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一年の総括
世界資源を分かち合うという大義は、2022年に新たな重要な高みに達しました。世界的なパンデミックに戦争、金融ショック、気候変動が重なった後、極度の貧困に苦しむ人々の数は過去最高に達しました。記録的な3億3,900万人が救命支援を必要としましたが、これは世界で3番目に人口の多い国に相当します。しかし、国連機関はまた、世界的なニーズが常にコミットメントを上回り、人道救援活動への記録的な資金不足にも直面しました。経済的不平等が急激に拡大し続ける一方で、世界は2030年までにあらゆる形態の飢餓と貧困をなくすという公式目標から後退しました。
STWRの主な目的の1つは、豊かさの中での貧困の現実、特に21世紀における飢餓という回避可能な不正義について国民の認識を高めることでした。世論調査によると、英国ではほとんどの人が、過去40年間で最悪の干ばつがアフリカの角で発生しており、48秒ごとに1人が餓死していることを認識していませんでした。したがって、STWRは、40年以上前のブラント委員会の提案に沿って、国際緊急プログラムを主張し続けました。このシンプルなビジョンを支持するよう一般の人々に呼びかけることは、ブログの執筆、ソーシャルメディア、イベントへの参加と主催、本の出版を通じて、引き続き私たちの組織活動の中心でした(詳細は下記を参照)。
2022年に激化したロシアのウクライナ侵攻は、戦争に関与しなかったグローバル・サウスの人々に悲惨な人道的影響を与え、世界の歪んだ優先順位をさらに浮き彫りにしました。私たちはイベントやオンライン活動で、世界的な食料価格の高騰によりさらに6,500万人が極度の貧困に追い込まれていると同時に、世界の貧困国への外国援助が削減される一方で、軍事支出が激増していることについて声を上げました。私たちはまた、生活費危機の最中にエネルギーや食料品の値上げで莫大な利益を得た巨大企業に対する棚ぼた課税の要求も支持しました。
地球の気温を臨界値以下に抑えなければ人類は「集団自殺」に直面すると国連が警告したと同時に、気候危機はもう一つのSTWRの焦点であり、エジプトで開催されたCOP27会議中、私たちは、衡平の原則、公平な分担、歴史的責任の原則に基づく「公正な移行」という市民社会のビジョンを推進しました。私たちは新しい「損失と損害」基金の設立を称賛しましたが、化石燃料から100パーセント再生可能エネルギーシステムへの迅速かつ公平な移行から国連の協議がどのくらい離れているかについても詳説しました。私たちの重要なメッセージは、STWRの創始者であるモハメッド・メスバヒによる気候変動に関する本で繰り返し述べられています。つまり、今こそ、政府に最優先事項としてゼロ炭素経済への移行を強制するための大規模かつ継続的な世界規模の抗議活動を行う時です。
STWRの大衆動員の提唱は、環境問題を超えて、貧富の格差拡大に対する「不満の時代」にも及びました。調査によると、世界中の何百万人もの人々が、緊縮財政、民営化政策、医療の衰退、食料価格の暴騰などに直面して、経済的および社会的正義を求める要求を表明するために立ち上がっています。STWRは、世界人権宣言第25条の旗のもとに、これらの問題を結びつける国境を越えた市民運動を主張し続け、すべての人のための適切な生活水準以上のものを求めませんでした。より平等で持続可能な世界を目指すこの「人々の戦略」は、以下に詳しく説明するように、組織としての教育、キャンペーン、研究、出版活動の中心であり続けます。
キャンペーン、活動、イベント
STWRは、英国、西ヨーロッパ、米国の関心を持ったグループを対象とした定期的なオンライントークを通じて、第25条を求める私たちのキャンペーンを推進しました。プレゼンテーションでは、世界中の極度の貧困の現状と、各国の法の支配によって人権が保護される必要性について概説しました。参加者はこれらの問題について話し合い、世界資源の分かち合いを通じて「豊かな世界での貧困をなくす」よう各国政府に求める拡大する運動に参加するよう招かれました。参加者の多くは、フードバンク、ホームレス保護施設、教会グループにおける取り組みと、その他の低所得者層を支援する活動を通じて、経済的分かち合いという私たちの目標に関心を持った懸念する市民でした。これらのオンライントークでは、プレゼンテーション後に多くの参加者と活発な議論が行われ、第25条の旗の下で平和的で継続的なデモを行うという私たちのビジョンを推進しようとする数多くの個人からの支持が生まれました。
