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グローバルな経済的分かち合いへの手引き

STWR
2014年6月17日

ますます不平等で持続不可能となる世界で、各政府は緊急に過去の規制的政治経済のイデオロギーを越え、万人の共通ニーズを満たすための解決策を受け入れねばなりません。この入門書は、私たちが直面する相互連結した世界危機の規模の概要を述べ、国際協力と経済的分かち合いに基づいた世界資源を管理するための代替的取り組みへの道を指し示します。


目次

はじめに

パート1 経済的分かち合いとは何か
分かち合いの政治経済
地域的に全国的に分かち合う
グローバルな経済的分かち合い

パート2 国々はなぜ分かち合う必要があるのか
グローバルな緊急事態
グローバルな貧困と不平等
環境危機
資源をめぐる紛争

パート3 世界的分かち合いはどのように機能しうるか
生存のためのプログラム
緊急援助プログラム
グローバル経済を改革する
世界の食糧を分かち合う
分かち合いの社会を構築する
グローバル・コモンズの分かち合い
分かち合いのグローバル運動


イントロダクション

人類は、グローバルな緊急事態の真っただ中にいます。世界経済を駆動する政策は、富裕層と貧困層の間の溝を拡大し、地球の資源をめぐる紛争を生み、そして地球の生命を脅かす環境危機をもたらしました。

私たちは緊急に過去の制約的政治経済のイデオロギーを越え、万人の共通ニーズを充足する解決策を受け入れる必要があります。それは、国内及び国家間双方でのある程度の経済的分かち合いなくして達成できないでしょう。全ての政府が優先事項を劇的に再調整する必要のあるますます不平等で持続不可能な世界では、経済的分かち合いへの呼びかけは正義、人権、そして社会の全レベルで政策立案を導くために、健全な環境上の監督が必要であることを象徴しています。

このレポートは、私たちが直面する相互連結したグローバル危機との関係の中での分かち合いの原理の簡潔な紹介であり、どのようにして世界の富、パワー、資源をより公平に、そして持続的に分かち合うことができるかについて簡単な議論を立てるものです。

パート分かち合いの政治経済を紹介し、世界中の分かち合いの広く多大な表現を浮き彫りにします。ここで実証されるように、分かち合いは長い間人類の中心核となり社会の健康的機能のために不可欠でした。しかし、分かち合いのシステム(複数)がますます弱体化されていることから全国的、そして国際的分かち合いのプロセスを私たちが支持し拡大することは非常に重要です。

パート分かち合うことへの人類の断続的失敗がどのようにして、グローバルな非常事態としか言いようのない状況を生む責任の大部分となっているかを概説します。これは、豊かさの中での拡大する貧困の惨事、すべての次元における気候と生態学的な危機、そして、世界の限りある天然資源をめぐっての激化する紛争を含みます。全体的に、国際社会にはひとつの選択肢しか残されていません: 分かち合い、協力、そして生態系保護を政策決定とグローバル・ガバナンスの最前線へ最終的におくことです。

パート経済的分かち合いと国際協力に基づき、世界資源の管理への代替的取り組みを提案します。このプロセスは現在の社会的、政治的、経済的、そして環境危機の構造的原因に対処するための、グローバル経済の主要な再構築に伴われた最前の優先事項として、命を脅かす剥奪と貧困が関連した不必要な死を防ぐために人道援助の前例のないプログラムを持って開始されねばなりません。

このレポートの結論より明らかなように、大規模な不平等、持続不可能な消費、そして乏しい資源をめぐる競争の上に建築された経済システムの管理を政府が再思索するまで私たちは待つことができません。進歩を妨げる定着した既得権益と構造上の障壁を考えると、より良き世界への希望は国境を越えて拡大する改革の呼びかけへの世界人民の参加にかかっています。従ってさらに無数の人々が、なにが危険におかれているかを認識し、変革の支持者として先導することが不可欠です。世界の問題の解決策は、公平で持続可能、そして平和な未来への私たちの統一した要求にかかっています。
 


パート1: 経済的分かち合いとは何か

コミュニティの社会機構を強化すること、社会全体で健康と幸福のレベルを改善すること、社会的公平を促進することにより、どのようにして経済的分かち合いが長い間人類の文明の中核となってきたかを多くの例が証明しています。しかし、そのような素晴らしい例外にもかかわらず、私たちのグローバルな統一の事実は国際経済政治構造にまだ十分に表わされていません。今日、人類に直面する重大な疑問は、分かち合いのこれらのシステムを地域的、全国的またはグローバル・レベルで私たちが支持し拡大することを選択するか、それとも分かち合いを政策決定の中心とすることをイデオロギー的反対者によって更に弱体化され廃止されることを許すかです。

分かち合いの政治経済

人が元来個人主義的で自分勝手だという一般的誤認とは反対に、贈与と分かち合いが世界全体で社会のコミュニティ内の関係の基盤を長い間形成してきたことを人類学者は示してきました。最近の大量の科学的研究は、人間として私たちが生存確率と集団的幸福を最大限にするために協力し分かち合う性質があるという証拠を基盤に積み立てられて来ました。分かち合いと相互依存の行為なくして、社会と経済を建設するための社会的基盤は存在しないでしょう。[1]

この点において分かち合いと平等の原理が、人道主義などの多くの世俗運動や多くの世界の宗教の重要な構成要素であることは驚くべきことではありません。同じように幅広くユダヤ教、イスラム教、キリスト教、仏教、ヒンズー教、そして他の数々の信仰全てが社会の弱者と非富裕者層を守ることの必要性と同様、富と他の資源の公平な分かち合いの重要も詳しく説明しています。数千年間、分かち合いの原理は社会機構を支えるべき道徳的価値観や倫理と密接に同調してきました。

しかしながら、自然界全体と家族生活へ分かち合いが広く行き渡っているにもかかわらず、それが国際政治経済構造に体現される国家のグローバル・コミュニティーを創造することに私たちは大きく失敗して来ました。国々という家族を単一体と見なし、分かち合いの原理が使用可能な資源の集団的使用を管理することに重要な役割を担わねばならないことを受け入れるよりむしろ、グローバル経済は国家の私利、激烈な競争及び物質的獲得の対立し誤り導かれた複数の目標に基づき築かれて来ました。[2]

大国による何世紀もの植民地主義と弱国からの搾取の結果、いわゆる発展国と発展途上国の間の生活水準に途方もない不均衡が存在します。それは、今日の世界の緊迫の中心にある危機です。グローバル経済が天然資源の限界と惑星のしきい値をますます超えると同時に、地球の限りある資源濫用における生態学的因果関係にもかかわらず、土地、エネルギー貯蔵、そして他の重要産業の投入資本を巡り激化する争いが人類生存の現実的脅威へ課されています。

グローバル民主主義

もし全国及び国家間で分かち合うことにおける集団的失敗に、私たちが直面する更なる不平等の増大と多数の危機の激化に対する責任があるなら、政治経済システムを分かち合いの原理により沿わせることによってそれを改革する方法を見つける必要があるというのは理にかなっています。そのような常識的展望から土地とエネルギーを始め知識と技術など全てを包括し得る「経済的分かち合い」という言葉は、経済の組織化と資源の分配においてこの原理の適用方法を説明するために使われることが可能です。更に分かち合いの概念は、国家内及び世界の両方で権力がどのように平等に分配されるかという点で統治の民主主義形態へ適用されます。少なくともそれは、経済のグローバル化の規則を決定する主要な機関にとってではなく参加型政治とグローバル民主主義にとって潜在的に劇的な意味合いを持ちます。[3]

経済と政治の両方の観点から「分かち合い」は基本的な人間のニーズと権利の達成への直接的道となりえ、社会、経済正義の概念と自然に合致します。進歩的な活動家によって長い間認識されて来たように、社会正義は市場メカニズムや慈善寄付により達成され得ず、再分配的な政府の政策、効果的な法令の実現を必要とします。このように分かち合いの原理を経済政策と関係付けることは、どのように私たちが社会をまとめて行くかということの核心へ切り込む分配上の正義と長期的な構造上の解決策の必要性を指摘する、収入と富の不平等についての討議にとって重要です。[4]

しかしながら経済的分かち合いは、特定の政策と手順の一式に伴われた構成概念や「主義」ではありません。分かち合いの原理は社会に偏在し、資本主義と社会主義の教義を数千年先行しています。すなわち、それは現在及び歴史上の政治哲学の何へも負うところがありません。これは既存の政治理念と経済政策が、多くのケースに見られるように分かち合いの原理を反映していないことや具体化していないということを言っているのではありません。 [5] 政治経済の分野へこの簡潔な原理を適応することは、万人の社会的、経済的権利を国家がどう保証できるかについての討議の多くを今だ先導する分裂的な種々の「主義」の間をうまく乗り切るよう促進することをもまた可能にします。[6]

現在及び未来両方の世代のために人類は緊急に過去の制約的イデオロギーを越え、全ての国の人々の共通ニーズを満たす解決策を受け入れる必要があります。それは、ある程度の経済的分かち合いなくして達成することは不可能でしょう。全ての政府が優先項目を徹底的に再調整する必要のあるますます不平等で持続不可能な世界で、経済的分かち合いへの呼びかけは社会の全レベルで政策立案を手引きするための正義、人権、そして健全な環境管理の必要性を具体化します。

地域的に全国的に分かち合う

多くの表現を通じて経済的分かち合いのプロセスは既に多くの様々な営み、機関、そして地域と全国レベルで機能する政策を支えています。分かち合いの最も馴染み深い例のひとつは、個人や組織、あるいはボランティアの取り組みや他の慈善活動を通しての慈善募金としての形態です。世界中の定着した社会環境問題を考慮するとチャリティーは重要ですが、それは多くのあり方において分かち合いの初歩的形態を構成しています。しかしながら慈善活動としての形態の分かち合いは、民主主義的説明責任の欠如と、根本的な構造的原因でなく不平等の症状にしか取り組まないことで広く批判されています。そのような理由でチャリティーと慈善活動は、国民と世界全体へのいくつかの広範な義務から逃れることを政府に許す、真の正義の代用としてしばしば考えられています。[7]

地域レベルでの経済的分かち合いのその他よく知られた例としては、コモンズとして土地を協力的に管理した農民により伝統的に分かち合われた農業コミュニティーの土地使用を含みます。主要なアグリビジネス企業が特許法を通じて、世界中の農業の営みにおいて種を貯え分かち合う権利を不法にしようと容赦なく押していますが、この権利はなくてはならない役割をもまた果たしてきました。[8] 現在のグローバル化された食糧システムの結果としての小規模及び家族経営の農家の増大する排除にもかかわらず、分かち合いの伝統は農民と地域のコミュニティーの間で責任やリスク、そして食糧生産の恩恵が分かち合われる「コミュニティーに支えられた農業(CSA; community supported agriculture) 」プロジェクトにおいてもまた推進されています。[9]

