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STWRアニュアルレポート2018

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2018年6月4日

コンテンツ


概要

2017年を通してSTWRは、特に組織として中核となるアドボカシーの立場上の関連から、グローバルな経済的分かち合いの正当性のための論議を強化し、促進し続けました。私たちの取り組みのすべては、世界中で極貧の防止を何よりも優先し、貧困者のために発言する結束した人々の声の必要性に関係しました。これは、世界人権宣言第25条実現への目標を中心とする私たちの発表文献、ウエブサイト・コンテンツおよび草の根活動に反映されました。今年、私たちの取り組みの殆どはまた、万人の基本的な社会的、経済的権利を保証するより幅広いビジョンの一部として、ユニバーサル・ベーシックインカムをどう達成するかについての遠大な展望に関するものでした。2018年も半ばに入り、 sharing.orgではさらなる出版書籍および教育リソースを通しての取り組みのより哲学的、霊的側面を拡大する一方、世界人権宣言第25条の旗のもとキャンペーン活動を強化していきます。

リサーチ、出版およびウエブサイト・コンテント

世界資源のより公平な分かち合いのための運動をする市民社会団体の展望から、2017年の国際政治情勢の見通しは明るいものではありませんでした。今年初頭には、戦争で引き裂かれ貧困化した地域の多くで飢饉勃発の脅威を伴い、第二次世界大戦以来最大の人道危機に直面していると国連は報告しました。史上最大の資金ニーズの深刻さにもかかわらず、政府らの援助および資金への約束は国連の要請を充足するには不十分でした。世界的難民危機が過去最高を記録し続ける一方で、世界の飢餓の公式統計が再び上昇し始めました。 

それと同時に、世界人口の最も裕福な0.1%がどのように多数派の貧困層を犠牲にして富を増大し、圧倒的な割合で「新金メッキ時代」をもたらしているかを様々な研究が明らかにしました。オルターナティブ・メディアによる報告のおおよそすべては、数多くの問題の中でも気候変動 に適切に取り組むことにおける政府の失敗から、暴露された世界的な租税回避のスキャンダルおよび発展途上国からの不法な資本逃避まで、世界動向の悪化を指摘しました。

2017年のSTWRのウエブサイトおよび社会的ネットワークのオンライン活動の主な役割は、極貧、 世界的不平等および環境劣化の悪化する現実を浮き彫りにすることでした。ますます分割され続ける世界の危機を強調するか経済的分かち合いの理論および実践を反映する、ゲスト・コンテントを掲載するというアプローチを私たちは続けました。現在のところこのコンテンツは、革新的運動家やリサーチャーにとって役立つリソースを提供する一方で、オーガナイゼーションとしての私たちの優先項目と見解を読者が感じ取れるよう助力します。

この一年を通してSTWRのアーティクル、ブログおよび発行文献は、特に私たちの基本的なアドボカシーの立場の関係から、グローバルな経済的分かち合いの正当性のための論議をさらに直接的に強調しました。最も不利な状況に置かれた人々のために発言し、すべての国で極貧防止に最優先権を与える結束した人々の声の必要性に、私たちのリソースおよび資料はある意味関係していました。これは、世界人権宣言第25条を布告することに基づいた「人々の世界変革のための戦略」をさらに詳説した、私たちのニュースレター・エディトリアルを含みました。例えば私たちは、2011年のオキュパイ運動を活気づけた情熱の大規模な復活を呼びかけましたが、現在アフリカや中東の多くの地域での大量飢餓の悪化する現実にフォーカスを絞っています。持続可能で公平な世界への大移行についての著名な思想家からの提案をもまた私たちは同じレンズを通して検討し、商業化の影響がより少なく分かち合い志向がより強い生活様式を特徴づけるべき新意識を明瞭に色々と表現しました。

