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2019年における私たちの活動とインパクト
世界資源を分かち合うための呼びかけは、2019年の国際的なイベントの中心であり続けました。飢餓の範囲は、主に紛争と気候変動に牽引され、3年連続で増加している一方で、世界の人道的ニーズは数十年で最高レベルに達しました。世界の強制移動の危機もまた、政治的怠慢と資金不足のために悪化し続けました。世界の最貧国による債務返済は2010年以降2倍になりましたが、国際援助目標の達成は後退しました。2030年までに貧困を撲滅するという国連の壮大な計画は、特に多国間協力の悪化によって妨げられ、途方もなく軌道から外れました。全体として、富と権力のますます不平等な分配は、産業革命以来見られなかった種類の社会における「新たな大分岐」の脅威を与えました。
STWRのこの年の活動の中心的目標の1つは、世界的な経済の分かち合いの必要性を反映するこれらの重要な社会的および政治的動向を強調することでした。私たちのアップデートされたウェブサイトは現在、分裂した世界の現実に関する情報の貴重なリポジトリとして機能するだけでなく、希望と変化の多くの前向きな兆候を取り上げています。たとえば、グローバルな政策の観点から、今年の主要な国際政治イベントに関する解説を強調しました。これは、1月にあった毎年恒例の世界経済フォーラムというシャレード(見えすいた真似事)から、9月下旬に国連総会で開催された6日間の「メガイベント」まで、 そして最後に、嘆かわしい12月の気候変動に関するCOP25会議で終わりました。
私たちのウェブサイトのコンテンツの多くは、幸福の経済学;真にグローバルなグリーン・ニューディール;生物多様性に基づく農業システム;気候変動交渉への公平性に重点を置いたアプローチ;あるいは、実に国連の民主化を求めるさまざまな要求などの提案のように、分かち合いへの呼びかけを反映する新しい経済パラダイムにも向けられました。分かち合いへのアイデアと政治的要求が人々のイマジネーションのなかでもっと著しく一般化するまで、これらのサイトリソースは、従事する市民を教育し、関連する「分かち合い関連」の問題への認識を促進するための有用なツールとして機能します。
私たちがネットワーク全体を通して取り上げた今年のもう1つの重要な進展は、一新された草の根抗議活動であり、2010年代初頭以来最大に急増しました。 2019年初頭から学童が主導する地球規模の気候ストライキを皮切りに、さまざまな国の数百万人もの市民が政府の優先事項の転換を要求する大規模な街頭デモに参加しました。年末に向けて、東アジアからラテンアメリカ、北ヨーロッパから中東まで、これら多くのリーダーのいない一般人の自発的集まりの中心的要求は、極端な不平等の終焉と国家の富のより公平な分かち合いでした。これはSTWRに、第25条を中心に結束するための「人々の戦略」に基づいて、より多くの経済の分かち合いを求める私たちの主張を促進する重要な機会を与えてくれました(下記のキャンペーン・セクションを参照)。
リサーチ、執筆、出版本
STWRの出版本への一般的に良い反響のため、現在、トルバドール出版社からの本および電子書籍形式での「分かち合いの原則についての考察」の全シリーズを出版することに私たちは従事しています。このプロセスは、気候変動に関する著作「気候危機への取り組みにおける政治と霊性の交差点」から始まりました。これは、12月の国連気候変動会議(COP25)の直前に合わせたリリースでした。STWRの中核となる出版本「世界人権宣言第25条を布告する」の改訂版に加えて、同じような形式で出版されることが可能なさらなる4冊の本もあり、調和したブックカバーデザインの同じ教育執筆シリーズの一部として出版される予定です。これには、モハメッド・ソフィアン・メスバヒによる記事のコレクションを含む特徴的な考察本が含まれ、STWRの目標と戦略的ビジョンへのわかりやすいイントロダクションを提供します。