近年、裕福な工業国と発展途上国の両方において、コミュニティー先導のイニシャティブの復帰が様々な方法で経済的分かち合いのプロセスを具体化しています。これらは、従業員が意思決定プロセスへ参加し、事業活動の収益を分かち合うところの食糧と小売部門の多くの協同組合を含みます。[10] 国や民間部門の介入なしで森林などの土地や他の資源を首尾よく管理する多くの信託もがまたつくられて来ました。[11] コミュニティー間で経済活動を再分配するためにしばしば取り組み、生産と消費の持続不可能なパターンの代替案を築く、世界の全地域での持続可能性のためのイニシャティブにおいてもまた経済的分かち合いの活動は顕著です。[12]

分かち合いの経済                                                                 

より最近ではオンライン・クラウドファンディングからフードバンク、共済組合(mutual aid societies)、贈与経済までの全てを包括する「分かち合いの経済」活動は、西ヨーロッパ、北アメリカ、そして他の地域を通して迅速に人気が高まっています。とりわけ共同消費は車や食糧からオフィススペースや専門知識までの全てにおいて、人々がインターネットによる分かち合いの機会を通し、仲間と様々な物資とサービスを分かち合うことを許す新たな経済モデルとして浮上しました。分かち合いの経済の多くの支持者が主張するように、資源を「所有する」よりむしろそれに「アクセスする」ことは、そのプロセスで個人の消費と炭酸ガス放出のレベルを減少させる傍ら、より効果的にお金を貯蓄し、コミュニティーを築き、資源を活用するよう働きます。[13]

それにもかかわらず分かち合いは、私たちが社会をどのように組織立てるかということにおいてこれらの例が証明するより更に根本的なことなのです。例をあげると、参加民主主義プロセスは政治権力を市民とより公平に分かち合うことを求めることから、それは分かち合いの原理を具体化することが出来ます。そして間違いなく現代世界における経済的分かち合いの最も進んだ形態は、ヘルスケア、教育、社会保障、そして他の不可欠な公共サービスへのアクセスを全国民へ確実にするための国家の財源の貯留です。

先進国における社会福祉制度は完全から程遠く、常に能率的に施されているわけではありませんが、それは数千年間人々に慣れ親しんできた営みの上に築かれた分かち合いへの人間の持つ傾向の自然な進化を象徴しています。それはまた国々の不平等を減らし、社会的一体性を強化することの出来る社会正義、結束、そして公平な富の分配の表れです。更に、万国共通の社会保護システムはより公平で公正及び健全な社会の創造において効果的な「経済的分かち合い」が演じることのできる役割を、長い間認識してきた何百万という多くの人々によって広く支持されています。[14]

これら全てと更に多くの例がコミュニティーの社会機構を強化し社会全体で健康と幸福のレベルを改善し、そして社会的公正を促進させることにより経済的分かち合いがどのように人類文明の中心核となって来たかを証明しています。今日人類が直面する重大な疑問は、全国と地域の分かち合いのシステムを支持し拡大することを選択するか、それとも政策立案の中心に分かち合いを置くことをイデオロギー的に反対する者たちに更に弱体化させ廃止させることを許すかです。

グローバルな経済的分かち合い

富の格差から気候変動や資源戦争に至るまで、私たちが直面する危機が多かれ少なかれ全ての国へ影響を及ぼすグローバル化された世界に私たちは住んでいます。様々な国の人々が高度に相互連結し相互依存する生活を営んでいるにもかかわらず、経済活動の利益は高所得国の都合の良いように極端に歪められたままだということを、世界規模のコミュニケーション、貿易、金融のシステムは意味します。この現実と、富裕国と貧困国の間の豊かさの多大な格差を考えると、経済的分かち合いのどのようなプロセスも国内環境のみに限定することはできず、活発に惑星規模で応用されねばなりません。

国内レベルでの経済的分かち合いの効果的プロセスは、必要不可欠な物資とサービスへの全国民ためのアクセスを確実にすることにより、社会経済的権利を守るための長期的義務を政府が実現するよう助長することができます。国連加盟国の殆どは「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約(the International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights ICESCR)」を含むこれらの義務を具体化する、法的拘束力を持つ人権上の数多くの手段を既に導入しています。[15]しかしながら国際ステージにおいては、最富裕国であてがわれている食糧、適切な住居、教育などの権利と、発展途上国での何百万という男女子供の基本的権利の日々の侵害との間には巨大な格差があります。この現実は国内と同様に世界的基盤でより公平に資源を分かち合うことにより、治外法権的人権を最終的に政府が認識する必要性を示しています。[16]

天候と資源が無理強いされた世界では、グローバルな経済的分かち合いは環境危機へ取り組み、重要な資源権益をめぐっての国家間紛争を減らす主な役割を果たすこともまた可能です。多くの環境主義者が提案するように、生態学的しきい値を超えることなく、全ての国が公平に資源へアクセスできることを確実にするためには、グローバル・コモンズを管理する「正当な分け前」的取り組みを必要とするでしょう。長期的に限りある資源をより平等にかつ持続的に分かち合うことは、私たちが地球の生産物を摘出し、分配し、そして消費する方法において非常に大きな意味合いを持つであろう新たな世界統治の骨組みを必要とするでしょう。[17]

グローバルな分かち合いの出現

分かち合いの原理に沿った国際コミュニティーとして、人類が協力的に取り組まねばならないことの認識のいくつか重要な例を歴史は挙げています。国連は平和と安全、経済的発展、社会的進展と人権を含む広い範囲での論点において国際協力を促進させるため、第二次世界大戦後のその設立は政治的、世界的観点から分かち合いの最初の主要な表現のひとつでした。[18] 国連が創設されて間もなく、戦争で壊滅されたヨーロッパ諸国への財源の大規模な移動へ乗り出した合衆国政府により、国境を越えた経済的分かち合いの主要な行使が促進されました。「マーシャル・プラン」が利他的であったかの真偽は歴史家が討議するところですが、今日の「グローバル・マーシャル・プラン」のための多くの提案を鼓舞した国際資源の分かち合いの偉大な可能性を、主に発展途上国のために大規模な救援活動のかたちで証明しました。[19]

分かち合いの原理に沿った国際コミュニティーとして、人類が協力的に取り組まねばならないということの認識のいくつか重要な例を歴史は挙げています。国連は平和と安全、経済的発展、社会的進展及び人権を含む広い範囲での論点において国際協力を促進させるため、第二次世界大戦後のその設立は政治的、世界的観点から分かち合いの最初の主要な表現のひとつでした。国連が創設されて間もなく、戦争で壊滅されたヨーロッパ諸国への財源の大規模な移動へ乗り出した合衆国政府により、国境を越えた経済的分かち合いの主要な行使が促進されました。「マーシャル・プラン」が利他的であったかの真偽は歴史家が討議するところですが、今日の「グローバル・マーシャル・プラン」のために多くの提案を鼓舞した国際資源の分かち合いの偉大な可能性を、主に発展途上国のために大規模な救援活動のかたちで証明しました。

外国援助は余りに多くの関連問題を伴うため、国際レベルでそれは真の、または効果的な形の経済的分かち合いであると言えませんが、グローバルな経済的分かち合いのより現代的な例は、1960年代以来OECD加盟国が発展途上国へ提供してきた「政府開発援助 (ODA)」です。[20] 更なる例は、特定の文化的、そして天然の資源が個々の国民国家や企業による搾取から守られ、未来世代の利益のために信託に保たれるべき「分かち合われるコモンズ」として認められるようにする、「人類共通の遺産」として知られる国際法において重要な前例となります。[21]

これらの注目すべき例外にもかかわらず、私たちのグローバルな結束は国際政治経済の構造において今だ十分に表現されていません。グローバルな経済的分かち合いの様々な形態を拡大強化するよりむしろ、世界の「オペレーティング・システム」は最強・最富裕国の競争的、地政学的権益に今だ基づいています。同時に、国際貿易と財政のための規則を定める主な機関 ー 世界銀行、国際通貨基金、世界貿易機関 ー は全て非民主主義的であり、大企業と富裕国の権益を促進することで広く批判されています。[22]

国連とその関連機関を通して、より包括的な国際的骨組みが即急に確立される必要があります。国連は相当の改革と民主主義化を必要とするにもかかわらず (特に拒否権の任意的力を伴う安全保障理事会を廃止し、経済政策立案のためのフォーラムとして国連の独立を最新することにより)、必要な委任と世界経済を再建設するプロセスをまとめる力を持つ、既存する唯一の多国間の、そして全面的に代表的なグローバル機関です。60年以上が経った今、国連憲章と世界人権宣言は人類によって表現された最高の理想のいくらかを現在も具現化しています。もし国連が根本的に最新され更なる権限を委託されるなら、国家間で高まるコミュニティー感を養成し、グローバル規模で経済的分かち合いを促進する立場に立つことができるのです。[23]

 

パート2: 国々はなぜ分かち合う必要があるのか

私たちが国際的に資源を分かち合えないことは、本質的に不正で非常に不平等、そして環境的に持続不可能なグローバル経済システムの構築の原因となりました。その結果として、枯渇する世界天然資源を巡っての断続する紛争はもとより、全側面における大規模な貧困、拡大する不平等、気候変動、そして生態学的危機など、相互関係する連続的世界危機に現在人類は直面しています。次のセクションではこのグローバルな非常事態の規模について、そして経済的分かち合いおよび国際協力に基づき世界資源を管理するのための代替的取り組みの必要性について概要を述べます。

グローバルな緊急事態

自然と協調し分かち合う人間の性質を証明する豊富な科学的証拠があるにもかかわらず、主流の経済学者と政治家は、人は本質的に利己的で競争的、強欲であるという想定を基準としています。人間の性質についてのこの偏った視点は何世紀もの攻撃的な帝国建築、支配とコントロールの政治を定義付け、そして社会と国家の組織及びグローバル経済の機能の仕方を今だ支えています。[24]

経済へのこのイデオロギー的姿勢の影響は、政治的スペクトルの両側においての政府の政策の中で明らかです。殆どの国での優勢的動向は国家を収縮し政府の規制を解除し、公共資源の民営化を促進することにより社会形成の中で市場勢力の役割を過度に強調しています。社会的、環境的代価にもかかわらず、経済成長駆動型政策決定の追求とともに社会的進歩は大部分が消費主義を促進することに頼っています。[25]

1980年代以降、市場勢力がグローバル経済を推進できるよう国家間の経済活動の全障壁を取り去り、政府の介入を制限することを狙って経済のグローバル化と「構造調整」を装い国際発展への根本的に異なる取り組みが形づくられました。ここ何十年間か一層の勢いを持って大凡全ての政府が大規模な企業の活動、負債に煽られた経済、世界貿易への収縮された障壁、そして国家間の拡大した資本移動などを融通した政策を追って来ました。結果として、国家の自己権益と国際競争及び多国籍企業、そして大部分が説明責任を果たせないグローバル機関へと経済力を移行した事業への「強者の残存」的態度を前提とし続けた国家間の貿易が残っています。[26]

