真の経済の分かち合いを基盤とした政府間の政治関係において劇的な調整が必要とされます。しかし国際経済秩序のそのような根本的変革は、世界の世論が21世紀における最前の優先事項として貧困を抹消し、環境を保護することに焦点をあてさえするなら現実と成り得るのです。
政策立案への現在の「通常通り営業」的姿勢を考慮すると、不平等、資源不足、そして環境の破綻が危険なクライマックスに達するまで、世界的規模で政府が経済の分かち合いの必要性を受け入れることはあり得ないでしょう。それまでは変革と正義のための公衆からの圧力は必然的に高まるでしょう。そして政治家は最終的に歪んだ優先事項を改めるか、もしくは更なる社会的、経済的及び生態学的混乱の危険をおかすしか選択の余地がなくなるかもしれません。
世界の修復と蘇生のプロセスの展開を予測することは不可能ですが、もし必要な経済の変貌が民主主義的手段を通して起こるなら、完全に包括的な国際対話を何ヶ月という期間必要とするでしょう。これらの提案を要約することの目的はグローバル経済改革の条件を指図することではなく、公衆の参加とこれらの非常に重要な問題の議論を鼓舞し、世界資源の分かち合いを政府に要求するキャンペーンへの大衆支持を駆り立てることです。
既に概説されているように、改革され民主主義化された国連は大規模な経済的改革の協調的なグローバル・プログラムを促進することの出来る既存の多国間機関です。市民社会の幅広い連立はそれ故、全ての国の利益に基づきグローバル経済を再構築し協力的に管理するための広範囲な議題に同意するために、国連総会において国際首脳会議を開催するよう政府に圧力をかけねばなりません。これらの交渉は世界の貧困、環境と安全保障の危機を軽減するための即時かつ長期の対策へ焦点を合わせるべきです。私たちの集合的価値とグローバルな相互依存を受け入れるために、それは経済関係において根本的転換を必要とするでしょう。
次のセクションはこの変革的な世界的議題の重要な柱を要約しています:
1. 人道援助の国際プログラム: 定義的に国家間及び国内での経済の分かち合いのどのような過程も、まさに極貧層の緊急のニーズを優先せねばなりません。この緊急の必要性を踏まえると世界的交渉の初段階において主な懸念は、世界のどこであろうと命を脅かす剥奪と回避可能な貧困に関係する死を未然に防ぐための人道援助の緊急プログラムを組織化し、実施することでなければなりません。このようなプログラムは可能な限り短時間枠で同意され実施される必要があり、既存の緊急援助予算と人道プログラムを超える国際機関、資源及び専門知識の前例を見ない動員を必要とします。
2. グローバル経済の構造改革: 国連総会はまたグローバル経済を再構築するための戦略を討議し、交渉し、実施するために全ての国と全ての社会部門からの代表と共に世界規模の公開協議を開催せねばなりません。これらの交渉が考慮すべき多くの改革の中で、万人のための十分な社会的保護と十分な公共サービスへのアクセスを保証することに特別な注意が払われねばなりません; 公平で持続可能な世界的食糧制度を確立すること; 天然資源をより公平にそして地球の限界内で分かち合うための国際的骨組みを制定することです。
このような熱望はある人たちにとって極端に見えるかもしれませんが、上記のふたつの提案は30年以上以前に「国際開発問題に関する独立委員会のレポート(ブラント委員会)」によって提出されたそれを広く反映しています。30年間の経済のグローバル化後、今日の世界問題はより一層複雑で相互連結しており、地球危機へ取り組むために必要な解決策はブラント・レポートへ貢献した委員の提案を遥かに越えるものでなければなりません。ブラントが話していた現在の極限に達する格差にもかかわらず、もう一方で「持続可能な生物学的環境と公平に配分された資源に基づく持続可能な繁栄を保障する」集合的努力において国々が共になるという彼の展望から私たちはまだ程遠いのです。
私たちは文明危機の真っ只中にあり、経済的、生態学的惨事を回避する唯一の希望である「生存のためのプログラム」を政府が実現するための時間は僅かしか残されていません。
上記は「グローバルな経済の分かち合い入門」からの抜粋です。
フォト・クレジット: NathanaelB, フリッカー・クリエィティブ・コモンズ