• English
  • 日本語
  • France
  • Deutschland
  • Italy
  • España
  • Slovenia

緑の党コンファレンスにおいてSTWRがキャンペーン・ビジョンを提示する

STWR
2018年3月19日

今回STWRはイギリス・ボーンマスで開催された春の緑の党コンファレンスへの参加を通してオーガナイゼーションとしてのキャンペーン・ビジョンを参加者に紹介するイベントを主催しました。

今回のプレゼンテーションおよびディスカッションでは真のユニバーサル・ベーシックインカムへの道を整える目的のなか − 万人の十分な食糧、住居、医療および社会保障のために − 基本的な国際法としての世界人権宣言第25条の実現により全体に浸透した不正と深い人間の苦しみに取り組むことの正当性を提示しました。

断続する莫大な平和的抗議デモを通して第25条を要求する一般人の集結した善意のみが豊かな世界の貧困の根絶をもたらすことができるのだと論議する、ヴィクトリア・ゲイターとソニア・シャーンドルによって行われたこの公演は、全体として肯定的に受け止められ、60人以上の参加者を交え活発なQ&A質疑応答セッションへと展開しました。

− 以下は公演をテキスト化したものです。

世界人権宣言第25条およびユニバーサル・ベーシックインカムのためのこのイベントにお越しいただいたことを心から歓迎し感謝を申し上げます。懸念を持ち献身する人々と会うこと自体大変やる気を起こさせてくれます。私はヴィクトリア、そして同僚のソニアです。私たちはシェア・ザ・ワールズ・リゾースィズというオーガナイゼーションから来ました。

STWRは2003年にモハメッド・メスバヒによって創始された、国連経済社会理事会の協議資格を持つロンドンベースのキャンペーン・グループです。飢餓、貧困、気候変動、環境劣化、そして世界資源を巡る紛争などを含んだ世界の危機の広範囲に渡る実際的な解決策として、分かち合いの原理を世界情勢に融合させることの正当性を主張しています。私たちはまた世界の最優先事項として、貧困が原因で起こる死を根絶するための国際緊急プログラムを提唱します。
 

今日のこのセッションは、ベーシックインカムのための道を整えるために、すべての国のすべての人の基本的権利として私たちが考える、世界人権宣言第25条を実現することに関するものです。このことについて今から20分程話をし、その後質問等などのディスカッションに移ります。緑の党を含んだ世界中の団体によって話し合われているベーシックインカムというのは、基本的ニーズを保証するための無条件で定期的な給付金を全国民に支払うというアイデアです。私とソニアはこれと同じプレゼンテーションをするために去年ポルトガルのベーシックインカムの国際会議に主席しましたが、様々な方法でこのアイデアに取り組み世界の多くの場所で行われている試みの結果を報告する人々が33の国から来ていました。

世界的協力への鍵として第25条を行使することによって、世界中で真の完全なベーシックインカムの論議を強化するであろう戦略を私たちは提案します。私たちが話すことはあなた方が今まで聞いてきたものとはまったく違ったアプローチかもしれませんが、考慮していただけることを願います。

私たちのアプローチはグローバルな展望からのものであり、今言及した相互連結した危機にどう取り組むことができるかということです。それらの危機は基本的にはすべて、経済システムのなかに築き込まれた不正が原因となっています。私たちが世界に対する見方をどう変えねばならないかということ、そして必要とされる変革をもたらすためにはどのように大規模な市民社会参加が必要とされるかということについて話します。政府は私たちを何度も失望させてきました。すべての問題が悪化しています。従って持続力のあるどのような解決策も善意ある一般人である私たち全員からのものでなければなりません。他に選択肢はないのです。

私たちの展望は包括的であり私たちは世界をひとつの完全体として考え、そしてその多様性において人類はひとつの不可分の完全体だと考えます。この「一体性」の概念はただの希望にすがった哲学でなく非常に魅惑的な生物学的研究から量子物理学に至るまで多くの化学調査の分野により裏付けられているのです。

30条ある世界人権宣言は1948年に国連総会によって導入されました。それはすべての政府によって実際にその当時署名されましたが、世界人口の大部分にいまだ保証されていません。

(スライド) - これが世界人選宣言第25条です: 

  1. すべての人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他の不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。

  2. 母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。

ここから次に進む前に、分かち合いと協力を中心とした、第25条が真に実現された公正で持続的な世界をほんの少しの間想像してください。

万人のための十分な食糧、住居、医療などの基本的ニーズのすべてが充足され経済的心配から解放されたことを想像してください。世界がどのようなな様相を呈し、人々がどのように違った時間を過ごしているだろうか考えてください。現在酷い貧困にある何百万人という人々が初めて感じるだろう希望を想い描いてください。それがどのように私たちお互いの関係を変えることができるかを想い描いてください。