貪欲さと自己権益を制度化した「新自由主義的」イデオロギーは2008年の世界経済危機で信用を失ったかもしれませんが、グローバル・ノース及びサウス双方で政策の論議と活動を支配し続けています。平等主義的価値観、再分配及び社会権利に基づいた以前の経済の理想は、市場の想定的中立性と営利の優位性を当然とする新たな「常識」に置き換えられてきました ー それは、公共的議論とマスコミ討論の限界を定め続ける根拠のない決めつけです。商業化は現在生活の大凡全域に浸透し、現状における代替案を認識することから国民の大部分を億劫にさせる、世界の金融商品化的、市場経済化的見解へ全人口を引き込んでいます。[27]

グローバル危機の解決策としての分かち合い

それにもかかわらず、今日の世界情勢は自由市場と私有化を拡大することはより経済的効率性と社会の幸福を生むであろうという展望へあからさまに疑問を投げかけています。市場勢力の自由化を通じて約束された経済の自由は実際、一握りの者たちのための自由と、拡大された富は分かち合われるであろうという中核的自由市場の約束の矛盾という結果となって来ました。国際的に資源を分かち合えないことにおける私たちの失敗は、本質的に不当で非常に不平等、そして環境的に持続不可能なグローバル経済システムの創造の原因となって来ました。人類は現在、世界の減少する天然資源を巡って断続する紛争と同様、大規模な貧困と上昇する不平等レベル、気候変動及びその全ての側面における生態学的危機を含む結果として相互関係した世界危機の連続に直面しています。[28]

これら重大なグローバル問題の解決策として、経済的分かち合いを国家がどのように適応できるかは容易に想像出来ます。簡単な言葉で言うと、世界の富、権力、資源の公平な分かち合いは富裕国と貧困国の間を繋げ、万人の基本的ニーズを満たすための基盤となります。天然資源(土地や鉱物、化石燃料など)をもっと公平に、そして持続的に分かち合うための新たな国際的骨組みを確立することはまた環境を保護し、何世紀もの国家間の紛争を終わらせグローバル結束を助長させるためにも不可欠です。

この真に常識的展望から私たちが直面する大規模な危機を踏まえると、世界資源を巡って競うよりむしろ分かち合いに基づく新たな経済的パラダイムは国際社会が前進するための実際的方法を提示します。同時にそれは経済的利己主義、横行する商業化、そして純粋に物質的目標に基づく一般化したイデオロギーからの思い切った旅立ちを必要とする現状への革命的挑戦を提示します。

グローバルな貧困と不平等

経済的分かち合いを助長する国際的骨組みを確立するための最も緊急の理由は、基本的人間のニーズが万国的に充足される更に平等な世界を創造するためです。1948年に国際連合総会が世界人権宣言を導入した当初、各国政府はこの目標に最大限の努力を投じました。世界人権宣言第25条は次のように明言しています (1): 「すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保証を受ける権利を有する(ウィキペディア引用)」[29]

65年以上が経った現在、万人のためにこれらの基本的権利を成就することは今だに国際社会の遠い希望とあやふやな熱望として残っています。多くの最富裕国においてでさえ貧困率は10年間上がり続けており、緊縮財政処置が社会的セーフティーネットを収縮させ不可欠な公共サービスを弱体化させると同時に状況は迅速に悪化しています。2008年の経済危機から5年後、例えば政府の食料費補助対策の劇的削減以前でさえもアメリカでは約5千万の人々 ー 人口の6人に1人 ー が公然と飢えていました。[30] 過去数十年に渡る社会的発展が今激しい攻撃を受けているヨーロッパ全体で、分析者たちは根強い貧困を伴う分割された大陸を10年以上前から警告して来ました。[31]

世界の豊かな地域での高まる飢餓率と不必要な剥奪以上に社会における分かち合いの実践から遠ざかる危険な動向を述べるものはありません。しかしサブサハラアフリカ(サハラ以南のアフリカ)、アジア、ラテンアメリカの最貧困の国々、他の低所得、中間所得層の地域では、極貧の影響が一般的により更に深刻であり続けるという事実から逃げることは出来ません。ここ数十年間の世界人口の大部分の生活水準の迅速な向上にもかかわらず、考えられないほどの数の人々が今だ生活必需品へのアクセスを拒否されています。

例え極貧を半減させるミレニアム開発目標(Millennium Development Goals; MDGs)が満たされたとしても、2015年には10億人あたりが生存のための適切な手段を持たず公然と生活することになります。実際の数はより高いのですが。[32] 全体的に、発展途上国に住む95%の人々が一日10ドル未満に値する金額(実際に合衆国で価する10ドル)で生き延びています。高所得国では大凡生活不可能な金額です。[33] 議論の余地ある貧困の「1日1ドル」対策もまた、発展途上都市の急増するスラムどころか大部分の世界の無数の人々にとっての厳しい生活の現実を反映出来ていないのです。[34]

豊かさの中の貧困

豊かな富、技術力、そして専門知識を持ち相互連結するグローバル社会において、何十年も以前に極貧を根絶しなかったことは道徳的に避難されるべきであり、経済的に先見の明を欠くということです。しかし、経済的グローバル化の企業主導型政策が広く取り入れられた1980年代以来、着々と拡大してきた世界的不平等レベルを同時に正すことなくしてそれは不可能でしょう。「豊かさの中の貧困」の拡大する危機に取り組むためには、分割されますます不平等な世界を維持する不公平な政策と制度を改革することに、より多くの重点が置かれねばなりません。[35]

今日、国際貿易、経済、課税の非常に偏った体制は、外国援助として寄付する政府が提供するより少なくとも10倍の財政が発展途上国から裕福な世界へ流れているということを意味します。[36] グローバル経済のこれらの不公平な取り決めの結果として、世界人口の最貧困層の20%が世界総計収入のたった1%しか受けていないのに対し、最富裕層の20%は83%近くを有しています。[37] 近年、この富の集中はますます極端になっており、世界の最も裕福な1%が110兆ドルを所有し、それは世界人口の下半分の富の総計の65倍となります。[38]

富と収入の驚くべき誤った分配は、他が当然とする基本資源へ無数の人々が今だアクセスできない時、世界の優先事項がどのように歪んでいるかを正確に浮き彫りにしています。世界正義キャンペーナーがしばしば繰り返しているように、この甚だしい不公平の根本的原因は政府の政策選択、経済関係を司る体制、そして世界最大企業の無敵の権限と影響力から生じており事実上政治的なものです。[39]

これら構造上の状態を改革することなく、外国援助と他の経済の再分配は貧困を根絶し富裕者と貧困者の格差を狭めるための十分な手段には決してならないでしょう。もしグローバル経済が万人の利益へ仕えるものであるなら、多国間の協力と経済的分かち合いの真の形態に基づき永続的に社会的、経済的権利の成就を保証する方向へと主に進められねばなりません。

環境危機

より大きな経済的分かち合いへの呼びかけは、長い間気候変動と持続可能な発展の国際討議の中心となって来ました。問題の核心は、世界の限りある資源が公平にそして生物圏の再生力と吸収力を超過しない割合で消費されることをどのように保証するかということです。限界ある世界のエコロジカル・フットプリントや「正当な分け前」の観点から話し合うかどうかは別として、取り返しのつかない程この惑星を破壊し未来世代から資源へのアクセスを剥奪することなしに、万人が地球資源を分かち合う平等な権利を持つべきです。

今日に至るまで二酸化炭素排出を規制し、全ての国の間で大気の残った「カーボン・スペース」を公平に分かち合うための政策の骨組みについて同意することに政府はひどく失敗して来ました。[40] しかし天候異変と環境汚染は、自然界の私たちの過剰搾取と劣化の結果として起こったより広い生態学的危機の一面にすぎません。この惑星の生態系の凡そ60%は私たちが知るところの人間の健康と幸福及び文明を脅かす、世界中の生物多様性の急速な損失を痛切に指し示しています。[41]

人類は現在、この惑星が補充出来るより更に50%速いペースで天然資源を消費しており、その結果、今日の消費レベルへ対応するためにはこの惑星一個半分が必要とされるのです。[42] それにもかかわらず、特に食糧、石油、土地、水などをはじめとする全種類の資源への要求は急激に増加しています。すなわち資源の欠乏と環境制約の問題は近年グローバルな議題の中で強まっており、新興国経済においての人口増加と富双方の上昇の理由によりかつてない程更に差し迫ったものとなっています。[43]

正当な分け前

しかしながら地球資源を分かち合うことの挑戦は、世界全体の消費パターンの膨大な不均衡に根本的に関係しています。現在、世界人口の最も裕福な20%が ー その大部分が富裕国に住んでいるのですが ー 世界資源の80%を消費しているため、気候変動と環境破壊の殆どに対して責任があります。その一方で人口の最も貧しい20%は食糧、きれいな水、エネルギーへの十分なアクセスを欠いており、世界資源の消費の1.3%を占めるに過ぎません。[44] 拡大する不平等の一層の原因となり、しばしば貧困と社会的対立を増す気候変動と資源の枯渇の有害な影響のために極度に苦しんでいるのもまた貧困者です。[45]

これは地球の境界線と持続可能性の制約についての議論の中で公正さと公平さについての重大な問題点へと導きます。もし、世界の限りある資源が万人へアクセス可能となるなら、より貧しい国々が経済を成長させ物質的生活基準を改善できるよう、高所得国は明らかに天然資源の使用を大幅に削減せねばならないでしょう。同時に貧困国は国際的な環境目標に従い、今日の発展国に比べより非物質的なモデルの発展へ目標を定めねばならないでしょう。[46]

繁栄と大規模な経済の再組織化の概念を思い描き直すことを最終的に必要とするであろう、公平さに基づいた維持可能な発展を達成するために必要とされる前述の基本的調整を避けて通る術はありません。天然資源を消耗させ生物多様性をむしばみ大気を汚染する生産と消費のパターンを変えない限り、そして私たちが商業的利益でなく母なる地球の権利を優先するまでは、維持可能で公正な社会の創造を達成することは不可能であり続けるでしょう。[47] 現在の政治的、経済的環境の中でのそのような改変は達成不可能なように見えるかもしれませんが、地球の生命維持装置の取り返しのつかない破壊への確実性が国際社会へ唯一つの選択しか残しません。それは、政策立案と世界統治の最前へ経済的分かち合いと環境管理を置くことです。

資源をめぐる紛争

資源を分かち合うことにおける人類の断続的失敗によるただならぬ結果は、土地、化石燃料の埋葬量と他の重要な工業材料をめぐる国家間紛争の激化です。特に石油及びガス供給において現在、おおよそ全ての政府が安全保障へ資金をあてがうことに主な戦略的重要性を与えています。その結果は、軍力の蓄積と展開の背後にある、不可欠な資源を巡る競争が統治原則となりつつある新たなグローバル環境です。核兵器の激増が衰えることなく続く一方で、世界の未開発天然資源確保のための奮闘のどのような激化でも主要な先進国間の壊滅的戦争への可能性を拡大するのです。

