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私たちの共通目標としての分かち合い

STWR
2015年2月1日

分かち合いへの呼びかけが既に活動的市民と革新的な組織の(多くの場合認識されていないながらも)根本的要求であることを考慮すると、私たち皆を結束させるこの共通理念を受け入れない理由はありません。

これはレポート「私たちの共通目標としての分かち合い」のエグゼクティブ・サマリー(概要)の日本語版です。完全レポートは以下をクリックしてください:私たちの共通目標としての分かち合い


エグゼクティブ・サマリー (概要) 

全世界の政府がより公正で持続可能な未来への希望をもたらせないかたわら、何百万人ものキャンペーナーおよび活動家は世界危機の激化をなにもせずただ傍観していることを拒否します。いくつかの不吉な前兆があります:気候の混乱、希少資源を巡って激化する紛争、貧困国同様に富裕国における貧困化および社会的排除、そしてさらなる世界的金融崩壊の迫り来る展望。いわゆる惑星規模の緊急事態をものともせず世界の指導者たちに挑み、重大な社会・環境問題への取り組みの努力の周りの市民のこのように広範的、持続的な動員は初めてです。 世界的「ムーブメントの動き」は高まっており、それは、私たちが直面する多数の危機は大々的改革を必要とする時代遅れの経済システムが根本的原因であるという認識によって促進されています。

しかし、断続する歴史的動向を覆すための大規模な共同活動の必要性への高まる認識にもかかわらず、世界の相互関係する問題の全原因にとりかかるために十分な努力がなされていないのは明らかです。市民社会組織、草の根活動家、そして積極的に関与する市民の集合的活動から成る、真に統一した革新的ムーブメントが私たちにはいまだ欠けています。劇的な変革に必要な方向性について世界人口の絶対大多数の間で合意を可能にする共通の旗のもと様々な革新的目標の統合が緊急に必要とされます。革新的コミュニティ内で多くの個人と団体が認識し宣言するように、これは世界の再生および再建をもたらすための最大の希望です。

このレポートはどのように分かち合いへの要求が世界人民のこの拡大する世界的ムーブメントの形成の中心核となるかを明示します。企業の貪欲と利益より人間のニーズと生態系保護を政府が優先するようさらに多くの人々が声をあげ始めていると同時に、分かち合いへの呼びかけは一貫してより良い世界への市民社会の要求の中心です。事実、分かち合いの原理は多くの場合およそ全分野での試みにおける進歩的改革への取り組みの中心です。しかしこの共通の関心は世界問題への解決策としての分かち合いの多様性、共通性、そして広い適応性への認識なくして一般的に、暗黙のうちに理解され表現されています。

説明上の目的としてこのレポートの「マッピング」セクションで強調される多くの目標、イニシアチブそしてムーブメントは5つの主要カテゴリーに沿って広くグループ分けされています:社会正義、環境管理、世界平和、参加型民主主義、そしてその他多数のムーブメント。これらの包括的主題に当てはまる概説された各目標のなかでそのすべてでなくとも殆どが基本的に、国家基盤あるいは国際基盤のどちらかでどのように富、権力または資源のより公平な分かち合いへの要求の上に成り立っているか容易に理解できます。このため変革への結束した呼びかけのもと世界の平和、正義、そして環境ムーブメントを繋げることを促進する可能性をもつ共通の目標として、分かち合いはより広く促進されるべきだと私たちは主張します。

分かち合いへの呼びかけはどのように表現されるか

富および収入の不平等が袋小路に陥り、人口の1%(あるいは事実、0.001%)にますます利益をもたらしている状態において社会・経済正義があり得ないと同時に、多くの意味で社会のより大きな分かち合いへの必要性は長年明らかでした。 明白ではないにしても、社会全体の富および権力の公平な分かち合いへの必要性のまわりに多くの場合すべてが組み立てられた、増大する極度の不平等への取り組みの必要性について現在注目の討論がおよそ絶え間なく行われています。

同時に、新たな発展パラダイム、あるいは経済的代替への提唱は分かち合いの観点からますます打ち立てられ議論されています。これは、多くの政策アナリストと市民社会組織(CSOs; civil society organisations) が制約された世界で「正当な分け前」- 言い方を変えると、この惑星の環境的限界を超えることなく地球資源を分かち合う万人の平等な権利 - を要求する気候変動と持続可能な発展の国際討論において最も明白です。 さらに、クリスチャン・エイド、オックスファム・インターナショナルおよびフレンズ・オブ・アースを含んだ主な市民社会組織の一部は、組織的戦略と目標の一部として分かち合いの原理を取り入れ、不公正な世界を変えるために権力および資源を分かち合うやり方への劇的な変革を呼びかけていることは明らかです。