残念ながら現時点の世界の現実はこれとは大変異なります。私たちはどのようにしてこの時点に達してしまったのでしょうか。そしてこんなに多くの苦しみをどのように作り出すようになってしまったのでしょうか。それはなぜなら私たちは本当に数多くの世代を通して自分たちの一体性よりもむしろお互いからの分裂感のなかで生きてきたからです。それは自己中心性、貪欲、競争そして国家主義をもたらしました。そしてそれらの分裂と競争が主要要素として私たちの経済、教育、政治、その他の領域において私たちが築き上げてきたすべての構造のあらゆるところに浸透しているのが実際に見られます。

そしてまた私たち全員の分割を深め、国内および国家間双方での大変あからさまな富の格差を深める、蔓延る商業化の存在があります。

私たちの主流の教育システムは事実上私たちを組立ラインにのった「良い消費者」にしてしまいました。そして私たちの人生の本当に多くの側面が利益をあげることに関係しているように見えます。この深く根を張った商業化プロセスは常に悪化する貴重な資源の乱用や無駄、環境破壊をもたらしています。

気候変動、干害およびその他の自然災害、そして胸が張り裂けるような貧困と貧窮

一億5百万人が慢性的な飢餓に苦しんでいます。1日4万人が飢餓、栄養失調または他の貧困関連の原因からこの瞬間にも亡くなっています。

事実世界の食糧が倉庫で腐り果てている一方で、イエメン、ナイジェリアそしてソマリアでの飢饉の可能性のなか世界初の最大の食料安全保障危機に私たちは見舞われています。

私たちはまた干害、紛争および貧困が原因で住居を失った6千5百万人以上の人々を持って第2次世界大戦以来最大の難民危機を抱えています。

この苦しみの巨大さは理解を超えています。少なくとも70%の世界人口がどのような社会福祉も保護にもアクセスを持ちません。自分の子供が栄養失調に苦しみ餓死する姿を目の当たりにすることがどのようであるのかということは想像に絶します。お腹を空かせた子供たちをなだめるためにご飯の用意をしているように装い石を煮るメキシコの貧しい母親たちの話を私は友人から聞きました。

大企業や億万長者の間のかつてない富のレベルにも関わらず、ご存知のように富裕国における苦しみもまた拡大しています。ホームレスが急増しフード・バンクの利用が増加しました。去年イギリスでは百万人以上の人々がフードバンクを利用しました。

フードバンクの利用者の増加。イギリスでは120万人がフードパンクを利用。

社会福祉制度はさらに厳重および残酷になっており多くの国で民営化されています。

世界中の歴代の政府はこれらの拡大する問題を解決できなかっただけでなく、市場勢力が世界情勢にますます影響を与えるがままにさせています。私たちは分岐点に来ているようです。厳しい選択を迫られています − (現在の人口過剰に関わらず、実際には万人に行き渡るのに十分な)世界資源を分かち合うために私たちの政府が互いに協力し始めるか、あるいは取り返しのつかない時点までこの同じ分裂と破壊の道を進み続けるかということです(それはもし気候科学者が正しいなら実に僅かな時間しか残されていません)。それではこの地点から私たちはどのように真に公正で持続可能な世界に到達できるのでしょうか。
 

ユニバーサル・ベーシックインカム

ここでユニバーサル・ベーシックインカムまたはUBIが登場します。それはこの時代の最も重要な社会運動のひとつです。誰一人として貧困で生活することのないようそれは世界中のすべての人が対象であることが不可欠だとSTWRは考えます。

そして私たちの論議は、真に完全な UBI構想が世界中のすべての国で実現され得る前に政府はまず第一に世界資源の大規模な再分配を誓約せねばならないというものです。それはあなた方が聞いたことがあるかもしれない「南と北:生存のための戦略」という1980年のブラント委員会報告のビジョンの方向性に沿ったものです。この報告書は旧式にも関わらず中心となるアイデアは今日にも適応され得るものです。

 

ブラント委員会報告

このグループは国際緊急プログラムを提唱し、そして世界の生存のために世界経済システムの大再構築を提唱しました。残念ながら知られているように、今日の世界のリーダーたちは強力な企業および経済界勢力、特に軍需産業から恩義を受けており国際レベルの協力や分かち合いどころか国民のニーズに完全に仕えることさえしていません。優勢的気風は「生きる権利」でなくむしろ「殺す権利」であるかのように見受けられます。