海外のエネルギー資産の保護に活発な軍隊の役割の必要性は世界の多くの国にとって権威上の主題であり、海外政策と国家安全保障の戦略両方の中心核に一層なり続けています。[48] 1965年から1990年の間だけで毎年千人以上の死者を出した、資源を巡っての内戦が73起こり、そしてそれ以来少なくとも18の国際紛争が、資源競争が引き金となり起こっています。[50] 重要な資源権益の確保が、2003年のイラク侵攻は当然のこと1991年の湾岸戦争への介入を正当化するための重要な要素であったことを多くの分析者がまた同様に主張しています。[51]

今日でさえ、北極、東と南シナ海、フォークランド諸島周辺とその他の地域の石油とガス埋蔵を支配するために国家同士が競い合うと同時に、未来の暴力的衝突の可能性が増大します。地球の残り少ない天然資源を支配するために激烈に競い合う現在の軌道に政府が乗り続けると同時に、多くの要因のすべてが近い将来暴力的衝突の更なる激化を確実にします。それは、エネルギーと原材料への要求の莫大な増加に拍車をかける、世界人口の増大と発展途上国の迅速に拡大する消費者層を含みます。気候変動の影響もまたこれからやって来る何十年間において食糧、水、土地、そして他の極めて重要な資源へのアクセスを劇的に制約することにより資源不足を更に悪化させるでしょう。[52]

協力的取り組み

この問題について公の議論が皆無でありながらも21世紀の実行可能な資源安全保障戦略は、国家権益と繰り返し発生する紛争よりむしろ国際協力と資源の分かち合いの代替的骨組みに基づかねばなりません。そのような骨組みがどのように機能出来るかについて様々な選択がある傍ら、世界の既存資源の備蓄への公平なアクセスを確実にすること、深刻な欠乏及び緊急事態時の不足を暖和し生活必需品への全般的アクセスを保証するために堅固で公平な国際体制を確立することは不可欠でしょう。国連のシステムを通じて取り組み、国際社会は再生可能エネルギーへ投資を向け、代替的エネルギー技術の出現と共にそれを分かち合うことにより世界の化石燃料埋葬量へのプレッシャーを軽減することも出来ます。

資源安全保障への協力的取り組みは紛争を回避し、社会・環境危機へ対処するために必要なだけでなく、世界の軍事費からかなりの財源を救出し国家間の善意をもまた同様に育成することでしょう。このような戦略を交渉する例外的プロセスに従事するためでさえ、基本的に「勝利者が全てをとる」世界資源の獲得パラダイム ー 特に化石燃料に関しては ー を現在支配するゼロ・サム的、国家主義的衝動を政府は乗り越えねばならないでしょう。同時に、エネルギーと原材料への持続不可能な要求を推進し、迅速に激化する消費率を軽減するために政策立案者は備えねばなりません。最終的にそれは、その存続する成功のために消費レベルの無制限的上昇を要求する優勢的経済モデルを根本的に考え直し、限りある資源の供給に依存しない新たな工業プロセスを取り入れることを意味するでしょう。

土地、水、または化石燃料を巡る未来の紛争の回避を可能にする協力的解決法を心に描くことは理想主義的に見えるかもしれませんが、人類は回避不可能な選択に直面しているのです: 環境的コモンズをより公平に分かち合う方法を見つけるか、あるいは激化する資源への競争の道を続け更なる経済的痛手を受けること、気候変動の激化、そして最終的に第三次大戦を可能にする危険をおかすかのどちらかです。


パート3: グローバルな分かち合いはどのように機能できるか

人間の歴史のこの重大な岐路において結束した世界人民のみが唯一政府に歪曲した優先事項を再調整し、より効果的に協力し合い、世界資源をより公平に分かち合うよう圧力をかけることが出来るのです。次のセクションの概要で述べられるように決定的な最初のステップは、命を脅かす剥奪を根絶ための緊急援助の国際プログラムに次いで生態学的限界内で適切な生活水準を保障するために、グローバル経済の長期的変貌を国連加盟国が実施することです。

生存のためのプログラム

上記に強調される相互連結した危機への取り組みは長い歴史の中で人類が直面してきた大きな挑戦を象徴しており、人々と国々の間のより多くの理解、献身、そして結束だけでなく世界経済の完全改革をも必要とします。国家の権益と不可欠な資源を巡る激烈な競争を超えるためには、国際協力と真の経済的分かち合いを基盤とした政府間の政治関係において劇的な調整が必要とされます。

国際経済秩序のそのような根本的変革は、21世紀における最前の優先事項として貧困を抹消し、環境を保護することに世界の世論が焦点をあてさえするなら現実と成り得るのです。政策立案への現在の「通常通り営業」的姿勢を考えると、不平等、資源不足、そして環境の破綻が危険なクライマックスへ達するまで、世界的規模で政府が経済的分かち合いの必要性を受け入れることはあり得ないでしょう。それまでは変革と正義のための公衆からの圧力は必然的に高まるでしょう。そして政治家は最終的に歪んだ優先事項を改めるか、もしくは更なる社会的、経済的及び生態学的混乱の危険をおかすしか選択の余地がなくなるかもしれません。

世界の修復と蘇生のプロセスの展開を予測することは不可能ですが、もし必要な経済の変貌が民主主義的手段を通して起こるなら、完全に包括的な国際対話を何ヶ月という期間必要とするでしょう。これらの提案を要約することの目的はグローバル経済改革の条件を指図することではなく、公衆の参加とこれらの非常に重要な問題の議論を鼓舞し、世界資源の分かち合いを政府に要求するキャンペーンへの大衆支持を駆り立てることです。

パート1で要約されるように、改革され民主主義化された国連は大規模な経済的改革の協調的なグローバル・プログラムを促進することの出来る既存の多国間機関です。市民社会の幅広い連立はそれ故、全ての国の利益に基づきグローバル経済を再構築し協力的に管理するための広範囲な議題に同意するために、国連総会において国際首脳会議を開催するよう政府に圧力をかけねばなりません。これらの交渉は世界の貧困、環境と安全保障の危機を軽減するための即時かつ長期の対策へ焦点を合わせるべきです。私たちの集合的価値とグローバルな相互依存を受け入れるために、それは経済関係において根本的転換を必要とするでしょう。

次のセクションはこの変革的な世界的議題の重要な柱を要約しています:

1.   人道援助の国際プログラム: 定義的に国家間及び国内での経済的分かち合いのどのような過程も、まさに極貧層の緊急のニーズを優先せねばなりません。この緊急の必要性を踏まえると世界的交渉の初段階において主な懸念は、世界のどこであろうと命を脅かす剥奪と回避可能な貧困に関係する死を未然に防ぐための人道援助の緊急プログラムを組織化し、実施することでなければなりません。このようなプログラムは可能な限り短時間枠で同意され実施される必要があり、既存の緊急援助予算と人道プログラムを超える国際機関、資源及び専門知識の前例を見ない動員を必要とします。

2.   グローバル経済の構造改革: 国連総会はまたグローバル経済を再構築するための戦略を討議し、交渉し、実施するために全ての国と全ての社会部門からの代表と共に世界規模の公開協議を開催せねばなりません。これらの交渉が考慮すべき多くの改革の中で、万人のための十分な社会的保護と十分な公共サービスへのアクセスを保証することに特別な注意が払われねばなりません; 公平で持続可能な世界的食糧制度を確立すること; 天然資源をより公平にそして地球の限界内で分かち合うための国際的骨組みを制定することです。

このような熱望はある人たちにとって極端に見えるかもしれませんが、上記のふたつの提案は30年以上以前に「国際開発問題に関する独立委員会のレポート(ブラント委員会)」によって提出されたそれを広く反映しています。30年間の経済のグローバル化後、今日の世界問題はより一層複雑で相互連結しており、地球危機へ取り組むために必要な解決策はブラント・レポートへ貢献した委員の提案を遥かに越えるものでなければなりません。ブラントが話していた現在の極限に達する格差にもかかわらず、もう一方で「持続可能な生物学的環境と公平に配分された資源に基づく持続可能な繁栄を保障する」集合的努力において国々が共になるという彼の展望から私たちはまだ程遠いのです。[54]

私たちは文明危機の真っ只中にあり、経済的、生態学的惨事を回避する唯一の希望である「生存のためのプログラム」を政府が実現するための時間は僅かしか残されていません。

救急援助プログラム    

道徳的、人道的、または単に経済的展望からであろうと21世紀の政府にとっての第一の優先事項は、世界中の剥奪の命を脅かす状況を緊急に阻止することであるべきです。私たちが行動を怠る毎日、その多くが低・中間所得国に住む更に4万人の人々が回避可能な貧困から恐らく死んでいくのです。[55] もし私たちが分かち合いの原理を地球危機への対応の中心核とすることに真剣であるなら、世界再建設のプロセスのまさに最初のステップは確実に飢餓や貧困による不必要な死の全事例をなくすための緊急援助国際プログラムでなければなりません。

政府の巧みな言葉は発展途上国での極端な剥奪防止を支援するために既に多くがなされているとほのめかすかもしれませんが、それは現実から程遠いのです。殆どの寄付国が海外援助に僅かGDPの0.7%を提供するという長期間同意されてきた誓約を未だ成就できない一方で、政府開発援助(ODA)はその効果を劇的に減少させる金融規制と政策の「コンディショナリティー」が関与し続けます。[56] 更にまた援助として富裕国から貧困国へ送られる比較的僅かな総計のうちほんの一部(全てのODAの僅か8%)が人道緊急事態へ対応するために使われるのみです。[57]

命を脅かす貧困をグローバルな非常事態として考慮し、もう既にそれに応じて予防可能な危機に対処していてもよい頃です。自然災害や紛争などの緊急事態で死ぬ1人に対し、貧困関連の原因から200人が死んでいます。[58] それ故、人道緊急事態が何を必然的に伴うのかという概念を広げ、生命と尊厳への基本的権利を満たし、水、衛生、食糧、住居、そして医療の最小限の必要条件へのアクセスを痛切な経済的剥奪に苦しんでいる人々のために保証するよう取り決めるべきではないでしょうか。[59]

グローバルな人道救急事態

貧困の構造上の原因は複雑で本質的に政治的であり、それらに取り組むことはグローバル経済を統治する政治と体制への遠大な変革を必要とするでしょう。長期的に貧困削減と開発のための責任は強固な公共部門と再分配税制を築く必要のある各国政府にかかっており、外国援助は国内資源の動員の代替となるべきではありません。しかし無数の人々が生命を脅かす貧困状態に直面する一方で、発展途上国はこれら構造上の変革が起こるのを待てる状態ではありません。グローバル・コミュニティの国々は今日命を救うためにより大胆な一歩を踏みだし、極度の剥奪をなくすことを緊急に必要とします。そして世界の指導者たちの言い訳にもかかわらず、そうすることは極めて実際的で経済的に可能なことなのです。