シリーズの7番目で最も重要なタイトル(世界統治の主題に関する対話と変革の展望の概要)は、目前に迫っている完成までメスバヒとアダム・パーソンズの取り組みの焦点として残ります。これは、これまでで最も野心的なプロジェクトであり、STWRの組織プロファイル、キャンペーン活動、および学者の活動家コミュニティにおける私たちの一般的位置付けを大きく向上させることが期待されます。
私たちの執筆の多くは、スタッフやコワーカーの助けを借りて、引き続き外国語に翻訳されています。昨年、これには、定番である世界経済の分かち合い入門のドイツ語版、および世界人権宣言第25条を布告すると気候変動の霊的側面の両方に関する本のイタリア語版などが含まれます。村田穂高による日本語のミラーサイトも、年間を通じて多くのSTWR資料、キャンペーンに関連するイベントや活動家向けリソースを発表しました。
日本語と英語の両方のウェブサイトで、私たちのキャンペーンと包括的ビジョンを支持するライターのゲスト・コンテンツも発表しました。地球環境の限界を尊重しながら万人の基本的ニーズを確実に満たすことを保証するための新しい国際的メカニズムを構想する広範囲にわたる提案をSTWRとともに発表した、スロベニアを拠点とするコワーカーでSTWR翻訳者であるロック・クラリゥについてここで特筆されるべきでしょう。
キャンペーン、活動、イベント
2019年のSTWRのキャンペーン活動は、飢餓と貧困を根絶するための世界規模の大規模な市民運動のビジョンを促進するという主要な目的に焦点を当て続けました。この取り組みの中心は、(私たちのフラッグシップ本に記載されているように)すべての人の適切な生活水準への権利を宣言する世界人権宣言第25条を支持するための「人々の戦略」です。このため、第25条の重要性に対する認識を高め、学生にキャンペーンへの参加を促すために、大学で一連の講演を続けました。アムネスティ・インターナショナルとケンブリッジ・ホームレス・アウトリーチ・プログラムが主催するケンブリッジ大学での講演が、YouTubeで閲覧できます。
国内または海外で、第25条の目標に関連して私たちが推進または参加した他の多くのイベントがありました。これには次のものが含まれます:ニューヨークで開催されたPeople's Mobilisation to Stop the US War Machine (米国のウォーマシーンを止めるための人民動員);英国のダービーで開催された第41回年次正義と平和会議(「忘れられた人々、忘れられた場所」)。そして極度の貧困に関する国連特別報告者であるフィリップ・アルストン氏の訪問を取り巻くイベントは、彼の英国ツアー中に騒動を引き起こしました。また、この年はさまざまな「気候ストライキ」イベントに参加し、気候変動の緊急事態だけでなく、貧困も緊急事態であると宣言する時が来たという私たちの中心的なメッセージを広めるよう努めました。バナー、ポスター、ポストカードなど、これらのイベント用に作成したさまざまな新しいキャンペーン資料があり、そのうちのいくつかは誰でも自由にダウンロードできるように「参加する」ページに追加されました。
新しいイニシアチブには、「衝撃のポストカード」が含まれており、キャンペーンを応援する簡単な手段を一般市民に提供しました。そのアイデアは、一般の人々の短い個人的なメッセージと署名の入ったポストカードを絶え間なく郵送し、資源のより公平な分かち合いを求めながら、社会的不正義を強調している進歩的な個人やグループに送ることでした。受取人の1人は、ウィリアム・バーバー牧師であり、貧者のキャンペーンの主唱者であり、私たちのフォーカスである第25条を直接反映しています。下院議員のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス氏は、米国上院に提案された彼女の「公正な社会」法案に反映されるように、普遍的な社会的・経済的権利の必要性を支持しているもう1人の受取人でした。バーニー・サンダース上院議員も、2019年の大統領選挙の出馬中に、より大きな経済的平等と公正な外交政策の最も著名な擁護者の1人として私たちのキャンペーンのターゲットになりました。