STWRの新しいコンテントの多くが翻訳され日本語サイト(www.sharing.org/ja)で取り上げられました。それは、私たちの発表文献およびゲスト・コンテンツが貯蔵された貴重なサイトへと進展しており、検索エンジンおよびフェイスブック・ページを通して読者数は徐々に増えています。「分かち合いの原理についての考察」の傘下のもと完成された文献は現在すべて日本語に翻訳され、日本語書籍出版への将来の展望を可能にします。

この一年の私たちの取り組みの中心はSTWRの創始者モハメッド・メスバヒによる考察シリーズです。これらの類を見ない発表文献は、キャンペーン・オーガナイゼーションとしてのSTWRの狙いと目標への展望の広い洞察力を提供します。そして中核となるスタッフ・チームは、断続するメスバヒによる著書のプロダクションおよびマーケッテイングに従事してきました。コーワーカーの協力を持って現在これらの発表文献は日本語、ドイツ語、そしてその他の言語に翻訳されています。

4月に私たちは「人類のコモンズ」というタイトルの本を出版しました。それは、「内部」または霊的展望から、そしてまた多くの現代思想家や革新的政治団体によって今日広く促進されている従来の「外部」の展望から、コモンズの意味と重要性を考察しています。その本は現在のところハードカバーの限定版として出版されていますが、デジタル版もSTWRサイトや Mediumのページで自由に読むことができ広く行き渡っています。好評を博したその本を私たちはチャールズ皇太子に贈呈し、彼のオフィスから個人的にその真価を讃えた手紙が送られてきました。

さらに包括的な霊的展望からメスバヒが考察した、ますます支持を集める政策提案、ユニバーサル・ベーシックインカムを主題とした第二弾の著書が2017年9月に出版されました。「全人類のためのユニバーサル・ベーシックインカムに向けて」と題されたこの本は、全世界での断続する大規模なデモンストレーションの中で世界人権宣言第25条を布告するという先行すべき目標に基づき、UBIの真に「ユニバーサル」なビジョンを達成するための人々の戦略を明瞭に説明しています。説得力のある平明な形式で書かれたこの本は、ベーシックインカム運動における本格的な提唱者のための戦略的勧告を組み入れており、そしていくつかの政策関連の問題におけるSTWRの立場を明瞭にするために数多くの説明的な文脈上の注釈を包含しました。

この年の組織活動はSTWRサイト上の様々な発表文献にも反映された、私たちの遠大なUBIのビジョンを促進することが中心でした。これは、貧困の根絶および基本的な社会経済的権利の保障、そしてこの一年を通して私たちが行った様々なプレゼンテーション(以下を参照)との関係からUBIの可能性を分析したゲスト・コンテンツを含みます。

キャンペーンおよびアウトリーチ活動

前述のように、2017年のアウトリーチ活動の主なフォーカスは、貧困を根絶するための不可欠な政策手段としてユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)のSTWRのビジョンを促進することでした。現在、数多くの運動家が、極貧および不平等の世界的解決策としてこれらの方向性でUBIを支持しています。従ってSTWRではそのテーマを検討し、私たちの不可欠なビジョンである「世界人権宣言第25条を布告する」との関係を探り始めました。この一年間私たちは、イギリス、マンチェスターでのワールド・ベーシックインカム・コンファレンス、そしてポルトガルでの第17回ベーシックインカム・アースネットワーク(BIEN)会議など、 UBI をテーマとした様々なイベントに参加しSTWRのビジョンを提示しました。これらの学者や活動家の集まりに出席することは、私たちの情報を拡散することや会場内で様々なイベントや中心的コンファレンスでのディスカッションにおけるプレゼンテーションを行うことを可能にしました。

様々な形態におけるUBI提案の人気が拡大する中、平和的な大衆抗議運動の新たな形を通して万人の基本的な社会経済的権利を保障する、より幅広いビジョンについての討論への有益なセグエをそれが提供することを私たちは発見しました。イギリス南部を通して、地元の団体を対象に、私たちのスタッフとコーワーカーによって催された数多くの小さなイベントはとても好評でした。この形式のスピーチの成功に引き続き、私たちのUBIビジョンをイギリス内のその関連の集会やイベントにおいて2018年を通して促進し続ける予定ですが、長期的には草の根運動、プレゼンテーションおよび関心を持つ団体へのスピーチの中で、さらに直接的にSTWRのアイデアおよび提案にフォーカスを絞っていくつもりです。