STWRレポート「グローバルな分かち合いの経済を融資する」が要約するように、世界の最も剥奪された地域で貧困と飢餓の最悪の影響を軽減する支援をするため、4、5兆ドルを政府が迅速に動員することを可能にする多くの進歩的政策選択があります。多くの国連組織、何千というNGO、そして多くの場合極めて資金不足の人道機関の数多くを含む、不可欠な人間のニーズのための余剰財源の利用に必要な体制構造、能力、そして専門知識が現存します。[60]

主要な国際優先事項として世界の貧困者へ必需品を提供するために、政府間緊急プログラムが開始できない理由はありません。国連加盟国からの十分な支持を持って、そのような前例のないグローバル行動計画が比較的短時間で国連総合総会を通して開始されることが可能です。更に、既存の政治経済の骨組み内で、そして外国援助予算に頼ることなく富裕国から貧困国へと財源の必要な再分配の組織化が可能です。

もしグローバル・サウスの貧困帯と都市中心部への焦点を避けれないとしても、救援活動は発展途上国と同様に裕福なOECD国内でも万国共通の必要性のもと同調しておこなわれることが可能です。同様に食糧分配、設備提供、技術支援において人道機関を助力するための軍事要員を含んだプログラムへの財源又は更なる戦略資源をどのような政府が提供することも可能です。

このような性質の外国援助の取り組みは明らかに飢餓や貧困の包括的解決策とはならないでしょうが、どのような形態の福祉の提供も、また適切な健康状態・労働条件及び基本的ニーズを満たすための十分な購買力も持たず生存する何百万の人々のための命綱を提供することは可能です。1980年代初頭、世界の指導者たちが富裕国から貧困国への基金の「大規模な移動」のためのブラント委員会の提案を考慮していた時、グローバルな経済的分かち合いのそのような戦略を実現する必要な政治的意志が残念ながら欠如していました。しかし、人道危機の規模は今日更に広がっています。もし政府と市民社会がこの道徳的屈辱を断固として根絶することを望むのであれば、私たちがこのままのレベルの政治的、大衆的な自己満足的無頓着さを続行できる状況ではないのです。

グローバル経済を改革する

緊急援助プロブラムは、グローバル経済を徹底的に見直すためのさらに幅広い会議事項において初期段階を形成するのみです。そのような取り組みの規模と複雑さには比類がありません; 貧困と環境保護をはじめ世界貿易と金融改革までの重要な世界の全課題を繋げ、更に平等な世界へと私たちをより近づける新たな規則と制度を確立する効果的な掛け合いに、全ての国の代表が参加したことはかつてありませんでした。

グローバル経済の改革方法についての国際的意見の一致を達成するために、大規模な国連主導の協議プロセスが民間部門からの代表と同様、市民社会グループ、政府、グローバルな関連機関と制度からのインプットにより開始されねばなりません。次のセクションで要約されるように、これらの交渉の最小限の目的は改革された構造上、再分配上の取り決めについての同意であるべきです。それは、以下のために要求されます:

・  万人のための十分な社会保護と基本的公共サービスへのアクセスを保証すること。

・  公平で持続可能な世界食糧制度を確立し、基本的人権として栄養価の高い食糧への普遍的アクセスを保証すること。

・  全ての人と国が環境の限界内で世界資源の正当な分け前へアクセスを持ち消費することを確実にすること。

より公平さに基づいた持続可能な資源の分配を可能にする世界的骨組みの組織化へ国家がどう同意するかに関係なく、既存の制度、政策、そして融資メカニズムの意味合いは絶大であり全てを包括します。私たちの世界の独立性の新たな展望は真の協力と共同の犠牲に基づき、国際経済関係においての深い変革を持って呼びかけられます。富、権力及び資源のより公平な世界規模の分配は貧困を削減し、より公正な貿易を要求し、補償援助を提供する既存の開発努力を遥かに超えたグローバル統治のより包括的構造と制度上の改革を必要とします。

優先事項プログラム

2008年の経済崩壊以来の6年間、政府はいまだ金融・通貨制度を再構築せず、また銀行部門と投機活動へより厳しい規制を課すこともしていません。安定した国際準備通貨を持って、バランスのとれたグローバルな金融構造を確立することに特別な注意が払われねばなりません。そして、公益のために機能する民主主義的で明瞭な組織を通してお金がつくられるために多くの提案が存在します。更にまた、タックス・ヘイヴン(租税回避地)を取り締まり、発展途上国の不公平で支払い不可能な負債をキャンセルするための大衆の呼びかけは長年の懸案であり、世界の財源のより平等な分配を達成するために不可欠であり続けます。

国家経済管理のためのより実行可能な取り組みは、西洋における発展の概念についての著しい再考、自然環境との私たちの関係のより総合的展望、そして全国的、社会的プログレスの主要な尺度としてのGDPなどの財務指標の再発想を必要とするでしょう。[63] 気候変動から天然資源の枯渇と劣化までの環境問題は、政府の政策における消費主導の優勢性同様、貿易の自由化への容赦ない後押しを政府が考慮し直さねばならないことが不可避であることを意味します。[64] 消費文化廃止のためには多くが必要であり、そしてエネルギーや資源効率化対策の広大なリストと共に、低炭素化インフラを建築し持続する方向へ劇的に投資が移行せねばなりません。

僅かな数の多国籍企業が握る金融経済力集中の高みへ立ち向かうために、特に発展途上国で市民が地域経済に対して持つ統制権を強化する政策が政府によってまた同様に支持されるべきです。街やコミュニティへ経済利益を再分配し戻す協同組合事業と共同計画への大きな支持と共に経済を多様化し、社会的結束と地域経済更新の促進を支援するために国からの資金は地域の主導権へ向けられるべきです。国内市場へ焦点を当てることは、地域産業において安定した雇用の機会をも高め不可欠なニーズを充足させるために地域と全国の自立性を修復する助けになるでしょう。[66]

上記の浮き彫りにされた問題は、世界中で様々なキャンペーングループにより広く推進されている経済変革の異なった側面の包括的会議事項のスナップショットのみを唯一提供しています。これらのどの改革を実施するチャレンジも、経済政策の未来の指針を決定する権利を再び主張し、一般人のニーズへ仕える責任を政治家が重んずるのを確実にすることを市民社会に要求する基本的に民主主義的なものです。統治システムが経済的、文化的多様性に対して包括的、効果的、そして敬意的であるためには地域からグローバル規模におけるまで社会の全レベルでの決断過程への参加機会が市民に与えられねばなりません。[67]

次のセクションは、上記で強調された世界的交渉のための焦点の三つの主要な領域を紹介しており、そしてそれらの成功を確実にするために、なぜこれらの改革が前例のないレベルの国際協力と経済的分かち合いを必要とするかを説明しています

世界の食糧を分かち合う

全世界の人口の栄養必要量を充足させるために十二分の生産物があるにもかかわらず、生命を脅かす食糧緊急事態は多くの発展途上国を破壊し続け、そして毎日少なくとも8億4千2百万人が日々飢えに苦しんでいるのです。[68] グローバルマーケットにおいて広範囲な栄養不足が大きな余剰食糧と共存する時、明らかに食糧制度は基本的レベルで分かち合いの原理の逆へ働いています。最も基本的観点から豊かな世界での食糧の分かち合いは誰一人として餓死することを許さず、万人が安全で栄養価の高い食糧が十分に適正価格で保証されることを確実にする政府の優先事項の再調整を要求する国々という家族を示唆しています。[69]

しかし飢餓の不祥事は、全レベルで危機に瀕する壊れた食糧システムの最も酷い例であるにすぎません。工業型農業の営みは人間の生活が依存する天然資源をかなりの割合で低下させており、そして水不足、化石燃料の枯渇、天候異変、環境的劣化の結果として、未来の要求を充足させるための膨大な挑戦へ政府は直面しています。いくつかの推計によると、グローバル化された工業型食糧システムは温室効果ガスの排出の半分以上の原因となっています。[70] 環境上破壊的モデルへの農業の目覚ましい転換の結果、過去一世紀で植物の遺伝的多様性の75%が既に失われたと国連はまた同様に報告しています。[71]

グローバル農業の新たなパラダイムが早急に要求されます。食糧が家族、コミュニティー、全国的、国際的に全レベルで分かち合われるべき生活の必需品であることを私たちが受け入れるなら、次いで穀物と他の主要穀物を他の品物のように「商品」として扱い続けることは出来ません。それにもかかわらず、世界の食糧経済の全体系は人間の必要性のためではなく利益のために食糧が生産されるべきであるという信念に基づいています。それは、分かち合いがもしグローバル経済の改革プロセスを手引きするなら、食糧と農業システムにとって遠大な意味合いを持つのです。[72]

例を挙げると、多くの面で分かち合いの対極である知的財産権によってそれは痛切に説明されます。それは、小規模農家が種を分かち合い確保する権利さえを剥奪する傍ら、企業が遺伝子のコモンズを民営化し「所有する」権利を持つという信念のもとに構築されています。最も貧しい世帯にとっての悲惨な結果と共に、金融市場の食糧価格への博打が近年極端な価格の揺らぎの原因となっていることを今暗示する明らかな証拠を持って、世界で何百万という人々が飢えている時、基本的食糧の株式市場への投機もまた不祥事なのです。[74]

グローバル食糧システムを変革する

これらの動向を覆すことは、グローバル規模の行動と協力を必要とします。例にあげると、特に食糧価格危機の真っ只中で、最大企業が農産物の国際貿易から莫大な利益をあげることを可能にしている現在の地域・グローバル貿易をより公平なものとして確立することは不可欠です。[75] 農業貿易政策の指針の劇的な向け直しにおいて、OECD加盟国内とグローバル・サウス全体の両方で食糧の自給自足のより高いレベルを確立すること、市場を再調整して輸入への依存を減らすことをむしろ狙いとすべきです。[76]

簡略すると、より公平で持続可能な食糧システムは、食糧を育て分かち合う権限を与えられた人々とコミュニティーにかかっています。より地域化され生態学的な人民先導の農業のやり方を支持し農業の企業的展望を拒否する食糧主権運動によって、この新たな指針が徹底して明瞭に表現されています。[77] 実に、小規模及び軽負担農業のための科学的討議は既に勝利しています: 2008年、4百人以上の専門家の結論が国連出資のIAASTD (International Assessment of Agricultural Knowledge, Science and Technology for Development)において発表されました。それは工業型農業の現代システムについて痛烈な判断を下し、今日のグローバル食糧危機へ挑むための効果的な計画を政策立案者へ提出しました。[78]