今年中に、他の進歩的なグループとのインタビューを通じてSTWRのキャンペーンビジョンを宣伝するためのさらなる機会が訪れました。たとえば、マクネアー・エザードがホストをするBetter World Radio Showで時間を延長してラジオインタビューを受けたことにより、STWRの歴史と展望を示すことができました。香港の活動家グループ、7 Billion Todayによるインタビューは、私たちのキャンペーン・ビデオの作成に惜しみない協力が提供された共同プロジェクトのアイデアにつながりました(タイトル:「国連創設時のビジョンを取り戻そう!」)
私たちの「分かち合いのためのグローバル·コール」キャンペーンは、現代の政治問題に対してこれまで以上に必要な永続的メッセージであり、依然として断続中です。これは、人々が私たちのより幅広い組織的目的に対する支持を表明するための有用な手段であり続け、そのサインアップ·フォームは世界中の個人やグループからの署名を集め続けています。また、私たちの取り組みやキャンペーンビジョンを宣伝する機会が生じたときはいつでも、さまざまな限定的なプロジェクトを推進しました。たとえば、年末には、クリスマス期間中に世界資源を分かち合うという霊的展望を再び推進し、米国とスロベニアでもコワーカーたちが、同じように取り組みました。
STWRのソーシャル·ネットワーキング·プラットフォームにより、関連のあるディベートやキャンペーン、ムーブメント·ビルダーとつながることができました。現在、Twitterサイト(@global_sharing)で約1,300人の著名な個人やグループを観察しており、3,100人以上のフォロワーがいます。Facebookサイトには現在、3万9,000件以上のいいね!と3万9,000人のフォロワーがおり、STWRウエブサイトで発表されているコンテンツに対するより幅広い関心を生み出すのに役立っています。
今年は、STWRのInstagramアカウントもセットアップしました。ニューヨークに拠点を置くコワーカーがコンテンツの拡散を促進し、STWRの執筆からの鼓舞的な引用を浮き彫りにするミームを投稿しています。また、STWRの執筆と、今後追加される予定のビデオコンテンツ用のYouTubeチャンネルを再発表するために、Medium(medium.com/@sharing.org)を引き続き使用しています。支持者とコンタクトを持つ他の方法は、Mailchimpを介した定期的なニュースレターによるもので、購読者は4,288人に増加しています(日本のニュースレター購読者を含む)。
今後のプランとプロジェクト
1. 執筆、出版本、ウエブサイト
2020年の執筆時点では、コロナウイルスの危機により、市民社会組織や活動家グループは、彼らの活動、当面の目標、現在の取り組み方法を根本的に再評価するようになりました。STWRにとって、これは私たちの活動を、何よりも執筆と出版物に集中させるよう方向転換することを意味しました。この点に関する主なプロジェクトは、モハメッド·ソフィアン·メスバヒがアダム·パーソンズとチームの他のメンバーからの編集協力を得て執筆した、「分かち合いの原理についての考察」の出版です。世界統治に関する包括的な執筆活動は、プロジェクトが完了するまでのメスバヒとパーソンズの主な焦点です。その後、本を宣伝し、その内容に関連する議論に参加するためのさらなる機会が訪れると期待されます(以下を参照)。
上記のように、私たちは既存の発表文献をトルバドールを通じて出版し続け、同じようにテーマが設定され、デザインが調整された書籍シリーズを形成しています。これらの本のうち3冊は出版され、オンラインストアを通じて購入できるようになりました(人権、気候変動、ユニバーサル·ベーシックインカムをテーマにしています)。2020年には、さらに3冊以上の本を出版する予定です。それらは、私たちのユニークな論説集、「世界人権宣言第25条を布告する」の改訂第2版、そしてコモンズに関する人気本です。「真の分かち合いの経済」と世界統治に関する考察から始まり、世界資源の分かち合いのもっと霊的および哲学的側面を強調した2冊の本がさらに続きます。