「コモンズ」の再生された概念もまた、地球の共有資源を共同で守る必要性の観点から、持続不可能な成長から拡大する不平等に至るまで、この時代の最も緊急な課題のすべてを組み立てる、学者や活動家の有名なグローバル・ムーブメントをも急速にもたらしています。 より地域的および実際的レベルでは、ギフト経済と共同コミュニティ・プロジェクト、そしてオンラインプラットフォームの利用と分かち合い志向の事業モデルを通じ、日常生活でさらに分かち合うよう人々を力づける「分かち合いの経済」ムーブメントも花開いています。

しかしながら他の殆どの例において分かち合いへの基本的要求は、それとなく話し合われるか、あるいは変革への大衆の呼びかけのなかで偶発的に促進されるかです。例をあげると、世界中の何百万という人々が先導して民主主義と自由のために退廃した政府に対して蜂起し始め、コミュニティと職場内の新たな民主主義活動に活発に参加している人々までが多くの形で苦闘しています。しかし、このレポートの参加型民主主義に関するセクションでさらに概要されるように、政治的権力および財源のより公平な分かち合いなくしては、民主主義の真の形態、そして万人の基本的人権の確保はあり得ません。

同じように分かち合いの原理は、それが軍事支出を公衆の必需品へ向け直すことであろうと、協力的国際協定を通して希少資源の奪い合いを止めることであろうと、平和的共存のための多くのキャンペーンとイニシアチブの基盤です。歴史的および常識的双方の点から、資源を巡る競争が紛争の原因となることは明らかです - そして容易に分かち合えるものを所有しようとすべての国が対抗し合うところの経済パラダイムの永続は無意味です。

それにもかかわらず、不安や剥奪のないより公正で平和な世界を心に描くすべての人の根本的な理念としての分かち合いの基本的必要性は殆どの場合認識されていません。これは、特に、拡張する途方もない社会的・経済的分裂への反応として、近年迅速に出現しているアラブの春のデモンストレーションやオキュパイ運動などの大衆抗議デモもまた、全社会のより大きな経済の分かち合いへの暗黙の呼びかけによって常に連結しているという事実にもかかわらずです。

なぜ分かち合いを提唱すべきか

分かち合いへの呼びかけが既に革新的な個人の多種多様なグループおよび組織の根本的要求(多くの場合不認識ながらも)であることを考慮すると、私たちがこの共通理念を受け入れ、自分たちの取り組みと活動のなかで分かち合いをより明白に提唱すべき多くの理由があります。とりわけ、共通の主題と展望のもとまったく異種のキャンペーン・グループ、活動家および社会運動を連結する可能性を分かち合いへの呼びかけは秘めています。そのような呼びかけはグローバル市民社会の結束を象徴し、最終的に私たちは皆同じ目的のために戦っているのだということを自認するのに役立つかもしれない包括的な結集のプラットフォームを提供できます。 既存のフォーカスや運動優先事項のどれも断念する必要なくして、孤立した個々の部門および単一争点のプラットフォームを超える道をそれはまた提供します。

分かち合いへの呼びかけはまた、大きな変革の運動イニシアチブと活動においての公衆の遥かに広範な層の人々をもまた引き込むことができます。多くの人々は、専門的な複雑さゆえ政治的問題から切り離されていると感じ、あるいは直面する課題の巨大さに圧倒され行動を起こすには準備不足であると感じています。しかし、分かち合いの人間的価値を誰もがわかっています。そして政治的環境でこの普遍的原理を支持することにより、資源のより公平で持続可能な分配に完全に基づいた経済学のまったく新しいアプローチへの道を私たちは指し示すことができます。このようにして分かち合いの原理は、重大なグローバル問題への公衆の広範な参加を引き起こすことを促進できる貴重なアドボカシーおよび教育上の道具を象徴します。