STWRが年間を通じて支持または参加した他のイベントには、アメリカの気候活動家と連携した「Fight for Our Future」;Global Climate Strike;「End Austerity」キャンペーンと活動フェスティバル;「Global Week of Action for Justice and Debt Cancellation」;新型コロナ感染症ワクチン特許放棄を要求する世界中の若者たちや、「ワクチンの衡平性」への要求;COP27サミットの周りの市民社会の動員が含まれます。また、私たちは、「食料への権利」を法制化するための英国国会議員の取り組みなど、第25条の大義に直接関連する英国でのいくつかのイベントも支持しました。STWRはまた、World Goodwillが主催するウェビナーの約100人の参加者への講演など、招かれた場合には他のグループに私たちのキャンペーンを紹介する機会も歓迎しました。
私たちのコーワーカーは、世界的な分かち合い/第25条の理念と大義を促進するために、年間を通じて多くの草の根イニシアチブに取り組みました。これには、米国およびその他の国でポスター、リーフレット、ステッカーを配布するキャンペーンが含まれ、私たちのソーシャルメディアプラットフォームにおいて印象的な写真がいくつか掲載されました。 ニューヨークのコーワーカーの一人は定期的に国連本部を訪れ、私たちのキャンペーンを宣伝したり、関連イベントで他の組織と連携したりしていました。そしてビルボードキャンペーンは、私たちの「社会経済的権利を達成するための人々の大義」を広めるためにさらなる資金を集め、ロンドン中を移動するバスの後ろに広告を掲載するための目標である11,000ポンドにほぼ達しました。
リサーチ、執筆、発表文献
この年、「分かち合いの経済:ハートの時代の幕開け」を皮切りに、2 冊の新刊がリリースされました。このユニークな本は、近年人々の想像力を掻き立ててきた、分かち合いについての道徳的、政治的、霊的正統性を探っています。「ギフト経済とバーター」に関する詳細な解説と有益なアネックスを備えたこの本は、「分かち合いの原理についての考察」をテーマとした STWRの著作シリーズへの貴重な追加資料となります。
2番目の出版本は、ダストジャケットのデザインにニコラス・レーリヒのアートワーク(バガヴァーン、1943年)を使ったスペシャルハードカバー版の「人類のコモンズ」でした。この主題に関する学術文献とは異なり、この出版本は、コモンズがその物質的および社会的側面を超えて最終的に何を意味するのかを探求しています。STWRの創始者である著者、モハメド・ソフィアン・メスバヒは、読者との相互探求の精神で、貧困を終わらせるために人々の団結した声がどのようにして人類のより大きなコモンズに対する世界的な認識をもたらすための第一歩であるかを探ります。
STWRチームは、Troubador Publishingと私たちのソーシャルメディアプラットフォームを通じて、また関係者への電子メールや手紙を通じて、これら2冊の書籍を宣伝しました。次に出版予定の本は、グローバル・ガバナンスと分かち合いの原理をテーマにしたSTWRのこれまでで最も野心的な本です。この本の下書きは2022年に完了しており、世界的な経済の分かち合いの大義をめぐるすべての重要な課題を学術用語で探求する著者への予備インタビューも含まれる予定です。
分かち合いの経済と人類のコモンズの両方のスロベニア語の翻訳が完了し、日本語とドイツ語でも改訂および更新されました。STWRの日本語ウエブサイト(www.sharing.org/ja)は、英語サイトを反映するために年間を通じて更新されています。
2023年のプランと優先事項
キャンペーン、活動、イベント