しかしもし第25条が基本的法律であったなら状況は誠に大変違っていたでしょう。政府は大企業の利益への関心でなく国民のニーズを優先して充足させるよう義務付けられ、真の協力のなか緊急プログラムに同意せねばならないでしょう。そして自国の利益だけでなくむしろ全世界の共益のために他と共に取り組まねばならないでしょう。

第25条実現へのグローバル・コールがUBIへの要求の代わりになると暗示しているのではありません − このふたつは双方が平等に重要です。

それを賄うことのできる一定の国だけで実現される部分的なベーシックインカムだけでは現在の政治的および経済的状況下においてそれが持続する可能性はあまりないと思われます。例えば、国内のベーシックインカムのアイデアのための国民投票を行ったスイスがそれをもし全国民のために実行したと想像するなら、それは暫くの間は保たれるかもしれませんが、貧しい移民の流入を防げたとしても長期的には企業のグローバル化と商業化の外部からの圧力のなかでそれを持続させることは大変難しいでしょう。多国が既に通常成功結果を持って小さな予備計画を導入していますが、社会福祉および福祉制度が商業化パラダイム内で退廃したように、長期的にはそのような構想は徐々に退廃する可能性が大きいことを私たちは提示します。

現在の世界状況はますます不安定で激変しやすいですが金融部門は特に不安定です。再び経済危機が来ると予測するトップの経済学者が世界中にいます。もし彼らが正しいならそれは前回よりもっと大きなものになり多くの国を無力にするでしょう。もしそれが起こったらベーシックインカムが議題として保たれると本当に私たちは考えるのでしょうか?

しかしながらもし第25条が首尾よく実施されるなら遠大なドミノ効果を持ってその影響は膨大であるでしょう。モハメッド・メスバヒによるこの本「世界人権宣言第25条 − 人々の世界変革のための戦略」から可能性のある変革のいくつかの例を挙げました:

  • 世界の最も貧困化した地域に食糧と不可欠な資源を再分配することをもし最優先するなら − 命を脅かす貧困と飢餓の終焉
  • 土地争奪の廃絶
  • 食糧投機と市場価格を操作するための食糧の溜め込みや破壊の廃止
  • 公共サービスの商業化の廃止
  • 債務救済
  • 資源の向け直しと並行して軍事費の大幅削減および軍事行動の縮小
  • 租税回避地の廃止
  • 貧困が過去60、70年間の急速な人口成長の根本的な要因であることがよく知られるように、人口レベルは最終的に減少し安定する
  • より公平な貿易規則
  • 環境を救うための、法的拘束力ある国連気候条約および強硬手段など、多方面にわたってさらに影響を及ぼす緊急プログラムを通してのノースとサウス間の協力の拡大

事実、この本のまるまるセクションひとつが環境問題にあてがわれています。なぜなら、第25条を行使することによって環境危機もが同時に対処されるからです。貧困と気候変動は密接不可分に結びついています − 双方が同じ商業化プロセスによって扇動されているためこれらの例のなかの多くにこれがどのように良い影響をもまた環境に与えるであろうかを見ることができるでしょう。一度私たちが商業化、貧困そして気候変動の間の相互関係を理解するならどのように世界資源の分かち合いがこれらすべての問題の解決策となるかがわかるでしょう。

これらすべてが整えられ必要な場所への世界資源の再分配を持って必要な下部構造の構築を可能にし社会サービスや医療サービスそしてその他が整えられたなら、真に世界的なUBIが可能になるだけでなく実際には第25条の権利の充足を保証するための次の段階に達するであろうことは論理的です。実際にUBIは不可避となるでしょう。

貧困だけでなく世界の貧困の原因にも取り組むだろう第25条の実施のための論理的正当性の概要を述べたところで、残された問題は万人のための第25条を最終的に保証するようすべての政府をどのように納得させるかということです。

突然政府が現実に目覚める様子がないことを考えると、世界中で断続する膨大な平和的デモによる第25条への団結した要求を持つ一般人の結集された善意を通してのみそれがもたらされるだろうことを私たちは提示します。


人々のパワーは過小評価されるべきではありません。もし私たちがひとつのアイデアの旗の下に集結しそれを支持するなら世界中の何百万人という人々がどのような影響を持つかを想像できますか。第25条は結束的なアイデアです。それは十分な食糧、住居、医療および社会保障の基本的な権利のための本当にシンプルな声明で簡単に理解することが可能なため、自分は政治に関係ないと普段感じているかもしれない大勢の一般人に対しても訴えかけることができます。