加えて、分かち合いの原理導入を政府に要求することは、国内および国外双方で現在の経済的・政治的取り決めに急進的な影響を持ち得ます。グローバル・ノースおよびサウス双方で政策結果を支配し続ける、経済状態への新自由主義的アプローチの影響を私たちが考察する時それは明らかであり、そしてそれは多くの場合、平等主義的価値観および旧来の人権実現に基づいた経済的アプローチの対極です。すべての政府が優先事項を徹底的に再調整する必要のあるますます不平等で持続不可能となる世界で、分かち合いへの呼びかけは社会の全レベルで政策立案を導くための正義、民主主義および環境管理の必要性を象徴します。

最終的に、富、権力および資源のより公平な分かち合いへの集合的要求のみが恐らく、共通の目標のなかで世界市民を結束します。異なった国々の個人および組織がより具体的方法で彼らの取り組み(すでに進行中のプロセス)を協調させなければ、「業務平常通り」を維持する利権と凝り固まった構造を打倒することは不可能にとどまるかもしれません。社会、経済および環境の崩壊の最終的展望に直面する一方で、社会の再構築および21世紀の多数の危機に取り組むための基本的ガイドとして、分かち合いの原理を支持する広範なグローバル運動を確立することはこれ以上緊急であり得ません。最終的に、世界全体の必要に応じた経済改革を促すためのより大きな希望をこれは象徴するかもしれません。

推薦事項

このレポートは、分かち合いのグローバル・ムーブメントが既にどのように存在するかを例えその集合的な実体または目的がまだ確認されていないとしても、明示することを求めます。共通点がなく今のところまとまりのない形態にもかかわらず、私たちの共通目標として分かち合いを促進する正当性が自分たちにとって納得のいくものであるなら、私たちは皆、同じ価値観と幅広い関心をもつこの新興ムーブメントの一部なのです。下記の推薦事項は、私たちがどのようにしてこの認識を基盤とし、分かち合いの結束的かつ包括的な世界的ムーブメントをより強化し拡大する役割を担うことができるかを概説します。

1. アドボカシーと運動活動に分かち合いのメッセージを融合させる

世界中で分かち合いの多種多様な形態を拡大することの必要性への認識に基づき、私たちが取り組んでいる問題の関係において、分かち合いが私たち個人にとってなにを意味するのか探求することが重要です。これは、適切である時にはいつでも、キャンペーンの取り組みと積極行動主義を分かち合いのメッセージと融合させることを可能にするでしょう。それゆえ正義、持続可能性、平和および民主主義の展望から、社会でより大きな分かち合いへの必要性のまわりに説得力のある民衆的な骨組みを皆が形成することに役立てます。 レポートに概説される4つの重要な課題に関係して、取り入れられ創造的に試行され得る貴重な「ミーム」としても機能する分かち合いの観点から、様々な革新的試みをどう組み立てるかというアイデアのいくつかの例については完全レポートをご覧ください。

2. 分かち合いの集合的プラットフォームへの動員

協力的プロセスを通して効果的な人々のムーブメントを形成することは、議論の余地はあるにしても市民社会運動の至高の目標であり、それを大規模で達成することは実際極端に難しいものです。しかし不平等、グローバル紛争および環境破壊の危機がかつてないほどより現実的で緊急を要すると同時に、お互いに繋がりのないまま残るかもしれない異なったいくつかのキャンペーンの課題を統一する、分かち合いのための集合的プラットフォームの劇的な変革のために個人と団体が動員するという素晴らしいスコープがあります。完全レポートは、分かち合いのそのような共通理念の創造において社会運動、キャンペーン・グループおよび活動家がどのように彼らの取り組みを融合させれるかといういくつかの例を概説します。

3. STWRの分かち合いへの世界的呼びかけを奨励し署名する

もし分かち合いの原理が社会正義、環境管理および参加型民主主義、あるいは平和的共存のためのどのような計画にも不可欠であると理解されるべきなら、疑いなく、公開討論の劇的な転換が必要です。共通目標として分かち合いを受け入れる市民のグローバル・ムーブメントを活性化する必要があるともしあなたが同意するなら、下記のキャンペーンの声明に署名することによりご奨励ください。世界的呼びかけへの参加を通して、どのような個人でも組織もがこの新興的テーマおよびビジョンの発展を促し、経済および政治の観点から分かち合いの重要さについて公衆の認識とより幅広い討論を刺激することを促進できるのです。

声明への署名は以下をクリックしてください:www.sharing.org/global-call