世界人権宣言第25条のためのキャンペーンに沿って、STWRは世界における分かち合いと正義の深刻な欠如を反映する政治的大義を引き続き推進していきます。これらの大義は多数ありますが、私たちは、深刻な食料不安にある人々に今後も焦点を当てていきます。その数はわずか2年で2倍に増加し、気候変動、紛争、現代史上最大の世界的食料危機の結果、さらに増加する見込みです。メディアの注目が著しく不十分な、生命を脅かす貧困という世界的緊急事態に対する国民の認識を高めることは、今後もSTWRの中心的な目的の1つです。私たちの主要なアウトリーチ活動は、大学、活動家のイベント、関心を持つグループなど、機会があればどこでも、私たちのキャンペーンに関するオンラインでの講演や公開プレゼンテーションを継続します。私たちはまた、ポスターや看板広告のためのより多くの募金活動、活動家の集会でのネットワーキング、その他の関連するキャンペーン活動の支援を通じて、第25条キャンペーンの推進を目指します。
ウエブサイトとオンライン活動
STWR のもう1つの重要な優先事項は、第25条の大義を説明する教育リソースを拡充することです。世界資源を分かち合うという重要なテーマを説明するSharing.orgの「もっと詳しく知る」のセクションに、さらにリソースを追加する余地が大いにあり、イントロダクトリーウエブページ、よくある質問、および関連コンテンツはすべて更新する必要があります。従事する市民がダウンロードして第25条に関する地域のキャンペーンで使用できるように、さらに多くの資料を追加することもできます。同時に、私たち自身のブログ、記事、ゲストコンテンツは、経済的分かち合い/第25条の大義との関連性を引き続き強調していきます。 経済の分かち合いや第25条の実現は包括的な課題であり、世界的な正義のための運動家たちの他のすべての主要な優先事項が含まれています。ウェブサイトのプラットフォームを更新し、コンテンツのレイアウトを改善するために、来年にはウェブサイトの更新も予定されています。
発表文献、リサーチ、執筆
「世界統治と分かち合いの原理」に関する私たちの主要著作は、最終的に2023年にTroubador booksから出版される予定です。世界統治に関するすべての重要なテーマを網羅するこれまでの最も包括的な執筆として、私たちのキャンペーンをさらに強化し、今後1年間のSTWRに新たな機会をもたらすでしょう。また、これは、STWRが世界資源の分かち合いのより霊的な側面について議論するための扉を開くものであり、これまで私たちの活動を知らなかった世界中の広範な人々にもアピールするでしょう。2023年は、オンライン ネットワーキング、ブログ執筆、インタビュー、広告、講演など、利用可能なあらゆる手段を通じてこの本の拡散を促進するための多大な取り組みがなされるでしょう。私たちのその次の主要な研究と執筆プロジェクトには、(不朽の知恵の教えの観点からの)大規模な大衆デモンストレーションをテーマにした別の本が含まれます。これは大部分下書きができており、最終的な見直しと出版を待っています。さらに、STWRには、「分かち合いの原理についての考察」のテーマのもとに執筆された過去の出版物、とりわけ代表的なキャンペーン本である「第25条を告げる: 世界変革のための人々の戦略」を宣伝し続ける余地がたくさんあります。
STWRのリサーチおよびアドボカシー活動の断続
私たちの取り組みは、あなたの断続する支援なくしてあり得ません。STWRは完全に個人からの寄付だけで成り立っており、政府や他の機関からの資金は一切受けていません。そしてどのような政党や企業の事業とも関連を持ちません。STWRはチャリティとして登録されていないため、すべての資金は制約を受けることなく、私たちが取り組む世界問題について明確な政治的立場を取り、限りある収入を直接リサーチおよびアドボカシーに当てることができます。現在の多くの革新的オーガナイゼーションの例に漏れず、私たちの小チームとボランティアは、倍増する予算のプレッシャーに直面しています。あなたの寄付は、STWRウエブサイトを維持し、リサーチ、執筆、伝達を断続すると同時に、グローバル危機の解決策としての分かち合いの原理に対するグローバル正義運動の中での支持を生み出すのに役立ちます。以下のリンクから寄付をご検討ください: https://www.sharing.org/ja/watasitachi-ni-tuite/kifu-suru