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危機から強靭力へ:飢餓と闘うための新しいレシピ

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2023年8月10日

まともな栄養価の高い食事は現在、地球上の半分近くの人にとって手の届かないところにあります。飢餓に対処し、各国が必要とする食料を生産する能力を再構築するには、まったく新しいレシピが必要である、とオリヴィエ・デ・シュッター氏はIPS newsに書いています。


世界の食料システムの脆弱な状態は岐路に達しています。最近の見出しは、私たちが現在直面している深刻な課題を浮き彫りにしています。

国連は、2019年よりもさらに1億2,200万人もの人々が飢えに陥り、長年の進歩が台無しになっているという厳粛な統計を発表しました。その1週間後、ロシアは、ウクライナの膨大な穀物生産を国外に出荷することを可能にした重要な協定を終了すると発表しました。

この協定は、昨年の記録的高値となった食品価格を緩和する上で重要な要素でした。その後、ロシアはウクライナの穀物施設への爆撃を進め、小麦とトウモロコシの価格を高騰させました。同時に、猛暑、燃え盛る森林火災、壊滅的な洪水が世界中で収穫を危険にさらしています。一方、食品業界は何十億ドルもの利益を記録しました。

これらの出来事は、私たちが食料安全保障に対する深刻なショックと、根底にある慢性的な食料貧困の両方に直面していることを物語っています。これは、産業のグローバル化した食料システムが莫大な利益を生み出しているにもかかわらずです。これらはすべて同じ病いの症状であり、私たちの食料システムに大きな変革が緊急に必要であることを浮き彫りにしています。

おそらく最も懸念すべきは国連の飢餓報告書の2つの統計でしょう。

第一に、2030年にはほぼ6億人が慢性的な栄養不足に陥る可能性があるという予測です。これは、政府がその日までに飢餓をなくすことを約束した持続可能な開発目標が、緊急の行動がとられない限り全く無効になることを示しています。

第二に、まともな栄養価の高い食事は現在、地球上の半分近くの人にとって手の届かないところにあると判明したことです。人々の可処分所得が減少しているのと同時に、健康的な食事のコストは高騰しています。私たちの食料システムの避難されるべき大きな失敗です。これは世界が十分な食料を生産していないからではありません。世界の農業はかつてないほど多くのカロリーを生産しており、その成長は人口増加を上回っています。産業型食品システムの合理化されたチェーンは、安価で均一なビスケット、ポテトチップス、炭酸飲料を世界中に、さらには最も辺鄙な地域にまで届けるようにうまく調整されています。

むしろ、産業型食料システムは単に本来の役目を果たしていないだけです。人間のニーズを満たすことよりも、市場の需要と利益を優先しています。貧しい地域社会や飢えた人々のニーズよりも、動物飼料、バイオ燃料、加工食品などの商品を大量生産し、最終的には購買力のある裕福な消費者にサービスを提供する方が収益性が高くなります。産業型食料システムは、すべての人に食料へのアクセスと健康的な食事を保証するように構築されているわけではありません。

したがって、世界保健機関が推奨する1日の最小摂取量目標を満たすのに十分な量の新鮮な果物や野菜が入手できる国に住んでいる人は、世界人口の55%に過ぎません。

私たちの食料システムは、過去3年間、新型コロナウイルス感染症、気候の影響、紛争など、不運な衝撃に見舞われてきました。しかし、それは悲惨なほど脆弱でもありました。産業型食料システムは、途絶されやすいレイヤーが集中した上に構築されています。

世界中で消費されるカロリーの半分は、わずか3つの主要作物 (小麦、トウモロコシ、米) からなっており、これらの作物は限られた範囲の種子品種から栽培され、少数の国から輸出され、少数の強力な商社によって世界中に輸送されています。これは収益性は高いですが、堅牢ではありません。

グローバル・サウスの多くの国では記録的に高額の債務が飢餓対策への投資を妨げ、悪循環に陥っています。グローバル・サウス諸国は、自国民のための食料生産を犠牲にして、債務を返済するためにカカオ、コーヒー、綿花などの換金作物の栽培と輸出に特化することを余儀なくされています。

したがって、彼らは食料を輸入する必要がありますが、それははるかに高価になった食料であるため、強靭な地元の食料生産に投資することができません。アフリカは現在、食料の純輸入国であり、2015年に350億ドルであった食料純輸入額は、2025年までに3倍になると予想されています。

政府は間違いなく、野心を高める必要性について同意するでしょう。しかし、私たちが軌道からこのように大きく外れている現在、小さな調整をする期日は過ぎてしまっています。飢餓に対処し、強靭力を高めるには、まったく新しいレシピが必要です。それは、世界市場への依存を打破して適切な栄養を提供し、飢えた人々に食料を供給し、各国が必要とする食料生産能力を再構築することに基づいたものです。

社会的保護計画は、2000年代にブラジルが展開して同国を飢餓マップから取り除いて成功を収めた「飢餓ゼロ」プログラムのような実証済みの政策を用いて、世界の最も貧しい人々に食料へのアクセスを保証しなければなりません。重債務低所得国が飢餓対策や国内食料生産に投資できるようにするためには、その国の緊急債務軽減も重要です。

さらなる衝撃が予期される気候危機の世界では、システム全体の強靭力が目標でなければなりません。より多様なアグロエコロジー食料生産、より短い食物連鎖、そして自国民のためにより栄養価の高い食料を生産する国々は、あまりにも多くの人が拒否されている食料安全保障を解き放つことができます。産業型食料システムが人々を飢えさせていることを認める時が来ています。

ですから、最近の憂慮すべき見出しを、別の道である強靭力への道への転換点にしましょう。


オリヴィエ・デ・シュッター氏は、「持続可能な食料システムに関する国際専門家パネル(IPES-Food)」の共同議長であり、極度の貧困と人権に関する国連特別報告者である。

Original source: Inter Press Service

Image credit: All rights reserved by Canadian Foodgrains Bank, flickr creative commons