これらの書籍や新しい資料をSTWRのウェブサイトでさまざまな言語で閲覧できるように翻訳する複数のコワーカー、特に、ソニア·シャーンドルと村田穂高の協力を得て、ドイツ語と日本語のページを持つことができて幸いでした。前述の書籍出版に対する取り組みに加えて、ニュースレターを通じて宣伝することができ、他のウェブサイトで広く再発表されることが多い、私たちの包括的目標につながった主要なテーマに関するエディトリアル、ブログ、記事も引き続き執筆していきます。当ウェブサイトwww.sharing.orgもまた、分かち合い関連の研究と行動のための「活動拠点」としてのリソースを拡大するために、来年中に改善および拡大される予定です。
2. 断続的なキャンペーンとイベント
2020年前半のロックダウン対策によって課せられた制限とほとんどのイベントのキャンセルにもかかわらず、私たちにとってSTWRのキャンペーンを推進し続ける余地はたくさんあります。私たちの大学との対話プログラムは、当分の間、中断を余儀なくされていますが、世界状況の変化に応じて、イベントや活動プログラムの再開を視野に入れて、状況を観察していきます。それまでの間、私たちのアウトリーチ活動の重点は以下の主要な活動で構成されます。
- オンライン広告、インタビュー、ソーシャルネットワーキング、ブログの執筆、ポスターやチラシ、YouTubeチャンネルの新しい動画のショートショットなど、利用可能な手段で本の出版物や新しい本のリリースを宣伝する。
- 上記のことは、STWRの取り組みに対する意識を高め、私たちの共通目標に対するより多くの支持を得るための最も重要な当面の優先事項です。
- STWRと類似した目標または価値感を支持する他のムーブメント·ビルダーや市民社会組織と連携する。「世界人権宣言第25条を布告する」というビジョンにすぐに反応し、私たちの取り組みに参加したり、新しい機会への扉を開いたりする同様のキャンペーングループに働きかける可能性はたくさんあります。
- 関連を持つ議論や運動に参加する。多くの進歩的運動は、世界経済の分かち合いへの私たちの呼びかけに直接共鳴します。そして適切な場合に可能な限り、私たちはそのような市民社会活動に参加する予定です。これには、ベーシックインカムと反成長運動、「コモンズ」とシェアリングエコノミー運動のような特定の政策論争だけでなく、貿易正義、債務取り消し、気候変動運動における「フェアシェア」活動、およびその他の分かち合いに関連する運動など、多くの長年にわたる世界的な正義運動が含まれます。
世界資源を分かち合うための統一的な要求が現在の政治的状況以前にこのような可能性を持ったことがないのは明らかです。したがって、STWRの4人のスタッフのコアチームとコワーカーから成る私たちのより広いネットワークは、これらすべての手段によって、組織の目標を促進することに向けられます。翌年の2021年までに、私たちはもう一度「ギアチェンジ」し、さらに公の形での取り組みまたは草の根活動に向けて活動を方向転換することを期待しています。
STWRの断続するリサーチおよびアドボカシー活動
私たちの取り組みはあなたの支援なくしてあり得ません。STWRは完全に個人からの寄付だけで成り立っており、政府や他の機関からの資金は一切受けていません。そしてどのような政党や企業の事業とも関連を持っていません。STWRはチャリティとして登録されていないため、すべての資金は制約を受けることなく、私たちが取り組む世界問題について明確な政治的立場を取り、限りある収入を直接リサーチおよびアドボカシーに当てることができます。現在の多くの革新的オーガナイゼーションの例に漏れず、私たちの小チームとボランティアは、倍増する予算のプレッシャーに直面しています。あなたの寄付は、STWRウエブサイトを維持し、リサーチ、執筆、伝達を断続すると同時に、グローバル危機の解決策としての分かち合いの原理に対するグローバル正義運動の中での支持を生み出すのに役立ちます。以下のリンクから寄付をご検討ください: https://www.sharing.org/ja/watasitachi-ni-tuite/kifu-suru