私たちの以前からの「分かち合いのためのグローバル・コール」キャンペーンは、署名のページを通してSTWRへの新たな支持を集めることにおいていまだ有益であり、「私たちの共通目標としての分かち合い」の報告書と並んで注意を引き続けます。経済的分かち合いのより幅広いアイデアについての認識を高める簡単な手段としてこのキャンペーン・ページの掲載を続ける予定ですが、後の方でさらに詳しく概説するように、世界人権宣言第25条についてのSTWRの最も重要な発表文献の周りのキャンペーン活動、そしてSTWRの出版書物の中核であるシリーズを完成することへと私たちの注意は向けられています。

2018年のプランおよびプロジェクト

STWRの今度のプランは基本的には前年と同じであり、おおよそ二つの部分からなるオーガナイゼーションとして、自分たちの狙いと目標に向かって実質的なプログレスを遂げ続けてきました:第一に、私たちの過去の発表文献の多くに概説されているように、政府が世界資源を分かち合い国際的緊急再分配プログラムを実現する深刻な必要性についての意識を高めること;そして第二に、グローバル優先事項として飢餓および生命を脅かす貧困を根絶することを政府に求める、大規模な草の根のデモンストレーションおよび直接行動のためにキャンペーンをすることです。そのための2018年の主要なプランとプロジェクトは以下を必要とします:

「世界人権宣言第25条を布告する」を中心としたキャンペーン活動

適切な生活基準を欠いた人々全員のニーズ、特に、発展途上国の極貧者のために、自発的で止むことのない平和的抗議活動の正当性についての論議を促進することに対する、STWRの強まるフォーカスについて上記に概説しました。前述のように、定着した紛争、極貧および気候変動がもたらした飢餓および難民の激増を伴い、前例のない世界規模の人道危機の真っ只中、その中心的狙いがこれ以上不可欠で緊急を要したことはありません。STWRは現在、より幅広い公衆からの限られたサポートを受ける小さなオーガナイゼーションにとどまるかたわら、出版書物、社会ネットワーク、インタビュー、そしてイベントおよびデモンストレーションへの参加を通して世界人権宣言第25条布告への目標を促進することに努力を向けています。

STWRのメッセージを促進できる新たな方法についての多くのアイデアを、他の活動と並行して推し進めていくことを私たちは求めています。例えば、世界人権宣言第25条を宣言する正当性についての論議を浮き彫りにするキャンペーン・ビデオの制作を私たちは計画しており、特にこの目標に打ち込んだ多くの新しいウエブサイト資料を集める予定です。私たちのキャンペーン・ビジョンのより霊的な理解を深め、活動家のためのさらなる指針の提供を促進するであろう、この方向性に沿った(以下を参照)断続する大衆デモンストレーションの正当性についての論議をさらに詳説するモハメッド・メスバヒによる次の出版本は、これらの試みにおける主要なインスピレーションの源となるでしょう。予備的ではありますが、STWRの拠点地イギリスでの私たちの活動に関連した抗議デモのイベントへの参加を通して、デモンストレーションのプロセスをもまた開始しました。時間の経過と共に、私たちの断続する活動が、第25条の旗のもとでの他の活動家団体によるデモンストレーションおよび直接行動の開始をますます鼓舞することが望まれます。

限られたリソースとスタッフを持って、この一年間、私たちの時間とエネルギーの殆どは、第25条の周りのこれら様々な活動に費やされるだろうと考えられますが、ベーシックインカムや脱成長ムーブメント、コモンズのコンセプトの周りの論議や実践、そして(より公平な貿易、拡張・改善された援助、途上国のための債務救済、その他諸々のための)多くの断続したグローバル正義運動など、適切な主要政策討論や行動主義にもまた参加するかもしれません。