分かち合いの実践は食糧と農業の新たなパラダイムにおいて極めて重要な役割を持っていますが、明らかにそれはパワー構造と不公平なグローバル経済の下地となる政治へ取り組む経済的分かち合いの真の形態である必要があります。栄養価の高い食糧へのアクセスを万人へ保証する責任を各政府が最終的に受け入れることにより、分かち合いと協力の原理に沿って食糧経済を民主化し地域化する政策を制定することは不可欠です。要約すると、国際社会にとっての政治的挑戦がこれ以上決定的で根深いものはありません。それは、 食糧が商品以上のものとして扱われ、最終的に基本的人権として普遍的に分かち合われることを許す食糧の霊的で非物質的価値観を復権させることなのです。[79]

分かち合いの社会を構築する

世界改革への長期的取り組みの優先事項として、政府は経済システムが主に全国民の基本的ニーズを充足させる方へ向けられることを確実にせねばなりません。緊急援助プログラムと外国援助の既存の形態は、長期にわたる国際的人権への責任に沿った社会保護と公共サービス提供の全国的システムの設定によって受け継がれねばなりません。グローバル・サウスとグローバル・ノース双方の、特にグローバル・サウスの政府がより自給自足の持続可能な経済発展のために権限を与えられる必要があります。それは、21世紀の社会経済政策の最重要目標とならねばなりません。

社会福祉と公共サービス提供のシステムは様々な形態で世界中に存在する、基本的に複雑な「分かち合いの経済」です。革新的な課税と再分配の過程を通じて全体としての社会の利益のために、国家の財源の一部を国民が集合的に分かち合うのです。多くの場合が完璧から程遠いとはいえ、社会保護の全国制度は国内の富を再分配し不平等を減少させ社会的一体性を強化する結束と社会正義の一表現です。[80]

社会保護の万国的提供は(社会保障給付と同様に公共医療サービス、教育、住居、水と公衆衛生、公共インフラと公共交通機関を含む)、国の社会契約の一部とならねばならず、民間やチャリティー部門へ任せることは不可能であると多くの専門家が認識しています。これは必然的に、政府の強力な介入主義的役割、厳しく規制された市場、公共サービスの非商品化、そしてニーズを明確に述べる権限を必要とする全国民の民主主義的参加を必要とします。[81]

強力な税務当局と効果的な金融行政にもまたそれが左右されるということは、大きな非公式部門、頽廃と管理の手落ちという内部問題を持つ多くの貧困国にとって主要な挑戦です。殆どの低所得国の税収と、援助依存と債務をなくすために必要とされるものの間には大きな溝が残ります。[82]

何十年もの間、より貧しい国々は公共財とサービスへの普遍的アクセスを保証するための十分な国内収入を増やす力を厳しく制約されて来ました。海外での投資、違法な資本逃避と公債の返済などの要因のコンビネーションが原因で、莫大なお金が貧困国から富裕国へと流れています。[83] 「自由市場」経済プログラムにより強制された貿易の自由化への圧力は、グローバル・サウスの多くの政府から更になくてはならない収入を剥奪しました。[84] 誠に、1980年代と1990年代の悪名高き「構造調整プログラム」は、多くの発展途上国に存在した基本的セーフティーネット(安全網)を効果的に取り除きました。[85]

グローバルな分かち合いの経済

今日高所得国においてでさえ、IMF先導の緊縮財政プログラムが社会福祉システムを後退させており、公共サービスを弱体化している政府の政策は一般的に誤った方へ向かっています。分かち合いの社会の概念そのものへのこれらの分裂的で有害な施策の影響を翻すために、更新された社会経済モデルは万人の公共サービスに投資し、環境と天候に調和した経済政策の上に創立された公平で再分配的課税制度を建築せねばなりません。[86]

それにもかかわらず、社会保護の保証の最低限を5人のうち4人が拒まれ、 先進国の人々が当然とする最も基本的な福祉でさえも世界人口の大部分にとっては未だ夢なのです。[87] 結果的に高所得国は、より貧しい国々がまともな雇用と活気に満ちた多様な経済を育成するために必要とする生産能力の発達を可能にする傍ら、彼らが国内の課税と社会保護制度の強化を援助するための更なる努力への責任があります。健全で自己充足的な民間部門を発展させるために低所得国が努力すると同時に、国際コミュニティーは最低限、彼らに財政支援を提供するための世界基金を緊急に確立すべきです。[88]

より長期的にグローバル・コミュニティの国々を包含するために分かち合いの国内システムを支える原理を私たちが拡大するまで、発展のための持続可能で包括的な会議事項を追求することは不可能であり続けるでしょう。言い換えると、万人の人権を支持する真に統一した世界の実現への最初の主要なステップである必需品とサービスへのアクセスを万人が保証されることを確実に出来る再分配の全国的、国際的形態に基づいた効果的な「グローバルな分かち合いの経済」を確立する必要があります。

グローバル・コモンズを分かち合う

万人のために不可欠な物資とサービスへのアクセスを保証するには、公益に仕えるグローバル経済の確立への長い道のりがあるということですが、本質的に公平で、環境的に持続可能であり、完全に包括的な経済的骨組みを確実にすることに達していません。国家同士がグローバル・コモンズをより公平にそして持続的に分かち合えるように、新たな経済的取り決めはまた何十年もの民営化、地球の天然資源(水、石油、ガス、鉱物など)の企業の支配と不当利得行為を翻す必要があります。[89] 資源が再生し、廃棄物と汚染物質が再吸収され得る50%増しの速度で人類全体が既に消費し汚染している時、国際コミュニティにとってこれは画期的なチャレンジを呈します。[90]

明らかにこのような事態が永久に続くことは不可能です。そして公衆の圧力あるいは激化する生物学的破局によって最終的に政府は世界を分裂したままにして置くか、むしろそれを分かち合うための協力的戦略のために現在の経済論理を放棄するよう強いられることになるかもしれません。そのような推移を首尾よく交渉するには二つの基本的前提条件が必須となるでしょう。第一に、経済成長を拡大し利益を最大限にするための終わりなき衝動の代わりに、そして経済政策の目標は全てを「更に」消費することを促進するよりむしろ健康と幸福を最大限にし、万人のために「十分」を保証するよう国々が目的とする、持続可能な充足性へ転じねばなりません。[91]

第二に、天然資源は私たちの分かち合うコモンズの一部であるという認識を国々は集合的に明確に供述せねばならないでしょう。そしてそれ故、それは未来世代及び万人の利益となる方法で管理されるべきです。この重要な再発想は今日の民間と国家所有権モデルから離れ、非所有権と信託統治に基づいた新たな形態のグローバル資源の管理へ転じることを可能にするでしょう。[92]

持続可能な世界への移行

天然資源を分かち合うための新たな統治体制には多くの形態があり得ます。例えば、国際法に既存する「人類の共通遺産」の原理に沿って、海洋や大気のように本質的に真にグローバルな多くのコモンズが世界公益信託に保有され、選ばれた代表者あるいは再生された国連機関により管理されることが可能でしょう。各政府にとってもうひとつの選択は、彼らの裁判管轄内で保有される天然資源の統治権を維持することですが、それらの資源の持続可能な使用の調和的国際プログラムと国の余剰の分かち合いにもまた同意することです。

そのような経済的取り決めは限りある惑星の限界内で各人がニーズを満たすことが出来るよう、政府が世界の消費レベルを連続的に減らし同等にすることを可能にするかもしれません。これを達成するには材料スループットと炭素排出量の(国家間の)レベルの合致が最終的に達成されるまで発展途上国が自国の資源の使用を増やし、過剰消費する国がそれを著しく減らすことを先導していかねばならないでしょう。同時に、国々の資源消費の全体的割合への連続的でより厳しい上限が、世界の消費パターンを徐々にかつ断然的に持続可能なレベルまで減少させることを確実に成し得るでしょう。[94] 「正当な分け前」的な生態学的エコロジカル・フットプリントへのこの劇的転換を促進するためには、非再生可能燃料への依存性を減らしクリーンエネルギーの代替源へ大いに投資することにより、低炭素開発の戦略を取り入れることを国際コミュニティーはまた必要としています。

天然資源を分かち合うためのグローバル機構のどのような形態の実施の意味合いをも過小評価されるべきではありません。例えば、協力的な資源管理の時代への移行は全レベルでのより包括的統治、世界的機関の民主化(国連を含む)、そしてグローバル・ノースからグローバル・サウスへの力関係の転換にかかっています。今日、ますます低下する国際協力を前提とし、秩序ある移行が必然的に国連加盟国により交渉されまとめられねばならないでしょう。世界の指導者たちは海外政策を特徴付ける自己権益と激烈な競争をやがて越えて行かねばなりません。彼らは健全な生態系と社会正義を脇へ押しやり、短期間での事業利益を優先する支配的経済モデルを維持するために激しく投資しています。[95]

すなわち、僅かな資源を巡る終わりなき消費と競争の上に構築された経済システムの運営について政府が再考することを待つことは出来ません。世界環境及び資源安全保障危機への解決策は、真に協力的な分かち合いの世界をつくる障害となる企業と政治勢力を克服するための協調的取り組みを持って、市民社会の活発な参加によってのみもたらされ得るのです。

分かち合いのグローバル運動

世界の政治的基盤を考慮すると、グローバル経済の大規模な再構築及び人道援助の緊急プログラムへの呼びかけへの反応としてそのような提案を夢想的だと考えることは可能です。現在、優勢的な動向はいまだ国家とマーケットパワーの中央集権、そして真のパワーの移行は一般人とコミュニティから大部分が非民主的な世界機関及び多国籍企業へと向いています。[96]

長期間に渡って万人の健康と幸福や生物園の持続可能性を先送りし、短期的な政治権益や商業利益を政府は優先して来ました。新自由主義的イデオロギーの影響下にある公共政策は、断続する成功のために生産と消費の持続不可能なレベルに構造上依存する世界経済をつくって来ました。気候変動、国際貿易及び持続可能な開発など相互連鎖する問題についての、何十年間も失敗を繰り返してきたグローバルカンファレンスはまた、今日国家間の協力及び善意の純然たる欠如を痛切に証明しました。

これらの高レベルの話し合いやサミットの失敗の主な理由は広く認識されています: 政策立案は長い間、いかなる犠牲を払っても既得権益を維持する力を持つ権力的企業と事業ロビー団体に捉えられています。「通常通り営業」がこのロビーの国歌であり、国連での交渉を含む政府の政策決定への彼らの影響力は現在頂点に達しています。[97]

人類がこれまで以上に社会的、経済的、環境的転換点に近づくと同時に、私たちが望む未来を創造するためにもはや政府だけに頼ることが出来ないのは明らかです。より良い世界のための希望は、国境を越え広がる改革のための呼びかけへの世界人民の参加にかかっています。2011年以来、世界中でのピープル・パワーの動員で証明されて来たように、進歩的変革を妨げる個人の権益には結束し認識的な公衆の意見のみが勝利出来るのです。行動することの責任は、通常のキャンペーナーやNGOだけにでなく直接的に一般人の肩にもかかっています。何百万というより多くの人々が、何が危機にさらされているのかを認識し変革の支持者として先導することが絶対不可欠です。地球と未来世代の健康と幸福は、グローバル意識のこの転換に大きくかかっているのです。[98]