それは結束力あるビジョンであり富裕者と貧困者を結びつけることができます。最富裕層でさえが私たち皆が生活必需品へのアクセスを持つべきことに恐らくは同意するでしょう。生存のために苦闘する最も疎かにされているスラムや村の極貧のなか生活する人々にもまた訴えかける力があるでしょう − その人たちにとってそれはオキュパイ運動またはアラブの春の運動や他の世界的問題とは違って彼ら自身にも関係があり理解可能なものでしょう。


世界人権宣言第25条

第25条は非常に多くの問題を解決する鍵です。歴史を通して過去から今日までのグローバルな活動家の要求の多くがそのなかに埋め込まれています。それは、その傘下に他の大変多くの問題への解決策が組み込まれており、そして世界資源を再分配し世界経済を再構築するよう政府を駆り立てるための最も確かなルートなのです。

しかし世界的なデモンストレーションは可能なのでしょうか。オキュパイやニュイ・デブ(起きたままの夜)のように大変迅速に他国に広がった最近の活動家の運動を私たちは見てきましたが、それらは十分に長い期間持続されなかったため、望まれた結果を達成しませんでした。歴史的に、抗議デモはそれが十分に長期間を通して持続されたなら、成功できることが目撃されてきました。例えば、イギリスの女性参政権運動やアフリカ系アメリカ人の公民権運動などです。

「We Are Many(私たちは多数派)」というタイトルの2014年の映画は、2003年のイラク戦争反対運動の世界規模のデモンストレーションについて探っています。そして、1日だけでなく断続したデモの必要性について多くの解説者が話しています。

イラク戦争反対のデモンストレーション − 「We are many, they are few(私たちは多数派、彼らは少数派)」

この本「世界人権宣言第25条を布告する」は、なぜ断続した大衆のデモンストレーションが最終目標を達成するだろうかということを説得力を持って説明しています。

この本の主要な論議はこれです:

「他の人々はどうなるのか?」と問う認識的マインドと慈悲的ハートを持った、世界的規模の大衆の団結を通してのみ、私たちは政府の優先事項を転換できるのです。

国内問題のために活動をする政治家だけでは決して十分ではないでしょう。

ひとつの善意あるシンプルな目標に基づいたそのような断続した抗議デモを、前例のない真にグローバルなものとして私たちは考えます。それが行動主義および運動の構築への新たなアプローチとなるでしょう。私たちの世界が現在のような危機状態に陥ったことはかつてありませんでした。それを変えるためには、意識変革そして何百万人もの人々の動員を必要とします。

巨大なデモンストレーション

もう一度UBIに戻ると、UBI運動家やその他の運動家が彼らのやり方を変えるべきだと私たちは提案しているのではなくむしろ、すべての国でのUBI実現へのドアを開く鍵として、彼らの活動と並行して第25条を要求することを提案しているのです。

結論として、今日私たちは多くのグローバルな課題に直面しており、それらはやはりグローバルな解決策を必要とします。正しいことをしてもらおうとただ政府に依存することは周りの苦しみに対して私たちを無頓着にします。しかし、他人の苦しみが自己の苦しみであること、そして他人から自己を分割できないのだということを私たちが真に理解するなら、ひいては私たちの行動は違ったものとなるでしょう。

世界は相互関係した生命体です。従ってもしその一部が病気に蝕まれるなら、それは最終的に残りの世界を蝕むでしょう。これは、貧困国の経済移民とヨーロッパへの難民の最近の大量移住両方の大規模な集団移動に非常に明らかに見て取れます。私たちのなかの最も貧しい人々に起こることは私たちにも影響を与えます。なぜなら、私たちはひとつの人類だからです。

不平等は私たち皆を傷つけます

ですから、西洋諸国の私たちの権利のためだけに戦うのではなく、日々飢えから死んでいく忘れ去られた私たちの兄弟姉妹全員のためにも皆で一緒に戦いましょう。そして彼らの人生に初めての希望をもたらしましょう。

ひとつの世界、ひとつの人類、世界資源を分かち合いましょう

 

 

 

 


さらなるリソース:

モハメッド・メスバヒ、「全人類のためのユニバーサル・ベーシックインカムに向けて」、シェア・ザ・ワールズ・イゾースィズ、2017年9月。

モハメッド・メスバヒ、「世界人権宣言第25条を布告する:人々の世界変革のための戦略」、シェア・ザ・ワールズ・リゾースィズ、2015年7月。

ビクトリア・ゲイターおよびソニア・シャーンドル、「世界人権宣言第25条およびベーシックインカム保証の実現」− 第17回ベーシックインカム・アースネットワーク(BIEN)会議に平行して提出された報告概要。

Article 25 and a Universal Basic Income: the perfect match, by Sonja Scherndl