「分かち合いの原理についての考察」からのさらなる出版 

STWRのキャンペーン・ビジョンおよび哲学のバックボーンを形成してきた執筆活動は、この「分かち合いの原理についての考察」シリーズから少なくともさらに2冊の書籍を出版することを目的として2018年に断続します。一冊は、グローバル・ガバナンスの真の民主的構造がどのように出現し、21世紀に持続できるかということについての遠大な哲学的、霊的探索を拡大する前に、(気候変動についての以前の執筆と同じく)第1章でインタビュー形式を持ってグローバルガバナンスの挑戦的な題目に着手します。これは、2017年の終わりにリサーチ段階から始まったSTWRの最も野心的な発行本のプロジェクトであり、2018年の半ばごろに完成が予定されます。

2018年後半に出版予定の書籍の第2弾は、前述のように、世界人権宣言第25条のより霊的正当性に関係しており、世界規模で協調された抗議デモの戦略の「内部の側面」に関しての完全な情報を含むでしょう。リサーチの多くが、現代政治の問題についての考察からより深い霊的な疑問および題目までの範囲に渡りダイアログ形式で執筆されるでしょう。

これら2冊の出版本に加えて、デザインおよび未出版のメスバヒの既存の考察のいくつか、とりわけコモンズ環境危機分かち合いの経済およびユニバーサル・ベーシックインカムの最も高い政治的ビジョンについての4編を出版できることもまた望まれます。さらに、近年メスバヒが執筆した多くの短編をさらに増やし、それらをまとめて最終的に出版本として編集することが意図されます。これらのテキストは既に多数の言語に翻訳されており、それらの出版は時間とリソース次第です。

STWRウエブサイトのアップデートおよび教育リソースの構築

懸念する市民から政治的活動家や開発の専門家に至るまで多様な読者のための教育リソースとして、STWRウエブサイトを私たちは改善し続けます。このために私たち自身のブログ、エディトリアルおよびマテリアルと並んで、世界資源を分かち合うことの正当性のための論議に関係した外部からのコンテントを一年を通して発表し続けます(例えば、良質のアーティクル、市民社会の報告書およびキャンペーンなど)。新しいマテリアルおよび現在の活動を浮き彫りにしたSTWRニュースレターが定期的にメール購読者に発送されます。適切なマテリアルの翻訳されたバージョンを持ってできる限り英語サイトを反映した日本語サイトのリソースもまたこの一年を通して拡大されます。「世界人権宣言第25条」の周りの私たちのフォーカスを強調し、 www.sharing.orgの外観と感覚を蘇生させるために(前述の通り)サイトのデザインのやり直しもまた計画しています。

STWRの断続するリサーチおよびアドボカシー活動

私たちの取り組みはあなたの支援なくしてあり得ません。STWRは完全に個人からの寄付だけで成り立っており、政府や他の機関からの資金は一切受けていません。そしてどのような政党や企業の事業とも関連を持っていません。STWRはチャリティとして登録されていないため、すべての資金は制約を受けることなく、私たちが取り組む世界問題について明確な政治的立場を取り、限りある収入を直接リサーチおよびアドボカシーに当てることができます。現在の多くの革新的オーガナイゼーションの例に漏れず、私たちの小チームとボランティアは、倍増する予算のプレッシャーに直面しています。あなたの寄付は、STWRウエブサイトを維持し、リサーチ、執筆、伝達を断続すると同時に、グローバル危機の解決策としての分かち合いの原理に対するグローバル正義運動の中での支持を生み出すのに役立ちます。以下のリンクから寄付をご検討ください: https://www.sharing.org/ja/watasitachi-ni-tuite/kifu-suru


Photo credit: Nelson Lynch, 'Let's End Global Poverty by Demanding Article 25', www.facebook.com/letsendglobalpoverty