結束した人々の声

既におおよそ全ての国で大衆蜂起が分かち合い、自由、そして正義のために街頭でデモンストレーションをしており、所得と富の非常に大きな不平等さの原因となって来た経済システムへの強い嫌悪感により繋がれています。ウォールストリートからゲジ公園、プエルタ・デル・ソルまで経済的分かち合いへの暗黙の呼びかけが多くの様々な形態で表現されています。これは、緊縮財政の代替案を目的とした広範囲に及ぶ動員を含みます; 天然資源の分かち合いと保護; 公共空間の分かち合いとコモンズの非囲い込み; 共益のための政府支出の正しい優先事項などです。[99]

同時に課税、債務問題における正義のための長期的なキャンペーンは全て富と政治力を下方へ再分配する必要性を反映しています。これら全て及びその他多くの運動は結局のところ富、権限、資源の公平な分かち合いと自然界の保護を要求しているのです。決定的時期を目前にもしより公平で持続可能な平和的未来のための希望を求めるなら、あらゆる立場の懸念する市民がこれらの思想と活動を広く支持せねばなりません。次々に展開する人間と環境的大惨事についての市民社会の拡大する認識にもかかわらず、人類全体として地球再建の必要性を幅広く受け入れることをいまだ欠いているのです。変革への集団的ヴィジョンを分かち合う一般人の社会運動なくして、私たちが直面する既得権益や進歩への構造的障壁を制覇することは不可能にとどまるかもしれません。

最終的にグローバル経済的分かち合いは、私たち共通の人間らしさと慈悲心への純然たる訴えかけによって要約されることが可能です。より公平で平等な世界のための集団的要求のみが、共通の機会の場で最富裕国及び最貧困国双方の国民を統一出来るるのです。すなわち世界再建の緊急過程は、最貧困層と最も権利を奪われた人々の代弁者となり極端な剥奪と不必要な貧困関連の死の根絶に最も高い優先権を与える結束した人々の声と共に始まらねばなりません。

もし分かち合いの議論が国際的基盤で各国での再分配への呼びかけと同じように素早く公衆のイマジネーションを捉えるなら、次いで甚だしい不平等、生態学的危機、世界の紛争を根絶することがついに現実的な可能性となるのです。


[1] For example, see Dacher Keltner, Jeremy Adam Smith and Jason Marsh, The Compassionate Instinct: The Science of Human Goodness, W. W. Norton & Company, 2010.; Jeremy Rifkin, The Empathic Civilization, Cambridge: Polity Press, 2009; Michael Tomasello, Why We Cooperate, Cambridge: MIT Press, 2009; Frans De Waal, The Age of Empathy, New York: Harmony Books, 2009; Colin Tudge, Why Genes are not Selfish and People are Nice, Floris Books, 2013.

[2] David Korten, When Corporations Rule the World, Berrett-Koehler, 2001.

[3] There is a significant literature on the need to democratise the major global institutions that create and express the rules of economic globalisation. For an introduction, see John Cavanagh et al, Alternatives to Economic Globalisation:  A Better World is Possible, Berrett-Koehler, 2004; George Monbiot, The Age of Consent, Harper Perennial, 2003; Joseph Stiglitz, Globalization and its Discontents, Penguin, 2003; Richard Peet, Unholy Trinity: The IMF, World Bank and WTO, Zed Books, 2009.

[4] For an introduction to this debate, see Richard Wilkinson and Kate Pickett, The Spirit Level: Why Equality is Better for Everyone, Penguin, 2010; <www.equalitytrust.org.uk>; <www.thespiritleveldocumentary.com>

[5] See the next section on sharing locally and nationally.

[6] Peter A. Corning, Fair Shares: Beyond Capitalism and Socialism, Politics and the Life Sciences Vol. 22, No. 2 (Sep., 2003), pp. 12-32.

[7] Michael Edwards et al, Just Another Emperor? The Myths and Realities of Philanthrocapitalism, The Young Foundation, 2008; Mary-Beth Raddon, Neoliberal Legacies: Planned Giving and the New Philanthropy, Studies in Political Economy 81, Spring 2008; <www.edgefunders.org>; <www.edgefund.org.uk/resources>

[8] Navdanya, Seed Freedom: A Global Citizens' Report, October 2012.

[9] <www.soilassociation.org/communitysupportedagriculture>

[10] Marjorie Kelly, Owning Our Future: The Emerging Ownership Revolution, Berrett-Koehler Publishers, Gar Alperovitz, America Beyond Capitalism: Reclaiming Our Wealth, Our Liberty, and Our Democracy, Democracy Collaborative Press/Dollars and Sense, 2011; John Restakis, Humanizing the Economy: Co-operatives in the Age of Capital, New Society Publishers, 2010.

[11] Derek Wall, The Commons in History: Culture, Conflict, and Ecology, MIT Press, 2014; <www.globalcommonstrust.org>

[12] For example, see: Robert Hopkins, The Transition Handbook: From Oil Dependency to Local Resilience, Green Books, 2008; <www.transitionnetwork.org>

[13] Rachel Botsman and Roo Rogers, What's Mine Is Yours: The Rise of Collaborative Consumption, HarperBusiness, 2010; Janelle Orsi and Emily Doskow, The Sharing Solution: How to Save Money, Simplify Your Life & Build Community, Nolo, 2009; Julian Agyeman, Duncan McLaren and Adrianne Schaefer-Borrego, Sharing Cities, Friends of the Earth briefing paper, September 2013.

[14] Share The World's Resources, Financing the Global Sharing Economy, October 2012.

[15] Office of the United Nations High Commissioner for Human Rights, Frequently Asked Questions on Economic, Social and Cultural Rights, Fact Sheet No. 33, Geneva, December 2008.

[16] cf. FIAN International, Maastricht Principles on Extraterritorial Obligations of States in the Area of Economic, Social and Cultural Rights, Heidelberg, January 2013; Rolf Künnemann, Twelve reasons to strengthen extraterritorial human rights obligations, FIAN International for the ETO Consortium, Heidelberg, June 2013.

[17] This issue is further introduced in part 2 on the environmental crisis and resource wars, and part 3 on sharing the global commons.

[18] Mohammed Mesbahi and Angela Paine, The UN and the principle of sharing, Share the World's Resources, September 2007.

[19] For example, see: Network of Spiritual Progressives (NSP), The Global Marshall Plan: A National Security Strategy of Generosity and care, California: USA (undated); UNCTAD, Economic Development in Africa - Doubling Aid: Making the “Big Push” work, Geneva: Switzerland, 2006; Franz Josef Radermacher, Global Marshall Plan - A Planetary Contract: For a Worldwide Eco-Social Market Economy, Global Marshall Plan Foundation, 2004; <www.globalmarshallplan.org>

[20] Share The World's Resources, Financing the Global Sharing Economy, October 2012, see box 13 in chapter 5: Increase International Aid, pp. 96-7.

[21] For example, see Prue Taylor, The Common Heritage of Mankind: A Bold Doctrine Kept Within Strict Boundaries, in David Bollier and Silke Helfrich (eds), The Wealth of the Commons: A World Beyond Market & State, Levellers Press, 2013.

[22] See reference 3.

[23] Mohammed Mesbahi and Angela Paine, op cit.

[24] Alexia Eastwood, Revisiting economic man, Share The World's Resources, April 2010.

[25] David Harvey, A Brief History of Neoliberalism, OUP Oxford, 2007.

[26] Jubilee Debt Campaign, The State of Debt: Putting an end to 30 years of crisis, May 2012; Robin Broad and John Cavanagh, Development Redefined: How the Market Met Its Match, Paradigm, 2008.

[27] Stuart Hall, Doreen Massey and Michael Rustin (eds), After Neoliberalism? The Kilburn Manifesto, Soundings, 2013; Mohammed Mesbahi, Commercialisation: the antithesis of sharing, Share The World’s Resources, April 2014.

[28] Nafeez Mosaddeq Ahmed, A User's Guide to the Crisis of Civilization: And How to Save It, Pluto Press, 2010.

[29] United Nations General Assembly, Universal Declaration of Human Rights (UDHR), Paris, 10th December 1948.

[30] Coleman-Jensen, A., Nord, M., & Singh, A.. (2013). Household Food Security in the United States in 2012. USDA ERS; also see the US Hunger Cliff campaign, <hungercliff.org>

[31] Oxfam, A Cautionary Tale: The true cost of austerity and inequality in Europe, September 2013.

[32] Share The World’s Resources, Should We Celebrate a Decline in Global Poverty?, 16th March 2012.

[33] Contrary to popular perception, the World Bank's poverty measurement is based on what a dollar would buy in the United States, not in another country like Ethiopia, India or Peru. For the 95% on $10 a day figure, see Martin Ravallion, Shaohua Chen and Prem Sangraula, Dollar a day revisited, World Bank, May 2008. Using 2005 population numbers, this is equivalent to just under 79.7% of the developing world population, and does not include populations living on less than $10 a day from industrialised nations. See Anup Shah, Poverty Facts and Stats, updated 20th September 2010.

[34] Share The World’s Resources, The Seven Myths of Slums, December 2010.

[35] Francine Mestrum, ‘Why we have to fight global income inequality’, in Matti Kohonen and Francine Mestrum (eds), Tax Justice: Putting Global Inequality on the Agenda, Pluto Press, 2009, pp. 25-44; Thomas Pogge, Unfair Share, RSA Journal, April 2011.

[36] For example, the UN estimated that developing countries as a group provided a net transfer of $545bn to developed countries in 2009. Furthermore, illicit capital flows from developing countries to the rich world totalled $903bn in the same year. Altogether, this was 10.8 times as much as the amount donated in aid over that period ($133.5bn). For references, see STWR, Financing the global sharing economy, part three (5): Increase international aid, pp. 93-4.  

[37] Isabel Ortiz and Matthew Cummins, Global Inequality - Beyond the Bottom Billion, UNICEF working paper, May 2011.

[38] Ricardo Fuentes-Nieva and Nick Galasso, Working for the Few: Political capture and economic inequality, Oxfam International, January 2014.

[39] John Hilary, The Poverty of Capitalism: Economic Meltdown and the Struggle for What Comes Next, Pluto Press, 2013.

[40] Alex Evans, Resource scarcity, fair shares and development, A WWF/Oxfam discussion paper, 2011; Marin Khor, The Equitable Sharing of Atmospheric and Development Space, South Centre, November 2010.

[41] Millennium Ecosystem Assessment, Ecosystems and Human Well-being: Synthesis, Island Press, Washington, DC., 2005, p. 2.

[42] WWF et al, Living Planet Report 2010: Biodiversity, biocapacity and development, October 2010.

[43] Alex Evans, op cit.

[44] Alison Doig, The Rich, The Poor, and the Future of the Earth: Equity in a Constrained World, Christian Aid, April 2012, pp. 6-7.

[45] Millennium Ecosystem Assessment, op cit.

[46] Kate Raworth, A Safe and 4 Just Space for Humanity: Can We Live Within the Doughnut? Oxfam Discussion Paper, February 2012, pp. 5, 19;

[47] Proposal Universal Declaration of the Rights of Mother Earth, from the World People's Conference on Climate Change and the Rights of Mother Earth, Cochabamba, Bolivia, April 2010, <www.pwccc.wordpress.com>; see also <www.therightsofnature.org>

[48] For example, see: HM Government, A Strong Britain in an Age of Uncertainty: The National Security Strategy, TSO, October 2010; Charlene Porter, Energy Security a U.S. Foreign Policy Priority, Clinton Says, State Department’s Bureau of International Information Programs (IIP), 18 October 2012.

[49] William K. Tabb, Resource Wars, August 12, 2006.

[50] Dambisa Moyo, Winner Take All: China's Race For Resources and What It Means For Us, Penguin, 2013, p. 198.

[51] Michael T. Klare, Global petro-politics: The foreign policy implications of the Bush Administration's Energy Plan, Current History, March 2002.

[52] Michael T. Klare, Rising Powers, Shrinking Planet: The New Geopolitics of Energy, Metropolitan books, 2008; Evi Ludi, Climate change, water and food security: Background note, Overseas Development Institute, March 2009.

[53] Michael T. Klare, Resource Wars: The New Landscape of Global Conflict, Owl Books, 2001, pp. 223-226.

[54] Willy Brandt et al, North-South: A Programme for Survival, The MIT Press, 1980; see also James B. Quilligan, The Brandt Equation: 21st Century Blueprint for the New Global Economy, Brandt 21 Forum, 2002.

[55] According to global mortality statistics from the World Health Organization, around 15 million people die every year largely due to a lack of access to nutritious food, basic healthcare services, or clean water for drinking and sanitation - equivalent to more than 40,000 deaths every single day. Ninety six percent of all deaths from these causes occur in low- and middle-income countries and are considered largely preventable. Only communicable, maternal, perinatal, and nutritional diseases have been considered for this analysis, referred to as ‘Group I' causes. See the World Health Organization, Disease and injury regional estimates, Cause-specific mortality: regional estimates for 2008, <www.who.int>

[56] OECD newsroom, Aid to poor countries slips further as governments tighten budgets, 3rd April 2013.

[57] In 2012, humanitarian aid accounted for 8.1% of total DAC aid. See OECD statistics on 'aid by major purposes (commitments)', < www.oecd.org/statistics/>

[58] Roger Riddell, Is aid working? Is this the right question to be asking?, Open Democracy, 20th November 2009.

[59] cf. The Sphere Project, The Sphere Handbook: Humanitarian Charter and Minimum Standards in Humanitarian Response, 2011 edition; <www.spherehandbook.org>

[60] Global Humanitarian Assistance Report 2013, Development Initiatives, p.14, <www.globalhumanitarianassistance.org>

[61] For example, see: UN General Assembly, Report of the Commission of Experts of the President of the United Nations General Assembly on Reforms of the International Monetary and Financial System, September 2009; International Movement for Monetary Reform, <www.internationalmoneyreform.org>

[62] Share The World’s Resources, Financing the Global Sharing Economy, October 2012, see part 3 / chapters 4 and 9.

[63] Since the 2007/8 economic crisis there is a significant debate around how we measure economic performance and social progress, as well as many proposals for new indicators. See the Sen-Stiglitz Commission on the Measurement of Economic Performance and Social Progress, <www.stiglitz-sen-fitoussi.fr/en>; List of newer approaches to the measurement of (economic) progress, Wikipedia.

[64] Tim Jackson, Prosperity without Growth: Economics for a Finite Planet, Routledge, 2011; Richard Heinberg, The End of Growth: Adapting to Our New Economic Reality, New Society Publishers, 2011; Herman Daly and John Cobb Jr., For The Common Good, Beacon Press, 1994; <www.tjm.org.uk>; <www.citizen.org/trade>; <www.ourworldisnotforsale.org/en>

[65] Juliet Schor, Plenitude: The New Economics of True Wealth, Tantor Media Inc, 2010; Chandran Nair, Consumptionomics, Infinite Ideas, 2010; Greenpeace International, Energy [R]evolution: A Sustainable World Energy Outlook, 4th edition, July 2012.

[66] M. Shuman, Going Local: Creating Self Reliant Communities in a Global Age, London: Routledge, 2001; Colin Hines, Localization: A Global Manifesto, Routledge, 2000; John Cavanagh and Jerry Mander (eds), Alternatives to Economic Globalisation: A Better World is Possible, BK Currents, 2004, pp. 82-85, 147-164.

[67] Marianne Maeckelbergh, The Will of the Many: How the Alterglobalisation Movement is Changing the Face of Democracy, Pluto Press, 2009; Hilary Wainwright, Reclaim the State: Experiments in Popular Democracy, Verso Books, 2003.

[68] FAO, IFAD and WFP, The State of Food Insecurity in the World 2013: The multiple dimensions of food security,  Rome, FAO, Rome, October 2013.

[69] cf. Olivier De Schutter, 'Assessing a decade of right to food progress', Report presented to the 68th Session of the UN General Assembly, 7th August 2013.

[70] GRAIN, Food and climate change: the forgotten link, September 2011.

[71] FAO, The State of the World's Plant Genetic Resources for Food and Agriculture, 2010.

[72] cf. Peter Rosset, Food is Different: Why We Must Get the WTO Out of Agriculture, Zed Books, 2006.

[73] Geoff Tansey and Tasmin Rajotte (eds), The Future Control of Food: A Guide to International Negotiations and Rules on Intellectual Property, Biodiversity and Food Security, Routledge, 2008, see part III; see also <www.seedsoffreedom.info>

[74] Murray Worthy, Broken markets: How financial market regulation can help prevent another global food crisis, World Development Movement, September 2011.

[75] GRAIN, Making a killing from hunger, April 2008.

[76] Helena Norberg-Hodge et al, Bringing the Food Economy Home: Local Alternatives to Global Agribusiness, Kumarian Press, 2002; Sophia Murphy, Free Trade in Agriculture: A Bad Idea Whose Time is Done, Monthly Review, July-August 2009.

[77] The food sovereignty paradigm is well defined in the Nyéléni forums. For example, see Nyéléni European Food Sovereignty Movement, Nyeleni Declaration, 2011.

[78] International Assessment of Agricultural Knowledge, Science and Technology for Development (IAASTD), Agriculture at a Crossroads: Synthesis Report, United Nations, Washington D.C., 2009; see also UNCTAD, Trade and Environment Review 2013: Wake up before it is too late - Make agriculture truly sustainable now for food security in a changing climate, Geneva, September 2013.

[79] Jose Luis Vivero Pol, Food as a Commons: Reframing the Narrative of the Food System, Centre for Philosophy of Law, Université Catholique de Louvain, April 2013.

[80] United Nations Research Institute for Social Development (UNRISD), Combating Poverty and Inequality: Structural Change, Social Policy and Politics, Geneva, 2010.

[81] For example, see Francine Mestrum, Building Another World: Re-thinking Social Protection, Global Social Justice, March 2013.

[82] Share The World's Resources, No Tax, No Justice, 23rd September 2011.

[83] UN Department of Economic and Social Affairs (UN-DESA), World Economic Situation and Prospects 2010, New York: 2010, table III.1, p. 73.

[84] Share The World’s Resources, Financing the Global Sharing Economy, October 2012, Part 3 / Chapter 10.

[85] Walden Bello, Dark Victory: The United States and Global Poverty, Pluto Press, 1998.

[86] Teresa Cavero and Krisnah Poinasamy, A Cautionary Tale: The true cost of austerity and inequality in Europe, Oxfam, September 2013; Emma Seery, Working for the Many: Public Services Fight Inequality, Oxfam, April 2014.

[87] International Labour Office, World Social Security Report 2010/11: Providing coverage in times of crisis and beyond, Geneva, 2010.

[88] cf. Olivier De Schutter and Magdalena Sepúlveda, Underwriting the Poor: A Global Fund for Social Protection, Briefing Note 07, United Nations, October 2012; UN General Assembly, Report of the Commission of Experts of the President of the United Nations General Assembly on Reforms of the International Monetary and Financial System, September 2009, p. 42.

[89] The global commons in this sense refers not only to supranational resource domains such as the oceans, the atmosphere and the Northern and Southern polar regions, but rather all of the earth's natural resources that should be cooperatively shared among all nations. Many commons theorists define the global commons in a similarly broad way.

[90] WWF et al, Living Planet Report 2010: Biodiversity, biocapacity and development, October 2010.

[91] Rob Dietz and Dan O’Neill, Enough is Enough: Building a Sustainable Economy in a World of Finite Resources, Earthscan, 2013, see chapters 5 and 14.

[92] cf. James B. Quilligan, People Sharing Resources: Toward a New Multilateralism of the Global Commons, Kosmos Journal, Fall/Winter 2009.

[93] There are many options available for how such a trust could be organised on a global level to incorporate the full range of renewable and non-renewable resources, including fossil fuels. For example, see James B. Quilligan <globalcommonstrust.org>; Peter Barnes <capitalism3.com>; Peter Brown and Geoffrey Garver, Right Relationship: Building a Whole Earth Economy, Berrett-Koehler Publishers, 2009.

[94] For example, Tim Jackson has proposed that the ‘contraction and convergence’ model could be applied to the extraction of non-renewable resources, the emission of wastes, the drawing down of groundwater and the rate of harvesting renewable resources. Tim Jackson, Prosperity without Growth: Economics for a Finite Planet, Routledge, 2011, see p. 174.

[95] David Korten, The Great Turning: From Empire to Earth Community, Kumarian Press, 2007; Ross Jackson, Occupy World Street: A Global Roadmap for Radical Economic and Political Reform, Chelsea Green Publishing, 2012.

[96] Paul Raskin, Imagine all the People:  Advancing a Global Citizens Movement, Kosmos magazine, Spring/Summer 2011; Paul Raskin et al, Great Transition: The Promise and Lure of the Times Ahead, Tellus Institute, 2002.

[97] Paul de Clerck et al, Reclaim the UN from Corporate Capture, Friends of the Earth International, June 2012; State of Power 2014: Exposing the Davos Class, Transnational Institute, January 2014.

[98] Share The World's Resources, When will ordinary people rise up? How a united voice of the public could transform the world, June 2012.

[99] Isabel Ortiz et al, World Protests 2006-2013, Initiative for Policy Dialogue and Friedrich-Ebert-Stiftung, September 2013.